ストレスを小出しにするメリット
expressive writingとは、日本語では「ライティング・セラピー」と呼ばれるもの。セラピーとは言ってもこうあるべき、といった形式ばったことは何ひとつなく、また日記のように律儀に毎日続ける必要もありません。ただ自分の体験や混乱している感情のすべてを紙の上に「メモ」のように吐きだしてはぶつけるという、しいていえば「プチ日記」です。
「上手くは説明できないけれど、でも私はこんな風に感じたよ」。友だちにそう語りかけるみたいに活字にしたためることで、自分のこころを客観的にとらえクールダウンし問題の本質を見極める役目を持つのです。
この方法はセラピーとしてもよく使われる方法なのだとか(もちろんうつ病など医師の診断が必要な重度の場合には病院へ)。字を書くことにはどうやら、私たちが思う以上に不思議な力が宿っているようです。
自己肯定力を上げ、生活のクオリティーをあげる
ネガティブな感情というのはやりすごすのではなくむしろ向き合い、そんな「ダメな自分」にやさしくなれる方が早く立ち直れるといいます。
実際アメリカ・シカゴには「書く」という作業を通じて老後をもっと豊かで、幸せに、こころ満ちあふれたものにしようとするお年寄りのための活動が数多く見られます。
Write For Youプログラムというのもその一つ。60代・70代・80代の人たちが集まり、何かテーマにそって自分の体験談をしたため、みんなの前で発表するということを行っています。
人によってもちろん、体験した人生のアップ・ダウンは様々。この会の責任者は、誰が何を発表するのかの内容にはこだわらず、むしろそんな発表者への称賛や意見、まわりの反応などを主に重視しているといいます。
そう、「書く」ということは人に好かれる何かを創造するのではなく、聞き手の中にある「何か」とコネクトすることにこそ意味があるのかと考えさせられます。
「(参加者の「なぜ書くの? 」に対するコメント)本当はあなたの中にだって、たくさんのメッセージがある。(書くことで)その感情を解き放つ機会が得られ、自己表現できるの」
(「chicagoBRIDGE」より引用翻訳)
「書く」ということは自分の感情に正直になるという、人によっては難しい自己表現の一種。そして自分の感情を紙にまとめたものを改めて後日見直すという作業により、あらたな自分を発見できることもあるのです。人のためでなく、あくまで自分を肯定するために書く。
もし何か不安な気持ちになったら、そんな自分のこころと対峙するためにぜひ活用したいと思っています。
[chicagoBRIDGE,PsychologyToday]
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