母親にとって娘が生まれるということは、世界で一番の親友を手に入れることを意味するようなもの。一緒に買い物に行ったり料理をしたりと、そこには父親とは味わえない二人だけの特別な空間・会話が生まれます。

しかし当然のことながら、世の中の母親・娘関係が全て上手くいっているわけではありません。

勝手に競い、勝手に嫉妬する母親

いつも当然のようにそこにいてくれる、やさしい母親。しかし当たり前の関係が「当たり前」でなくなった人達が、母親との確執について語る本がイギリスのアマゾンでロングセラーとなっています。

タイトルは『The Daughterhood』。著者のナターシャ・フェンネルさんは彼女の母親が末期ガンに侵され看病し始めたことをきっかけに、「自分は良い娘であっただろうか」と自問するようになったといいます。非常に難しかったとはいえ、自分の母親との理想の関係を考え求めるうち、ふと他の家族の母・娘の在り方について興味を持ったのだそう。

編集者として働いていた友人のイングレ氏と共に「娘クラブ」を結成。親子関係の確執について話してくれる9組の母娘が集まり、娘からの視点と母親からの意見の両方を聞き出します。

見た目に非常にこだわるあるナルシストの母親は、娘の見た目すべてが気に入らないと指摘したり、ある娘さんは母親と絶対に時間を共有しなくないと回答。またある娘さんに関しては、母親の死については怖くないと言い切ります。それよりも自分が母親の前に死んでしまうとようやく手に入る自由を得られず、人生が楽しめないのでイヤだと言います。

「(インタビューに答えたある一人の娘さん)私、悲しくて喪に服しているんです。でも母親はまだ生きています。(省略)母はすっかり変わってしまって、私でも気がつかないくらい。でも母親のことは昔から愛しているんです」

(『The Daughterhood』より引用翻訳)

母親との関係を考えたいときは

この「娘クラブ」は双方のいらだちをぶつけるだけを目的としていません。まず関係を良くする努力をするため、たとえば一緒に食事に行ったり、お互いの意見に反発するのでなく、いったん受け止める話し方を学んだりします。そして小旅行に行ってみるなど、段階を追って試すという細かいルールが存在します。

もっと認めてもらいたい、もっと愛してもらいたいという気持ちの強い二人が歩み寄ることは、並大抵のことでは成り立ちません。そんな二人を他のクラブメンバーが第三者として介入、いわば大きな家族として二人を支えてゆくことで、また違った母親・娘関係を築くことも可能であると、本は証明してくれています。

「毒親」や「支配する母親」など、世間体などもあり公にしづらいテーマ。とくに理想を抱きやすい母と娘については、「こうあるべき」の答えは在りません。

親子関係は人それぞれ。「母親ってなんだろう」「自分は母親として(あるいは娘として)どうなのかな」とふと思ったとき、こんなビデオを見るのも良いかもしれません。

[『The Daughterhood』,YouTube

photo by PIXTA

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