行き過ぎた環境問題?
話題の争点は「食べ残し徴収料」。その名の通り、食べ残したら罰金を払うというものです。たとえばレストランで出される量が多いアメリカなどでは、食べきることができなかったものをドギー・バッグとして包んでくれ、お持ち帰りすることができます。そしてそうすることはなにも恥ずかしいことではありませんし、誰でもやっています。
しかしドイツではレストランで注文した「残りもの」を持ち帰るとはしたないと思われてしまうし、そういった文化はなく、誰もそんな行為をすすんではしません。「食べたくないものを残したのに無理矢理持って帰ったって食べやしない」という意見にも一理あります。しかしレストラン側にしてみたら、大量発生するゴミに心底うんざり。その対策として始めたのが「食べ残し徴収料」なのです。
この徴収料金を導入しているのは主にビュッフェ・スタイルの、価格設定が低め〜中級クラスのレストラン。好きなだけ取って好きなだけ残す人に「罰金」を課せることで、食べ物の大切さを改めて喚起する意図があります。
ちいさなグループの大きな声
罰金といってもそのシステムはお店によって様々。あるレストランでは、お客の残した食べ物100gあたりにつき2ユーロを徴収。またある店ではお皿一枚につき、一人当たり5ユーロを徴収しています。このシステムを導入してから、自分の選ぶものやお皿に乗せる量、本当に食べきれるのかを考えるようになったと答える人がいる一方、憤慨して「二度と来るもんか」と捨て台詞を吐く人もいるのだとか。
ある地域のちいさなレストランから始まった問題が「国の問題」へと広がり、しいては「文化の問題」へ。アメリカを見習って、ドイツもドギーバックできるようにするべきだ! との声も上がっているほか、2030年までに現在の食品廃棄量を半分に減らすべき、との政治問題にまで発展しています。
(罰金賛成の声)
「正しいと思うし、どこでもそうするべき。お皿にこんもり乗せてる人とかをみるとゾッとする。戦後だったらわかるけど、でも今の時代では? 人はきっと『取って足りる』ことを知らないのだろう。」
「ブッフェに並んでお皿によそっている人を見ているだけで、もうお腹いっぱいになる。」
(罰金反対の声)
「以前あるレストランに入ったとき、バニラソースとニンニクソースを間違えて出されたことがあった。今度そんなことがあったら、すぐに床に捨てなくちゃ。そうでなきゃ罰金の可能性があるんだから。(店は罰金で対策しているが)じゃあ質の悪い原材料やおいしくない食事から顧客を守る手立てはあるのだろうか? たとえまずくても罰金は発生するんだろう? 」
「だったらお皿をちいさくすればいい。」
(WAZより引用抜粋)
食品廃棄の問題はなにも、目新しいものではありません。世界自然保護基金(WWF)の調査によると、ドイツでは一秒間に313キロもの食品が廃棄されているという事実があります。
でもそれ以上にレストランにとっては死活問題ですし、その一方、安くておいしい食事をしたい消費者の気持ちもわかります。罰金意外にも、何か対策はあるのか考えさせられます。
image via Shutterstock
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