新進気鋭の女性監督の長編デビュー作
その作品とは6月11日(土)から全国順次ロードショーとなるフランス映画『裸足の季節』。第88回アカデミー賞外国語映画賞にフランス代表としてノミネートされるなど、世界中で絶賛され、これまでに33もの賞を獲得した作品です。
フランス映画ですが、メガホンを取ったのは、トルコ出身の女性監督で、映画の中で話される言葉もトルコ語。監督が少女時代に実際に体験した出来事が投影されています。
外出禁止。家に閉じ込められた5人姉妹 © 2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY
舞台はイスタンブールからおよそ1,000キロの離れた小さな村。この場所に住む5人姉妹は10年前に両親を亡くし、祖母に育てられています。
何をやっても楽しいはずの思春期なのに、昔ながらの厳しいしつけや古い慣習によって、地味な服を着せられたり、一切の外出を禁じられてしまうなど、どんどん自由を奪われていく5人。必死の抵抗を試みるのですが、やがて家族が決めた結婚相手にひとりずつ嫁がされていくことに。
そんな中、自由を取り戻すためにとある計画を立てた末っ子。姉妹たちの反逆の物語はどう転ぶのか......。
いまだに低い女性の社会的地位
初めて出会う男性や家族が決めた相手と結婚をするなんて今の日本では考えられませんが、トルコだけではなく世界を見渡せば、まだまだ早すぎる結婚は当たり前のように行われていて、女の子たちは教育を受けることなく妊娠や出産を強いられたり、家事労働に明け暮れたりしています。
雇用のチャンスもなく、性産業に従事させられたり、虐待を受けたり、貧困を抜け出せないまま負の連鎖を断ち切れずにいる彼女たち。ジェンダーだ、ダイバーシティーだとかいう以前に、自分の人生すら自分で決めることができないんです。
目の前にあるチャンスはつかんだもの勝ち © 2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY
映画の中でも5人姉妹は自由を奪われて、電話を隠されたり、扉には鍵がかけられ「カゴの鳥」状態になるのですがそれでも必死に戦って、自由を取り戻すために奮闘します。その姿がとてもエネルギッシュでいつしかスクリーンを通して応援している自分がいて、同じ女性として勇気をもらえました。
また、映画の中では全てが悲しいことだけではなく、時に年配の女性たちが姉妹たちを守るために格闘したり、クスッと笑えるユーモアたっぷりなシーンもあったりして、女性たちが置かれた立場を知ることができます。
ずっと見ていたいほど美しくも儚い5人姉妹 © 2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY
姉妹全員が髪の毛が長くて美少女! 彼女たちはひとりを除いてはこれが演技初体験で、なかには飛行機の中で監督にスカウトされ抜擢された子もいて、その擦れていないフレッシュでみずみずしい表情が印象的です。ティーンならではの繊細さと危うさをもつ彼女たちの存在感があまりに強くて、観終わってもしっかりした"意志"のあるまなざしがずっと残っています。
誰もが通ってきたわたしたちの思春期と重ね合わせみても、自分の未来を自分でつかめることにありがたみを感じます。だからこそ自分の人生に迷っているなんてもったいない! 鳥はカゴの中ではなく空を自由に飛んでこそ。いまを生きる全ての女性たちに観てほしい作品です。
『裸足の季節』
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
音楽:ウォーレン・エリス
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン、ニハル・コルダシュ、アイベルク・ペキジャン
提供:ビターズ・エンド、サードストリート
配給:ビターズ・エンド
6月11日(土)より、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー!
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