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【小説】勇者の森の日常風景 黄金勇者の場合 その1

2013/02/13 21:41 投稿

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http://ch.nicovideo.jp/myjtjunma/blomaga/ar108585

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 その広大な森には、勇者が魔王を倒した時使ったとされる聖剣が存在し、新たな勇者の来訪を待っている。そして剣を手にする資格があるかどうか見定める、少年のような番人がいるという――

「お前が、番人か?」

 男性の声。そのセリフは、草むらに寝転がっている僕に向けられたものだ。
 こちらは言葉によって目を開けた次第で、青空が見えた、春の陽気に当てられて寝てしまったようだ。

 上体を起こすと、森に囲まれた草むらが見えた。同時にうっそうと茂る森を背にし、男性が厳しい目をしながら立っているのも見える。
 容姿は金髪で美形。剣を背負い、金の鎧に身を包んだ戦士風の男性。よくぞまあこれほど金ピカにしたなというくらい見た目は神々しい。

「お前が……番人だな?」

 男性はさらに問う。多少なりとも戸惑っている様子だった。当然だろう。目の前にいるのは痩せっぽちかつ、ごくごく普通の布服を着た茶髪の少年なのだから。

「……そうだよ」

 僕は答えつつ、目を横に向ける。手の届く範囲に抜き身の剣が一本落ちていて、それを拾い上げて立ち上がる。

「で、あなたは勇者さん?」

 僕は肩を軽く回し、斜に構えつつ尋ねる。

「そうだ」

 相手はしかと頷き、剣を抜く。驚いたことに、刀身まで金色。

「悠長な番人だな」

「……そうかな」

 僕は答えつつあくびを一つ。そんな様子を見て、彼は少し苛立った様子。

「貴様……舐めているな?」

「そんなことないよ」

 僕は一度伸びをして、改めて相手を見る。結構長身で、僕より頭一つ分くらいの差がある――こっちの身長が低いというのもあるけど。

「今日はお客さんが多いから、少しばかり疲れただけだ」

 言いながら、僕は深呼吸をした。

 ――実を言うと、奇襲でもしてこないかと期待していた。もし仕掛けて来たなら「勇者の風上にもおけない奴だ」とか言えて、少しくらい溜飲が下がる。
 けれど、正々堂々をモットーとする勇者さんはそういうことをしないようで、苛立った目を向けるだけ。

 しばらく待っても良かったが……僕はさっさと終わらせたい誘惑に駆られ、声を出した。

「じゃあ、やろうか」

 その言葉に、目の前の勇者さんは身構える。

「ああ」

 応じ、腰を落とす。さらに両手で握る剣の切っ先を、僕へと向ける。体格のせいもあって、威圧感は中々のもの。

「番人、フォル……この私、勇者ディックがお前を倒し、伝説の剣を貰い受ける!」

「やれるものならどうぞ」

 答えながら僕は自然体となる。剣をだらりと下げ、敵意の眼差しを見せる勇者へ視線を送る。
 やや伸びた前髪が僕の目に入った時、彼は叫んだ。

「いざ尋常に……勝負!」

 そして走り出す。僕は相手を見据え剣を少しだけ強く握りしめた――

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なんだかんだで更新開始。
小話的なものを淡々と更新していくような感じで書き連ねていこうかと思います。

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