傷ついた。そう感じたとき、こころが最初に取る行動は大きく分けると2つあります。
「自分を責めること」
自分に至らない部分があるのだと感じて自分を責め、さらには自分のよくない部分をあちこちから見つけ出してきて自分にダメ出しをします。
「相手を責めること」
相手に傷つけられたことで自分の正当性を守るために反撃にでます。直接相手に怒りを向けるのも一つの手段ですが、相手の知らないところでその人を攻撃することもあります。(その人の噂話や陰口を言うなど)
「どうにかしてこのショックと痛みを解消したい」そう思うのは、こころの構造上とても自然なことです。
ただ、この二つの方法では、ショックと痛みを心地よく解消させることはできません。なぜなら、自分を責める行為は、いわば傷口に塩を塗る行為。手当をほどこすどころか、自分をさらに痛めつけてしまいます。そして相手を責める行為は、一瞬すっきりしたとしても全体的に後味のいいものではありません。両方とも、自分の傷を癒すためにストレートに働きかける方法ではありません。
一番効果的な方法は、さらっと受け流すこと。そしてできれば傷ついたことを相手にきちんと伝えること。とは言っても、そんな落ち着いた対応は理想論ですよね。なかなかできなくても普通です。
傷ついた自分に手当てを、効果的な対処法3つこころの傷は目で見ることはできません。その代わり、胸のあたりにずっしりと感じる重い感触やモヤモヤ感がこころの傷の重さ、そしてショックの大きさです。怪我をしたときに適切な処理を施すように、心もきちんと手当してみましょう。
1:まずは傷を観察する誰かのネガティブな言葉に傷つけられる出来事は、まるでのんびり歩いていたら、横から走ってきた自転車に突然衝突されたような出来事。いわばこれはアクシデントです。自分を責めたり相手を責める前に、まずは傷の状態を観察しましょう。こころのどこが傷ついているでしょうか。頑張りを否定されたこと? 思いやりや優しさの行為が通じていないかったこと? 夢や理想を否定されたこと? ずっと気にしていたことを指摘されたこと? 静かになれる時間を作って、「一体何が起きたの?」という視点から、こころの傷の状態を観察します。
2:自分に対して同情心を持って見つめる急なアクシデントで傷つけられた自分に、同情心を持って接しましょう。リスペクトして欲しい? 気づいて欲しい? 思いやりを求めている? 腹が立っている? 悲しんでいる? 「たかがこんな傷」なんて思わずに、自分が求めているものが何かを考えてみましょう。自分に対して優しい思いやりの気持ちで接することが、こころにとって一番の薬になります。傷の回復のために、相手と距離を取ることを必要としたり、自分は大丈夫だと確認させてくれる家族や友人の力を求めているかもしれません。また、カウンセリングやライフコーチングのサービスを利用することで、専門家の協力を得て手当てを施すこともできます。傷とショックがトラウマにならないように、強がらないで自分にやさしさのスペシャルケアをしてあげてください。
3:相手に対して同情心を持って見つめる傷つけてきた相手に同情するなんて理不尽に感じるかもしれませんが、じつは傷を癒すのにとても効果的な手段です。なぜなら、アクシデントでショックを受けている自分のこころがおそらく最も強く感じている、「なぜそんなネガティブなこと言うの?」という疑問への答えが見つかるから。人がネガティブな言葉で相手を傷つけるとき、たいていの場合、その背後にはその人の抱えている不安定感やストレス、疲れ、こころの傷、余裕のなさがあります。安定したこころに余裕のある人は、人を傷つけるようなコミュニケーション手段を選びません。相手にも同情心を向けることで、「なぜ?」の疑問が解消されます。
丁寧に接することで、傷の癒えるスピードが早まるだけでなく、傷跡を残さずに回復させることもできます。そして、自分を見つめる行為は「気づき」のチャンス。気づきはこころの成長の栄養剤のようなものです。アクシデントをきっかけに不思議とこころに深い癒しが起きたり、モチベーションが湧いてきたりすることもあるので、丁寧に手当てしてあげてみてください。
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