「地球の裏側よりも遠い東京都」。このキャッチコピーに魅せられて、どんな場所か実際に行ってみたくなり、おがさわら丸(通称:おが丸)を予約しました。
東京の竹芝桟橋より「おが丸」に乗り込みます
父島は、都内から南に約1,000km離れていますが、ここも立派な東京都。車のプレートは品川ナンバー。父島までは東京の竹芝桟橋から約24時間かかります。冬から春にかけての黒潮は波が高くなることが多く、船内はトイレに行くのも一苦労。今までに経験のない船の揺れに戸惑い、ジャンプをするように前に進みます。船の運航の都合上、一度小笠原へ向かうとなんと6日間帰ってこれません。
私が旅したときは、船がリニューアルする前で片道25時間半......。今はとてもキレイな船に切り替わっています
年間を通じて亜熱帯気候の小笠原諸島は、貴重な動植物の宝庫。一度も陸とつながったことがないため、独自の生態系が進化し、ここでしか見ることのできない固有の生物が多いことから「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。
海ではミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ、アオウミガメ、ザトウクジラ、イソマグロなどたくさんの生き物に出会えます。同じ日本なのに今までに経験したことがない情報ばかりで、行きの船はちょっと緊張気味。そんな小笠原初心者に優しい船内レクチャーがあります。小笠原での過ごし方、注意事項など1時間ほどガイドさんからお話を聞けるのです。
24時間もあるし、とても勉強になるのでこのイベントにはぜひ出席しておきたい
ガイドさんがスライドを使ってわかりやすく説明してくれます
朝になり目が覚めても外はどこまでもどこまでも太平洋が続きます。この船だけがぽつんと海の上にいるかと思うと、なんだか孤独を感じ、不思議な気持ちになります。
久しぶりの陸を発見! 勝手にコロンブスやマゼランになった気分!
しばらくすると小笠原諸島が見えはじめました。船は飛行機と違い、いろいろと船内を歩き回れるので意外にも24時間があっという間に感じます。上陸すると、たくさんの島民によるお出迎えが待っていました。ちょっとしたお祭り騒ぎで、知り合いが待っているわけでもないのになんだか嬉しいような恥ずかしいような。
民宿で荷物を置き、散歩に出かけると父島独自の文化やデザインに早速出会えました。
こちらが父島のメインストリート
商工観光会館の前には鯉のぼり。ではなく鯨のぼり! とってもかわいい!
カラフルな「ぎょさん」たち。ここまでいろいろ販売している島も珍しい
小笠原聖ジョージ教会。1909年に創立。太平洋戦争で焼失したのちに建て直され、昭和43年の日本返還から今に至ります
父島にも生協が。おが丸で食料も運ばれてくるので、船の入港日には入口に買い物客の行列ができるそう
目を疑った光景。なんと牛乳がそのまま床に置かれています! 冷蔵棚に入らない様子
そのかわり冷凍で運ばれてきたパンが冷蔵棚に! 衝撃!
その後、小笠原海洋センターでウミガメの生態や歴史、現状がわかるウミガメレクチャーに。小笠原諸島は日本で最大のアオウミガメの産卵の場所。海洋センターでは、なんと子どものウミガメの甲羅磨き体験ができます。甲羅にコケや藻が生えていると紫外線の吸収が阻害されカルシウム不足になってしまうそう。ジタバタされますが、その姿がかわいくて連れてかえりたくなってしまうほど。(当たり前ですが海洋センターからのウミガメの持ち出しは禁止です)
甲羅がピカピカになりました。ちびっこなのに凛々しい表情
夕方にはウェザーステーションと呼ばれる展望台に。たまたま誰もいなくて美しい景色を独り占め。あまりの美しさに言葉を失うほど。毎日表情の違う景色がここからは見られるとのこと。運がよいとクジラも見つけることができます。
小笠原の父島にはユニークな文化と美しい景色があります。そして、内地では考えられないワクワクする出来事が次々と起こります。父島初日にすぐ「来て良かった!」と感動で胸がいっぱいになりました。
ずっと見ていられるほどの美しさ。一面に海が広がります
海と空と太陽。最高の組み合わせ
次号では、小笠原の豊かな自然をご紹介します。