でも、褒めるのって、ときには難しいこともあります。上手に伝えられなかったり、タイミングを間違えたり、余計な一言を加えてしまったり......。やり方によっては、せっかくの好意が裏目に出てしまうことも。褒めるスキルが高い人って、どんな風にコミュニケーションしているのでしょうか。
褒め上手な人は、ポジティブ力が高い褒めるという行為は、とてもシンプル。誰かのいいところを見つけて、それを認めてあげるという基本的なコミュニケーションスキルです。でも同時に、じつは巧みな技を必要としています。なぜなら、人を褒めるためには、相手のいいところに気づける洞察力を必要としているから。つまり、目の前にいるその人があなたを感心させる何かを持っているということ以外に、あなた自身がその素晴らしさに気づける能力があるから、褒めることができるのです。
褒め上手な人は、自分の洞察力の高さを肯定的に受け止めています。そしてそのスキルを上手に使っています。また、褒め上手な人は誰かのいい面を発見するのが得意なだけでなく、物事のいい側面を見るように、普段から自分の思考をトレーニングできている人のようです。相手のいいところを見つける。そして自分の洞察力を信じて、相手に伝える。自分のポジティブな気づきに自信があるからこそ、相手にまっすぐ言葉が伝わっていくようです。
褒め下手な人が、褒めるのをためらう理由褒め方が大げさになったり、そうかと思えば意識し過ぎて不器用になってしまったり。自分のポジティブな気づきを相手に伝えようとしているのに、スムーズにいかないこともあります。上手に伝えられなかった過去の苦い経験から、素直に相手を褒めるのが苦手、という人もいるのではないでしょうか。そんな場合は、もしかしたら褒めることを「与えること」だと捉えて、ためらっているからかもしれません。とくに、自分が疲れていたりストレスにさらされている環境では、人は本能的に与えるのをためらってしまいます。
また、褒めるのが苦手な人の心理には、誰かのいいところを見つけることで自分と比較して辛くなる、という現象が起きていることも。自分と相手の似ている部分には素直に「いいね!」ということができるけれど、自分のコンプレックスに触れる部分だと素直に褒めるのが難しくなったりもします。欠けている部分を認めてしまう気がしたり、悔しさやヤキモチがなどの感情が湧いてきたり。そうなると、混じり気なしにまっすぐな気持ちで褒めることができなくなるようです。
褒めることはギブアンドテイク褒めることは、実際には与えるだけでなく受け取ることでもあります。疲れているときにこそ相手のいいところを見つけて褒めることで、その場にポジティブなエネルギーを作り出して自分自身をチャージすることができるのです。
たとえば赤ちゃんのピュアな笑顔を見たときに、それに反応してこちらまで自然に笑顔になってしまうように、褒められた相手の気分が上がった瞬間、こちらの気持ちも自然と上がります。これは相手とポジティブにチャージし合えたサインです。「気づいてもらえた。認めてもらえた」と相手が感じることでコミュニケーションもスムーズになり、お互いに信頼関係が生まれて自分にも利益が発生するので、ギブアンドテイクです。
また、自分が持っていない部分を持っている人を褒めることは、大きな意味では自分を肯定的に受けとめると宣言しているといえます。つまり、自分がまだ持っていない部分をコンプレックスとしてではなく、「私もそうなれたらいいな」と明るい気持ちで受け止めて意識をシフトしているということ。脳科学によると、潜在意識は第二人称を識別できないと言われています。これを褒めるという行為に当てはめると、「私」と「あなた」の区別なしでいいところを認めて賞賛している、ということになります。
誰かを褒めることは自分の中にもそのクオリティがある、それを身につけるポテンシャルがあると言っているようなものです。褒めることが苦手だと感じるなら『自分がより良くなるためのヒントをもらったのだと受け止めて、相手に感謝の気持ちを伝えるために褒めている』と考えるといいかもしれません。
褒められたら、素直に感謝を褒め上手になるためにまずできることは、自分の洞察力に自信を持つこと、そして自分と相手をリスペクトすること。まずは誰かに褒められたときに「いえいえ、私なんて......」と否定するのではなく、素直に「ありがとう」と笑顔で返して感謝することから、褒めることへの抵抗感がなくなっていくように感じます。そして自分も褒めるコミュニケーションを発信していくことで、ポジティブなエネルギーを循環させることができます。自分を取り囲む人間関係が明るくなっていくだけでなく、自分自身との関係もさらに向上していくことでしょう。
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