第14回インターバルレクリエーションは、スーパーカミオカンデとニュートリノを題材に、オンライン講義に近いスタイルで執り行われました。
■なるほどわからん
アカデミックな冒頭から打って変わって突然のネットスラング、失礼します。今回のサブテーマは「なるほどわからん」だったのです。
「なるほどわからん」がテーマと言われても単に「わからん」のですが、少し噛み砕けば「最先端科学を題材に"未知との触れ合い方"をみんなで体験してみよう!」といった趣旨になるでしょうか。
ちなみに「なるほどわからん」とは「説明を読んで一瞬理解した気になったけれど、すぐに全然理解できていないことに気が付いた」という意味です(ネタにマジレスみたいな解説となってしまいましたが…)。
■レクリエーション
前置きが長くなりました。当日の進行は下記の通りです。WebサイトもYouTube動画も大変見応えがありますので、みなさまもぜひご覧になって下さい。オススメです。
1. PlaAri理事長よりイントロダクション
「5分でわかるニュートリノのひみつ」(PDF)
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/neutrino-quiz/file/neutrino2nd-1912.pdf
2. ニュートリノクイズ(ボケ回答厳禁!)
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/neutrino-quiz/
3. YouTube動画鑑賞
・「進化し続けるスーパーカミオカンデ」
・スーパーカミオカンデ地下実験施設ライブツアー
・スーパーカミオカンデ講演会
4. ディスカッション
■ディスカッション
参加者の感想や意見は多岐にわたり、盛り上がりました。
「ニュートリノ…うん、やっぱりなるほどわからん(苦笑)」といった感想から、「スーパーカミオカンデの光電子増倍管(壁面を埋め尽くす球状のガラス)は一つ二つ壊れても取り替えないということは、公称の個数も徐々に減っていくのかしら?」「光電子倍増管と計測装置をつなぐケーブルが全部同じ長さなのはオーディオと同じ考え方(経路ごとの距離の差による伝送遅延をなくす方法)だ!」「内部を満たす純水は常に濾過されているそうだが、純水が濾過装置を通過する際に、濾過装置自体が持つ放射線などの影響を受けてしまうのでは?」「どれくらいお金がかかっているのかは(良し悪しではなく単純に)気になる」などなど、多くはスーパーカミオカンデの施設、構造や仕組みに関わるものでした。本当に興味が尽きません。
また、ヴィトゲンシュタインを引用し「ニュートリノという不可視で未知なる存在に真っ向から対峙して理解や立証を試みる営みも、人間が人間であることの証左ではないか」という哲学的見地からの意見も出ていました。
■科学は未知に、恋をする
科学の営みとは、実は"未知への熱い恋"なのではないか。今回のレクリエーションを終えて、ふと頭に浮かんだフレーズです。
科学とは、一義的には論理的で冷静で自己抑制的なイメージを思い浮かべます。でもスーパーカミオカンデの佇まいは、ニュートリノという儚く美しい憧れの存在に向け、科学者たちが情熱的に築き上げた"巨大なラブレター"のようにも思えるのです。
スーパーカミオカンデを以てしても、ニュートリノは気まぐれに淡いチェレンコフ光を振りまいては消えていくばかり。片想いだからこそ、恋の炎はなおさら燃え上がるばかりではありませんか。
そう考えると、身の周りに当たり前のように存在する科学的なあれこれ、例えばスマホ、テレビ、クルマ、ビルの群れ、電気やガス…全ては古の科学者たちの熱い恋が成就した結果なのである。そう言い切っても決して過言ではないはずです。
スーパーカミオカンデを超えるハイパーカミオカンデの建設も計画されています。人類はいつの日か、憧れのニュートリノを振り向かせ、その手に抱きしめることができるのでしょうか。
ラブストーリーは、続きます。
A.W 記