ストレスフリーにつながる食について、今回お話をうかがったのはアスリートフード研究家の池田清子さん。こころが軽やかになる食材と食べ方について、5つのヒントをもらいました。
ストレスを緩和し、こころを整える食材とはストレスを感じたら、甘い物やジャンクフードを口にしたりお酒を楽しんだり、人それぞれに気分転換の方法があることでしょう。もちろんそれも有意義。でも一時的な気分転換ではなく、こころのゆらぎを安定させて、さらには美しさの底上げにまでつなげたいなら重視したいのが「栄養」です。
ストレス緩和にいいとされているカルシウムやGABA、ビタミンC、そしてリラックスや快眠につながる栄養素を含む食材のなかから、選りすぐりを池田さんに教えていただきましょう。
その1:モロヘイヤ (c)トランスワールドジャパン(写真:西 希)とにかく栄養成分が豊富なことで知られるモロヘイヤ。女性にうれしい美容成分も多く、かのクレオパトラも食べていたとか。
「モロヘイヤ独特のネバネバは、胃の粘膜を守ってくれる"ムチン"という成分によるもの。ストレス緩和につながるビタミンCやカルシウムのほか、カロチン、ビタミンB群、ビタミンE、鉄分などの栄養素を摂ることができます」
おひたしやスープにして食べることが多いモロヘイヤですが、池田さんが教えてくれたのは手軽などんぶりメニューです。じゃこの塩味があるので味つけはしなくて大丈夫。好みで納豆や梅干しを加えてもおいしいとのこと。
モロヘイヤとオクラのネバネバ丼
<材料と作り方>1人分
(1)モロヘイヤ(1/4束)は硬い茎から湯に入れ、柔らかくなるまでゆでる。
(2)オクラ(3本)と一緒にねばりが出るまで包丁で刻む。
(3)茶碗によそったごはんに、細かくちぎった海苔、②、じゃこ、卵黄の順にのせる。
GABAやアミノ酸、食物性乳酸菌を摂取できるのがぬか漬け。野菜を漬けることで女性に不足しがちな食物繊維も補えるので、腸内環境を整えるにもひと役買ってくれます。
「ぬか漬けの栄養素は計り知れません。ぜひいろんな野菜を漬けて試してみてください。定番のきゅうりやニンジン、なす、かぶなどのほか、ビーツやアボカドもおすすめです。アボカドはお酒のおつまみにもぴったりで、私もハマっています」
あまり食べると塩分を摂りすぎてしまうので、1品足りないときや野菜不足と感じたときに、"少しずつ"を続けるとよいでしょう。
その3:発芽玄米ストレス緩和に効果的とされるGABAとカルシウムを白米よりも多く含むのが発芽玄米です。そのままいただくのもいいですが、ほかの食材を一緒に炊き込めばさらに栄養価が高まります。
「具材としておすすめなのはカルシウムを含むひじきや大根の葉、春ならたけのこや桜海老もいいですね。食感が生まれておいしさもアップしますし、よく噛むことでだ液も分泌されます」
カルシウムには気持ちを落ち着ける作用がありますが、ストレスを感じるとまず真っ先に不足してしまう性質も持ちあわせています。おにぎりなどにしてストレスを感じたら補給するのも一策かもしれません。
その4:味噌味噌にはGABAのほか、疲労回復に効果的な大豆ペプチド、さらにリラックス効果を得られるトリプトファンが多く含まれています。
「トリプトファンは朝の空腹時に摂ると、夜によく眠れるとされています。だから朝ごはんに味噌汁にして食べるのがおすすめ。もし時間がなければ味噌をお湯に溶かすだけでもいいですよ。からだが温まり、腸の活性化も期待できます。また、ストレスや不調を感じたときにちょっと味噌をなめるというのも意外なリラックス法です」
味噌の種類は問いません。「ただし美容液を選ぶように、厳選してほしい」と池田さん。発酵食品である味噌は生きています。栄養成分や菌をしっかりと得るためにも、「店頭で冷蔵状態で売られているもの」「保存料や化学的な材料が入っていないもの」を選んでとアドバイスをいただきました。
その5:甘酒 (c)トランスワールドジャパン(写真:西 希)「飲む点滴」とも称され、健康に美容にとブームになっているのが甘酒です。ストレスを和らげるGABAが豊富で、やさしい甘みもこころを癒してくれます。
「食事からしか摂れない必須アミノ酸もたくさん含まれています。アミノ酸は筋肉を修復する、美しい肌をつくるといった働きがあるほか、寝る前に摂るとよく眠れるともいわれています。また、植物性乳酸菌も豊富なので腸内環境も整えてくれます」
市販のものを買うなら、麴と米だけでできていて加糖されていないものがおすすめ。炊飯器やヨーグルトメーカーを使って自分で手作りするのもいいですね。水で薄めてミキサーにかけたものをそのまま飲んだり、スイーツにしたりとアレンジも自在ですが、60℃以上で菌が消えてしまうので温める場合は沸騰させないように注意しましょう。
続けることが大切。やがて大きな自信につながる5つの食材、いかがでしたか? 気構えなくても、こころを整えてくれる食材は意外と身近なところにありました。スーパーで手に入れられる食材や日本の伝統食で簡単にケアできるのはうれしいですね。
ひとつずつでも、まずは続けることが大切。やがてこころとからだの変化に気づき、「こんなに食事に気をつけているのだから、私は大丈夫」という大きな自信にもつながるのではないでしょうか。
食のプロならではの知恵の数々、そしてなりたい自分に近づくためのレシピと筋トレメニューのアイデアがつまった池田さんの近著です。
『史上最高の私をつくる EAT GOOD for LIFE 「食」×「ながらトレーニング」』(トランスワールドジャパン株式会社)
池田清子(いけだ さやこ)さん
アスリートであるご主人をサポートするために食について学びはじめ、「アスリートフードマイスター」の資格を取得。マクロビオティック、ローフード、酵素玄米など、さまざまな食のあり方を研究している。2016年にレシピ開発や講演などをおこなう「ビオトープ株式会社」を立ち上げ、活動の幅を広げている。
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