かおりちゃんは、マネージメント会社のPRで働いている29歳。友人主催の交流パーティーで知り合い、感じもすごくよかったので、ご飯に誘ってみた。年上の私としては当然だが、美味しいご飯とお酒と楽しい会話を楽しませてもらったかおりちゃんに気持ちよくご馳走させてもらった。かおりちゃんは、「ご馳走になって、本当にいいんですか?」と少し困惑した表情をしたものの、最後は笑顔で「ご馳走様です」と言ってくれた。正直、合コン百戦錬磨の私としては、東京にいるこの世代の女子、通称「ご馳走され慣れ女子」は、想定内だったので、彼女の言葉に一喜一憂することはなかった。だが、その翌日に状況は一変した。ランチタイムに彼女から
「昨日はご馳走様でした。TETUYAさんといると時間が経つのが本当に早く感じました。あやうく終電逃しそうでした。また、よろしくお願いします。」
というLINEが送られてきたのだ。
観察結果「タイミングと内容」かおりちゃんは、「できる女性」のさらに上をいく、「できすぎ女性」だった。それは、お礼LINEを送るタイミングと内容に理由がある。まずは、タイミング。正直、朝一で送られてきたLINEだとバタバタでちゃんと返すことができない。一方でランチタイムは、午前の仕事を終えてホッと癒されたいひと時であり、かつ前日に別れてから音沙汰がないという寂しさを感じ始める時間帯である。そんな絶好のタイミングに差し掛かってのLINEだったので、嬉しさが倍増した。次に、内容。「時間が短く感じたという」男のプライドをくすぐる例え表現は完璧だった。この術中にはまってはいけないと思うほど、ハマってしまう私だった。今後ご飯をご馳走になる機会があったときには、「タイミング」と「内容」には、ぜひ気を配ってほしい。
(イラスト・たなかみさき)