しかしその状態に、日本で唯一のヘアライター・佐藤友美さんは "髪型の青い鳥症候群"と名づけました。著書『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)を読むと、多くの女性たちが運命の髪型を求めて遠くを探し回っているけれど、答えはそのひとの心のなかにしかないのだと気づきます。
意志のある髪はうつくしい憧れの髪型があるのだったら、私とこの人は顔が違うから、とか、髪質に難があるから......などと躊躇せずに、まずは、「こんな自分になりたい」と思ってください。
(『女の運命は髪で変わる』78ページより引用)
おどろいたことに、似合うかどうかにそれほどこだわらなくていい、と佐藤さん。じつは、腕のある美容師さんのハサミにかかれば、ほぼすべての髪型にその人への似合わせかたがあるのだそう。それだけに、かたちだけ似合えばいいというものではないのだとか。大切なのは、したい髪型に挑戦する気持ちを持つこと。うつくしいのは、その人の意志が宿った髪なのです。
「なりたい自分」をイメトレするこの本が教えてくれるのは、髪が"なりたい自分"を表現するツールであること。ただ、そのためには、自分が進みたい"キャラ路線"を定める必要があります。
髪型は、自分が「こんな人に見られたい」「こんな性格に思われたい」という最終目標から逆算して選びましょう。
つまり髪型を決めるより先に、「なりたい自分」を明確にすることが大事です。
(『女の運命は髪で変わる』82ページより引用)
明るく、親しみやすい人になりたいのか。品よく、落ち着いた人になりたいのか。若く見られたいのか。それとも、経験豊富で信頼のおける人物と思ってもらいたいのか。なりたい自分像をはっきりさせることで、おのずとその姿にふさわしいのはどんなヘアスタイルかも見えてきます。
折しも、夢や目標が見えやすい春は、"なりたい自分"のイメージトレーニングにちょうどいい季節。思い描いたイメージをたずさえて美容室に出かければ、髪型探しの旅は終わりをむかえそう。
髪と一緒に意識も変える髪を変えたら、別人になると決めましょう。あなたが選んだ理想の髪が基準となり、髪もメイクも仕草も、そして態度も自然と変わっていきます。
(『女の運命は髪で変わる』113ページより引用)
髪型を変えるとあらたな気持ちになれるし、髪でつくったイメージにあとから自分を寄せていってもいい。髪と一緒に意識も変える、それが"なりたい自分"を手に入れる近道です。「何が自分に似合うんだろう」と探しつづける限り、私たちは森の奥深くへと迷いこんでしまいます。髪だけでなく、洋服やメイクにも言えることでしょう。たまにはあれこれ試して迷ってみるのも楽しい。としても、30代をすぎたらそろそろ「青い鳥は探さない」という選択が似合うころ。
自分に似合うものを知るという"自分探し"も大事ですが、これからは自分を理想に近づけるおしゃれを楽しみたくなってきました。
[『女の運命は髪で変わる』]
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