渋谷神宮前にある、世界の朝食をコンセプトとしたお店「World Breakfast Allday」。去年の夏のテーマには「デンマークの朝ごはん」がありました。黒パンの上にジャガイモのスライスとラディッシュを乗せたりといった、本場ならではのおもしろい食べ方がとっても興味深いもの。一見不思議なミックスですが、「じゃがいもパン」があることを考えたら、そんなに違和感はありません。
朝の散歩がてらに立ち寄る人もちらほらいて、一日のはじまりのエネルギーをたっぷりチャージするのにぴったり。そのほか台湾やトルコなど、全23カ国にも及ぶ朝食を味わえるのはもちろんのことながら、普段家庭内では作れないような料理があり、国や文化がここまで朝食に影響を与えているのは本当に興味深く感じます。
変化しつつあるドイツの朝食さまざまな国のなかでも健康志向のドイツ人。じつは今の若い世代と40、50代の団塊世代との間に大きな違いが見られます。
就学児童のいる40、50代の家庭となるとパンが中心で、それにハムやチーズ、ジャムなど簡単なものが食卓に並びます。学校給食があるところがまだめずらしい地域では、多くの家庭ではこれらの物をパパッとサンドイッチにして持って行くので、朝食もそのようになるのでしょう。
これがシングルになるとまた大きく話は違うもの。例えばベジタリアンなどは鉄分が不足しないように、オーガニックの穀物類やスムージーが定番。朝はヨガなどのスポーツから始めるフィットネス女子は、ヨーグルトやフルーツといった「簡素なもの」を好む傾向があります。料理が大好きで、時間に余裕のある学生シングルなどはパンケーキなどの甘いもの・あるいは手の込んだオムレツなどを作る傾向が強く、ドイツのある有名朝食ブロガーは処女本(『朝食って幸せ:私を目覚ます45のおいしい理由』)を出すほど人気です。
一緒に朝食をとるのは親しさの証ドイツに住みはじめて不思議に思ったことなのですが、朝食というのは、主婦にとって不思議な意味あいを持っているかのよう。焼きたてのパンをたくさん種類購入し、誰かの家で行われる豪華な「朝食会」に誘われる機会が非常に多いのです。ボリュームあるおいしい朝食とおいしいカフェや紅茶を囲むことは、本当に気の合う友達とでなければできないことのように感じます。まして普段時間に追われるお母さんたちは、自分のために息をつく暇がありません。
子どもの事や家庭のことなど腹をわって話し合いたいとき、話を聞いてもらいたいときなど、ドイツの女性たちは朝食の場をコミュニケーションの場として有効活用しているのです。
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