野口敏さんの著書『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール』(株式会社すばる舎)によると、会話というのは"言葉"ではなく"気持ち"のやりとり。何か気の利いたセリフを言うより、お互いが日常的に感じている気持ちにフォーカスすることが大事とのこと。読んでいるうち、私が知り合って間もない人との会話に苦手意識をもつ理由がつかめてきました。
私たちはふだん、「せつない」とか「寂しい」などという細やかな気持ちを感じるゆとりを失っています。
(『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール』36ページより引用)
忙しさのあまり、気持ちをゆっくりと感じる暇をもてなくなっている方は少なくありません。自分の気持ちから切り離されると、他人の気持ちもわからなくなってしまうんです。
あなたが本気で会話力を身につけたいのであれば、断ち切ってしまった感情とのパイプをもう一度、つなぎ戻す必要があります。
(『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール』6ページより引用)
心をなくすと書いて「忙しい(いそがしい)」とはまさにそうで、時間に追われていると、自分自身の喜怒哀楽と向きあう余裕がもてなくなります。自分の気持ちがわからない。他人の気持ちはもっとわからない......。こうして伝えあうべきことを見失った状態が、会話をむずかしいものにしています。話す前に、自分の内側をじっくり見つめてみる必要があると気づきました。
自分の気持ちを「ちょっぴり」あらわす取るに足らないような事柄にも、心は反応しているもの。野口さん曰く、楽しい会話をするコツは、自分の内面で起きる「ささやかな」変化を「ちょっぴり」オープンにすること。
・ありふれた日常の一コマを切りとって話題にする。
例:「ベランダの花が咲いた」「朝の身支度に手間取った」「傘を持ってきたか」など
・人をあっと言わせるような、特別な出来事でなくてもいい。
・ちょっとした気持ちの変化をシンプルに表現する。
例:「なんだかうれしい」「内心あせった」「一瞬迷った」など
・怒りや悲しみ、ねたみなど、強い感情の動きは、話題に適していない。
ほんの少しのしあわせ、ささやかな喜び、ちょっとした気の迷いなどをていねいに拾いあげてみれば、親しみを感じてもらえる話題に変わります。コミュニケーション下手な私は、「本心をさらけ出そう!」と力んで自己開示のさじ加減を失敗してきたような気がします。「どちらかというと、小さくて可愛いもの」を表現するひかえめさが、相手との距離を縮めるポイントなのです。
相手の気持ちをたずねてみよう会話を盛り上げるために大切なのは、自分の話は「ちょっぴり」で切り上げて、相手の聞き役に回ること。「他人が何を感じているのかなんてわからない」と思っていたから、人の話に対する反応が鈍くなってしまうのが私の悩みでしたが、自分の情緒に敏感になると共感する力も高まるもの。「旅行? 楽しかったでしょうね」「残業? それはつらいですよね」のように、相手の心情をくみとったリアクションでちょっとだけ聞き上手に。
相手がどのような心境なのか想像がつかない場合もありますが、そういうときは「どんな気持ちでしたか?」とたずねればいい、と野口さん。プライバシーに関することなどで聞いてもいいのか迷ったら、これも「聞いてもかまいませんか?」とたずねればいいとのこと。わからなければ聞く素直さも大切ですね。
特別な話題や会話術に頼らなくても、自分の気持ちをあらわしながら相手の気持ちもくみとった会話で、この春初めて会う人とも楽しく交流できそう。まずは、家族や友だちなどの身近な人たちとのおしゃべりを通して練習中です。
[株式会社すばる舎]
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