岡田さんは、近々開催される大型のPRイベントの運営、進行をお願いしているイベント会社の窓口営業の女性だ。外見からは、いい意味で年齢不詳な感じがあり、正確な年齢は私にもつかめていない。ただ清潔感のある、できる営業という雰囲気だ。ここ最近、イベント開催日が近づいてきたこともあり、結構な頻度で会っている。
彼女は、打ち合わせで会うたびに、
「TETUYAさんの時計、素敵ですね」
「髪型変えました? お似合いですね」
「手帳、この前と変えましたよね! それ使いやすそう」
とコメントしてくれる。連続で羅列して書いてしまったので、わざとらしく感じると思うが、かなりナチュラルに、スッと会話に入れてくる。
観察結果「センスや変化を間接的に褒める」岡田さんは、間接的コミュニケーションを自分のものにしている。彼女の場合は、相手が身につけているもの、持ち物などのセンスを褒めるところがにくい。誰でも、自分のセンスを褒められると、嬉しいものである。そして、ちょっとした変化に気づくところもすごい。これも、立派な間接的コミュニケーションのひとつで、髪型を変えたことに気づいてもらえると、照れもあるが素直に嬉しい。気づかれないときの、あの寂しさたるもの、ちょっと悲しいものがある。それだけ、相手のことを観察している証拠なのだろう。
彼女に一番驚かされたのは、社内に飾られた生け花が変わったことにさえ気づいたことだ。ここまで来れば超人だ!
日々、忙しくなると自分以外の周りの人に、興味を持つことも無くなってくるものだ。岡田さんを見ていると、改めて自分の周囲の人にも興味を持つことが、相手との距離を近づける近道なのだと気づかされる。
(イラスト・たなかみさき)
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