恋が一気に盛り上がった分、一気に盛り下がる。「千年の恋も冷める」という言葉がまるでピッタリな、そんな気持ちの急降下のことを、最近はSRS(Sudden Repulsion Syndrome)と呼ぶようです。そしてそんな経験をしたことがあるのは、あなただけではないのかも。じっくりと長い時間をかけ、誰かの人となりをきちんと知るといった探り合いのプロセスをすっとばし、今やSNSで「友達ごっこ」することは簡単。人間関係もイヤになったらあっさり手放すことが当たり前で、罪悪感さえもない。
誰かと関係を持つということは大変な作業と苦労を伴うということを意味しますが、そんな「共同作業」をすでに初期から放棄するのも普通。そんな社会現象からか、心理学の著名ジャーナルでもこのSRSを取り上げ、気もちが悪くなる・嫌いになることに様々な要因があるとしながらも、「答えのでない疑問」としています。
「私は変わらないわ。変わらなければならないのは私以外のひとで、私の人生にうまく見合うようにするべきよ。大変な努力はもうこりごり。だって、私は特別なお姫様なんだもの。」
(「sexuality and the city」より引用翻訳)
上記のように、ある女性がセラピストに言い放ったコメントもなんだか象徴的です。
もしかして「蛙化現象」の逆バージョン?そしてそんな現象は女性に多い様子。大好きだったはずの彼がどうしても受け入れられず、突然別れるケースも。浮気をされたとか変な趣味があるとか、特別大きな理由があるわけではない。ただほんのささいなことから大きなストレスを感じる自分を守ろうとして起こる、一種の生理的な、神経反射作用のようなものといえるでしょう。
ではどうしたらよいかというと、今はまだわからないことが多いようです。ただきっと私たちが進化の過程で得てきた第六感を頼りにするならば、きっと病気や何らかしらの「危険」から私たちを守るために働くもの。そう考えるならば、もしかしたら好きだったのに両想いになった途端冷めてしまうという「蛙化現象」も、何か似たようなメカニズムがはたらいているのかもしれません。
以前の「ゴースティング」にもあるように、人の心は本当に複雑。ただお付き合いは相手があってのこととはいえ、誰かをそっくり変えてやろうなんてことは無理なのです。ですからやはり長い時間をかけて、自分の心も納得するような人を探すしか方法はないのかもしれませんね。
[Psychology Today,sexuality and the city]
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