2つある水治療施設ラ ロッシュ ポゼ ターマルセンターのひとつ、コネターブル。広々とした公園の中に建っています。
水治療を提供するラ ロッシュ ポゼ ターマルセンターではアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、火傷跡、がん治療後のケアなど様々な症状改善のため、村に湧き出るターマルウォーターを使っています。患者は皮膚科医のカウンセリングを受け、症状に合った治療メニューを組んでもらい、3週間ほど村に滞在しながらセンターに通って治療を受けます。
治療は午前中のみ。治療費はコースによって変わってきますが、標準的なもので6万円ほど。フランスの医療保険加入者なら保険が適用されるので、気軽に利用することができます。
美肌効果で注目される成分
水治療に使われるのは1700年以上かけて大地によってろ過された天然水。ラ ロッシュ ポゼ村の湧水には、肌を健やかにすることで近年注目を集めている成分、セレンが豊富に含まれています。この成分は私たちの体の中に微量に存在するもの。セレンは抗酸化作用や、抗炎症作用、活性酸素を除去する力があり、老化防止にも役立ちます。
皮膚科医による本格的な水治療
センターではこの水を使った様々な治療方法が用意されています。代表的なものは、患部に集中して水をあてるニードルシャワー、顔や体に吹き付けるミスト、そして入浴療法など。
(c) Adrian Schmidt for La Roche-Posay
ニードルシャワーは皮膚科医が実際に施術します。
(c) Adrian Schmidt for La Roche-Posay
ラ ロッシュ ポゼ ターマルウォーターにはデトックス効果があり免疫機能を整えてくれるので、飲用にも最適。
患者は専用の容器に水を汲み取り、皮膚科医の処方に合わせて毎日決められた量を摂取します。
自然光がたっぷり入る治療室と待合スペース。 アトピーや傷跡ケアにも効果的
ラ ロッシュ ポゼ ターマルセンターの患者の3割はアトピー性皮膚炎に悩まされている子どもたち。ついつい患部を掻きむしって症状を悪化させてしまったり、クリームを塗るのを嫌がったり。お風呂やシャワーの治療で無理なく症状を軽減することができます。
子どもにとって辛いことを少しでも楽しくする、ラ ロッシュ ポゼブランドのボディクリームを使ったワークショップもあります。指導員のお姉さんが遊び感覚でクリームを塗れるよう、歌と振り付けとともに教えてくれるのだとか。また、掻きむしらないようにアドバイスも。
ほかにも注目されているのが、傷跡や火傷の跡を目立たなくする効果です。水治療の結果、跡がうすくなるだけでなく、組織の弾力性が向上し制限されていた手足の可動域も広がるのだとか。さらに放射線や化学療法などのがん治療による後遺症と不快感の軽減にも効果が認められています。
肌や粘膜の乾燥、硬化、紅斑、かゆみやうずきなどの改善や、傷んだ爪をきれいに、また頭皮を健康にして発毛を促進する力もあるそうです。こうした物理的な作用だけでなく、がんによる心理的ダメージや再発への不安感も、緑豊かな環境で毎日水に浸かることで少しずつ和らいでいくそうです。
がん患者に向けたパンフレットも。
肌トラブルはストレスによる影響も大きいと言われます。ここは、症状により精神科医やリラクゼーションセラピストによるカウンセリングを受けることもできるなど、メンタル面からのアプローチも充実しています。
患者のQOL(生活の質)向上を目指すスペシャリストたち カバーメイクのワークショップが行われる施設は、ピンクでかわいらしい雰囲気。
さらに敷地内には、専門家によるラ ロッシュ ポゼブランドのメイクやスキンケア製品を使ったカバーメイクアップを受けられる施設もあります。使用されているラ ロッシュ ポゼブランドの製品にもターマルウォーターが配合されており、治療を終えた患者のアフターケアとして紹介されています。
肌のコンプレックスを抱えている患者がより前向きな気持ちになれるよう、それぞれのコンプレックスを巧みにカバーするメイクテクニックやスキンケアの選び方を丁寧に教えるワークショップも行われています。肌と心は密接に関わっています。ラ ロッシュ ポゼの専門家たちはこれを踏まえ、包括的なアプローチで患者の生活全体を良くすることを目指しているのです。
次回は、ラ ロッシュ ポゼ ターマルセンターでの水治療と自然あふれる村の滞在先の様子をお届けします。
今回訪れた場所
Les Thermes La Roche Posay(ラ ロッシュ ポゼ ターマルセンター)
ラ ロッシュ ポゼ村紀行
取材・文・撮影 野澤朋代
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