フランスではプレゼントはありませんが、王様ケーキを切り分けて食べる風習があります。集まった人のうち最年少がテーブルの下に入り、切り分けたものを配る際、ひとつひとつ「次は○○さんに」と指定します。ケーキの中には、フェーヴと呼ばれる陶器製の小さな人形が入っており、フェーヴに当たった人が、王冠をかぶって王様になるのです。
これ全部フェーヴコレクション!
もともとは豆だったフェーヴ。時代によっては凝った作りのものもあり、収集する人も少なくありません。
北部はガレット・デ・ロワ(galette des rois)この王様ケーキ、フランス北部では、ガレット・デ・ロワとよばれます。パイ生地にフランジパヌで作ったペーストを入れたものがスタンダードで、最近では日本や中国でも手に入るくらいポピュラーになりました。
A&C Melgaço Portugalさん(@aromas_caprichos)が投稿した写真 - 2016 11月 20 7:45午前 PST
なかなか和やかな正月行事のひとつで、我が家でも毎年友人を招いて、シャンパーニュとともにガレット・デ・ロワを楽しみます。
王様ケーキ「ガレット・デ・ロワ」レシピガレット・デ・ロワ(8人分)
〈材料〉
市販のパイシート二枚
バター 100g
アーモンドプードル 125g
砂糖 100g
全卵 3個
もしあれば、アーモンドひとつかみ分を砕いたもの
〈つくり方〉
1.ボールにやわらかくしたバターと良くふるった砂糖、アーモンドプードルを加えて混ぜる。
2.さらに、全卵2つを、ひとつずつ加えて、均質になるように混ぜる。あればここで、砕いたアーモンドひとつかみ分を加える。
3.パイ皿にクッキングシートを敷き、その上にパイシートを一枚敷く。刷毛で、端を水で濡らしておく。2の上に1を載せる。フェーヴを忍ばせる。
4.二枚目のパイシートを3の上位に置き、端をぴったりとくっつける。ナイフで端に模様をつける。
5.全卵ひとつに小さじ1の牛乳を混ぜ、4の表面に塗る。30分冷蔵庫で寝かせたのち、もう一度残りを表面に塗る。
6.表面に好きな模様をつける。240度に温めたオーブンで10分焼いたのち、180度に下げて20分焼いて出来上がり。
(「Le Journal des Femmes」より翻訳引用)
大統領府エリゼ宮にも巨大なガレット・デ・ロワが毎年届くのがニュースになりますが、この巨大ガレットにはフェーヴが入っていません。それには理由があって、「大統領は王様にはなれない」というメッセージが込められているのだそうです。
南部はガトー・デ・ロワ(gâteau des rois)一方、フランス南部では、ガレット・デ・ロワではなく、ガトー・デ・ロワを食べる習慣があります。
Ellenさん(@broueily)が投稿した写真 - 2016 1月 23 8:10午前 PST
ガトー・デ・ロワは、基本的に王冠型のブリオッシュのようなもので、地域によってはドライフルーツも入れるようです。
フランス南部はこちら。「ガトー・デ・ロワ」レシピガトー・デ・ロワ(8人分)
〈材料〉
薄力粉 400g
粉末イースト 10g
砂糖 50g
塩 ひとつまみ
卵 4つ
バター 150g
オレンジエッセンス 大さじ1
レモンの皮を削ったものひとつ分
ドライフルーツ 50g
飾り用のザラ糖
アプリコットジャム 大さじ1
〈作り方〉
1.オレンジエッセンスとイースト菌を前もって混ぜておく。
2.ボールに真ん中を盛り上げて小麦粉を入れ、そこに1を加える。
3.続いて、砂糖、塩、卵、レモンの皮を加え、手でこねる。
4.小麦粉を振った台の上に3を置き、生地がしっかりするまでよくこねる。
5.やわらかくなったバターを少しずつ加え、均質になるまでこねる。
6.5分から10分、しっかりこねたあと、丸めてボールの中に入れ、ラップで蓋をする。室温で6時間おく。膨らんだら、そのまま一晩冷蔵庫に寝かせる。
7.翌日、さらにこねて5分おく。
8.真ん中に穴をあけ、王冠の形に整える。
9.覆いをして2時間発酵させる。
10.溶き卵を表面に塗り、ザラ糖を飾る。
11.180度に温めたオーブンで20分焼く。
12.ジャムに砂糖小さじ1とオレンジエッセンス小さじ1を加え、温める。
13.12を11の表面、砂糖のついていないところに塗り、ドライフルーツを貼って飾って出来上がり。
(「Le Journal des Femmes」より翻訳引用)
ガトー・デ・ロワは、以前はもっぱら南部で聞かれる名前でしたが「Gourmets & Co」の記事によれば、ここ数年で北にも広がり、パリのショーウィンドウでもちらほら見られるようになったそうです。
とかくおいしいものは広まるのも早いもの。日本上陸も、時間の問題に思えます。さて、今年はガレット・デ・ロワにするか、ガトー・デ・ロワにするか、迷うところです。