そんな島なら、島独自の文化が生きているに違いない! そう思い、すぐに琵琶湖に向かいました。
わかりにくい場所に船の乗り場があると聞き、タクシーに乗ったのですが、この先に船の乗り場が本当にあるのだろうかと不安になるほど何もない山間に降ろされました。
ありました! とても小さな船。看板も、この小さな「乗船乗場」だけ。
公共の船ではありますが、中はどなたかのお家のような賑わい。ほとんどの利用者が島民の方のようです。
沖島の歴史は古く、昔は、神の島と崇められる無人島だったそうです。到着して驚いたのは船の多さと道の狭さ。なんと、島には"車"が一台もありません。主な交通手段は"三輪自転車"。そして、ほとんどの家庭にはマイカーならぬ「マイボート」 があります。港には車のようにたくさんの船が停泊していて、対岸への行き来に重要な交通手段になっています。
大きくはありませんが、素朴でかわいい港。海沿いに家が並び絵になります。
まるで駐車場のようにきれいに並ぶ船。
船を降りたらすぐに地図がありました。小さな島ですが、ざっくりとしていて道に迷うこと間違いなし。
主な交通手段の三輪車たちを見てすぐに異変に気づきました! なぜか三輪車のサドルには必ずお菓子の空き缶やタライがかぶせてあります! この島独自の流行りで、サドルを長持ちさせるためだとか。かわいいアイディアです。
島内には、郵便局、小学校、保育所、民宿、はありますが、コンビニエンスストアはありません。最近はおしゃれな雑貨店やカフェもできたそう。島の外へ働きに出る人も多くなりましたが、ほとんどの人が季節おりおりの琵琶湖漁を営んでいます。大きな土地がないためか、自宅の庭の小さな畑で季節の野菜を自家栽培しているお家が多く驚きました。漁と家庭菜園で自給している家庭も多く見られます。
漁に使う網がよく干してあります。糸の線が繊細でとても綺麗!
この世の果てかと思うほどの神秘的で美しい景色。でもここは琵琶湖。
この家の密集具合! とても車は通れそうにありません。
家と家の間はほとんどこのくらいのスペース。お隣さんもお向かいさんもとっても近い。
もちろん島内には猫がたくさん。
まるで自分も島民、と言っているかのように堂々と歩いています。
島内には元気なお年寄りがたくさん住んでいることも特徴。介護が必要だったり寝たきりの方は市内よりも少なくなっているとのこと。かつてなら何処にでも存在した地域の人同士で「声をかけあう・支えあう」などのコミュニティーがこの島には今もしっかり生きているのではないでしょうか。
まるでタイムスリップしたかのような沖島。沖島独自の時間がゆっくりと流れ、昔ながらの暮らしが息づいています。まるで故郷に帰ってきたような、そんな気持ちにさせてくれます。
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