花ブロックは、普通のブロックより開口部が多く、その切り抜き方も趣向を凝らしている。なので組み合わせ次第で実に様々な表情がたのしめる。
真四角だけを組み合わせた歯医者風、太陽の塔の岡本太郎風、中華丼のふち風、メキシコやインド風。(どんなに想像力をたくましくしてもわたしの下手な説明では分からないと思うので、『気になる!』という方はぜひ沖縄を訪れることを推奨します! )乙女チックに組み合わせたブロックを白く塗るとまるでレースペーパーのような風情になったり、幾何学ブロックだとぐっとモダンな印象になったり、縦横の合わせをランダムに変えても面白い。そんなこの島の建物群を眺めていると、住む人や施工した人の個性がよく出ていて、無機質になりがちなコンクリート建造物に親しみを覚えてしまう。
台風が多い沖縄ならではの、通気性の高い花ブロックのもうひとつの魅力は、その遮光性。ブロック越しに入る光と影。モザイク模様の影の連続に、うっとりしてしまう。強い日差しをちょうどよく遮り、その隙間を風がすーっと通る。「ああ、ここは南国なんだなぁ」と実感する瞬間。
先日、とうとう花ブロックの工場に行ってきた。そこにはたくさんの種類のブロックが山と積まれ、奥では巨大な装置が大きな口で砂を食べるように巻き込んでいる。
事務所前には各サンプルが無造作に置かれ、なかでもパステルカラーの色褪せたブロックが素敵だった。ピンク、水色、グリーン、黄色。どれも砂糖をまぶしたような淡いパウダーカラーだ。このカラーブロック、よく街中でも見かけるものだったので、「これが本家かぁ」とちょっと嬉しい。でも残念! 今は製造中止だとか。急に、なんだか今後、街から色が減ってしまうように思えて少々寂しい気分に。自分が使うか使わないかは置いておいて...。
そして、わたしが白いブロックが欲しかった旨を伝えると、「ご自分で白く塗る方も多いんですよ」と、接客してくれた女性は言った。内心、「ほんと?」と疑ってしまうくらい、ペイントする作業は細かいと思うんだけど。白ペンキの一斗缶にドボンと浸けてはどうだろうか。いくらなんでもアバウト過ぎだろうか。
帰り道、花ブロックの組み合わせのことで頭がいっぱいになった。近いうちに、花ブロックで壁を作ろう。
あわせて読みたい