すてきな装丁が目をひく本、赤根彰子さんの著書『ことばのヨーガ』(アノニマ・スタジオ)。ヨーガにまつわる84サンスクリット語が1語ずつ丁寧にわかりやすく解説されています。 「言葉」で自分や世界とつながる

その言葉が

わたしを限りないものにする

その言葉によって

わたしは限りなく癒される。

(『ことばのヨーガ』P12より引用)

この本のポイントは、その言葉のイメージをシンプルに伝える四行詩もいっしょに添えられていること。パラパラとページをめくるだけでスッと言葉の意味が自分の内側に入りこみ、不思議と気持ちが静かになっていくような気がします。

ヨーガという言葉はもともと「つなぐ、つながる」という意味です。

言葉他者や外の世界と自分をつなぎ、また自分の内側にわいてきた気もちや思考とつながるツールです。言葉をあやつることそのものが広い意味でのヨーガの実践になるのだと思います。

私が個人的に気になった言葉を紹介します。

まずは「不貧(ふとん)」。サンスクリット語では「アパリグラハ」と呼び、「欲ばらないこと」を意味します。

ただ星を眺める。

ただ月を愛でる。

ただあるがままの自分でいる。

それが不貧。

(『ことばのヨーガ』P52より引用)

まさに「足るを知る」といったような意味の言葉で、自分にとって必要なものを理解し、そして必要以上のものはもたないこと。そのシンプルでミニマルな生き方にあこがれます。

そして「果報(かほう)」。サンスクリット語では「ヴィパーカ」で、「報い、結果」という意味です。

果報は寝て待て

と云うけれど

待つことすらやめて

ぐっすり眠る。

(『ことばのヨーガ』P132より引用)

良い結果や見返りを求めながらの行動は、結果によって自分の感情が左右されてしまい、報われなかった時のストレスにもつながっていきます。

良い結果(果報)というのは結局、外から与えられる一時的な幸福にしか過ぎず、真の心の平安とはまた別のもの。集中すべきは結果でなく行為なのだと教えてくれます。

贈りものとしても喜ばれそうな『ことばのヨーガ』。すこし小さめのサイズや角が丸みを帯びた形状、ナチュラルな紙質やカルディ・コーヒーファームのビジュアルで有名な井上リエさんのイラストなど、本の内容だけでなく装丁へのこだわりも感じられます。お守りがわりに手元に置いて、ふとした時にパラパラとめくりたくなる一冊です。

ことばのヨーガ

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