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カメラメーカーの未来を考える

2021/02/04 17:00 投稿

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2021年2月1日付けのニュースで、昨年のデジカメ出荷数が大幅に落ち込んだというニュースがありました。理由はもちろんウィルスの猛威で全体的に仕事が減った・収入が減ったというものがあるでしょうが、記事中のグラフにもあるように年々出荷数は下がり続けていたので、コロナのせいだけではありません。

昨年カメラ界に衝撃が走ったものとして、オリンパスがカメラ事業を他社に売却するというのがありました。同社は現在は医療機器の方に力を入れているので、歴史あるカメラ事業を手放すのはクソコンサルに唆されたか、株主からの圧力か、よほど事業に未来が無いと判断したかのどれかでしょう。

デジカメの売上が減っている理由は他にもあります。一つはスマホでも十分にキレイに撮れるので、わざわざ高いカメラ買わなくていいやと思っている人が増えた。というものと、特に若い人たちの収入が本当に減っているというもの。車も買えなくなっていますし、収入的な理由で結婚も出来ない人がものすごく増えている現状は皆さんご承知のことでしょう。
竹中死すべき慈悲は無い。

そしてもう一つ、カメラの耐久性が高くなった+買い換えるほどの性能アップがなくなったという理由もあるかと思います。

現在販売されているハイエンドモデルは、確かに5年ほど前と比べると大幅に性能は上がっています。が、ものすごく大きいプリントでもしない限り数年前のモデルでも十分キレイに撮ることが出来ますし、ハイエンド製品の値段がものすごく高くなっているので簡単に買い換えることが出来ないんですよね。ボディだけで30万~50万なんて奥さんから許可降りませんて。
いいレンズも数本買ったら全部で100万コースですよ。

「いや別にハイエンドにこだわる必要ないやろ」と思うかもしれませんが、ミドルグレード帯を使っている人ならなおさら悩ましい状況なんです。写真の腕も上がったので更なる上位機種を買いたい…がハイエンドは高すぎる。じゃあまたミドルグレードかと言うと、「ここの性能がもうちょっと上がればなぁ…」というのがあるんですよね。特に電子ファインダー(EVF)の画素数が少ないので、そこで躊躇している人は多いのではないでしょうか。

昔のフィルム時代は、ハイエンドの一眼レフカメラといい性能のレンズ数本買っても50万いくかいかないか位だったので、全体的な価格の上昇はすごいことになってます。
なぜかと言うと、センサーの性能が上がって、今や5000万画素とかは当たり前になりました。めっちゃ細かいところまで写る訳です。そうなると、レンズ側も高性能でないとセンサーの性能を発揮出来ないので、高精度なレンズ造りや高い材料が必要になり、(いいやつなら)安いものでも20万以上のレンズがゴロゴロある状態となりました。


出荷数が減っているだけでなく、各社の利益も減っています。一昔前はキヤノンの大きなライバルだったニコンは現在400億円規模の赤字に陥っています。

もともとカメラ事業はボディではそれほど利益が出ておらず、いいレンズを買ってもらうことで利益を出すスタイルを長年続けてきました。ところが、カメラメーカー各社の競争が激化したので、いわゆる入門用のカメラやレンズでも十分キレイに撮れる&前述の若い人の収入が減っているので高いレンズなどへの誘導が出来ない。開発費も高騰し続けている。しかも買ってくれる人口も減り続けている。ということで勝ち組と負け組がかなりハッキリ分かれてきているのが最近の状態です。


記事の中で昨年はソニーのシェアが首位になっているとありましたが、最近はいわゆるミラーレスカメラが主流になってきています。以前はセンサーの前にミラー(鏡)があり、それが光を90°反射させてペンタプリズムを通り、ファインダーへと届けていました。これが光学ファインダー(OVF)です。


(キヤノンのサイトより拝借)

しかし、これを撤廃し、センサーのデータを直接見られるようにしたのが電子ファインダー(EVF)です。これによりカメラの小型化と軽量化が進んだだけでなく、電子ファインダーのいいところの一つに、リアルタイムで「今シャッター押したらこう撮れますよ」というのが判るようなったというのがあります。

それまでは撮ってから液晶画面で結果を確認して、明るすぎたり暗すぎたりした場合は撮り直しをしていましたが、ほぼ一発で撮れるようになった訳です。これはもう本当に便利です。

で、ソニーも以前は光学ファインダーのカメラも作ってはいましたが、かなり早い段階からミラーレスに注力するようになりました。もともとソニーはカメラ事業をコニカミノルタから譲渡される以前からビデオカメラやテレビのメーカーでしたから様々なノウハウは持っていましたし、何よりセンサーのメーカーという強みを活かし、最新のセンサーをすぐ搭載出来るので、他社より高性能なカメラを先んじて出すことが出来る訳です。

次点のキヤノンもセンサーは自社開発出来ますし、全体的に高性能な機能も開発出来る+宣伝費がすごいので、新規を含めてユーザーへの訴求力があるので高いシェアを持っています。
問題は他のメーカー。先程のニコンだけでなく、パナソニックもミラーレスカメラを作っていますがシェアはかなり低いです。

こうなると高額な開発費を回収出来ない状態に既になっていると思うので、近い将来オリンパスと同じように事業譲渡という可能性も高いと思います。国内のメーカー(というか海外のメーカーなんてほぼ無いんですけど)はどこも非常に高い技術を持っています。どこのカメラを買っても正直大きなハズレはありません(一般ユーザーの話ね)。ですが、各種開発費を回収して更に利益を出せるほどパイが大きくなくなってしまった&高性能化+高価格化しすぎてユーザーが追いつけていないのです。

ちなみにニコンももちろん高い技術力を持っていますし、昔からのユーザーもたくさんいますが、最近はなんというか…地味になってしまいました。決して悪い製品を作っている訳ではないのですが、ここまでシェアが下がっていることを考えると、他社へ(特にソニーへ)流出してしまったんだと思います。


カメラは昔から“マウント”でユーザーを囲って他社になかなか移れないようにしてきました。マウントというのはカメラのボディとレンズの接点のこと、もしくはレンズの規格そのものを指します。例えばキヤノンの昔からのマウントに「EFマウント」というのがありますが、これはニコンやその他メーカーのカメラにそのまま装着することは出来ません。

なので、他社のカメラを使うことを決めた場合、一式売り払うかめっちゃお金持ってる人が両方買うかの大体どっちかでした。もちろん前者の方が多いので、使うカメラのメーカーを変えるということはかなり覚悟の要る決意な訳です。

ということで、一度流出してしまったユーザーはなかなか元に戻ったりはしないので、よっぽど途轍もなく魅力的な性能な物が登場しない限り、急激にシェアが改善するというのは無いでしょう。つまりニコンは非常に厳しい状態にあります。

パナソニックのシェアがイマイチな理由は2つあります。1つは以前からオリンパスと「マイクロフォーサーズ」という規格で協力&競争をしてきました。この二社のレンズは相互に使うことが出来るという魅力的なものだったはずなんですが、オリンパスは最初から一貫してボディ側で手ブレ補正をしてきましたが、パナソニックはレンズ側に手ブレ補正機能を搭載してきました。つまりオリンパスのレンズをパナソニックのカメラに付けると手ブレ補正が全く無い訳です。(※特に古い機種)

数年前からパナソニックもボディ側に手ブレ補正機能を搭載して、レンズの手ブレ補正と連動させて強力な補正を行っていますが、オリンパスのレンズを付けた場合小さい補正機能しか働きません。その他、同じメーカー同士でないと働かない機能なんかもあったりして、せっかくの共通マウントの強みを活かすことは出来ませんでした。

ミラーレス市場を開拓したのはオリンパス・パナソニックだったので、小型軽量を好むファミリー層・高齢層・山登りする人・コンデジなどからステップアップした人たちを上手く取り込めてはいたのですが、更に高画質を望むユーザーは他社に流れるしかありませんでした。

徐々にシェア率が下がっていたマイクロフォーサーズのユーザー数を更に二社で分割したような状態ですので、そらシェア取れませんわ。加えてマイクロフォーサーズというセンサーはサイズが小さいので、センサーの性能向上に限界が来ていました。

そこでパナソニックはミラーレスカメラでフルサイズセンサーのラインナップも用意しました。しかしマイクロフォーサーズとは全然サイズが違うので、それまでのレンズを使うことが出来ません。全部新しく買うしかないのです。それもかなり高いやつを。
そらシェア取れ(ry

新しいマウントを出した場合は、基本的に時間をかけてじっくりユーザー数を増やすしかありません。その間もボディ側の性能も目に見えて上げていく必要があります。ソニーはその辺ものすごく上手いことやった訳です。

最近キヤノンはミラーレスカメラのマウントとして「RFマウント」というのを作りました。これも新マウントですので、また1から揃え直しかと思いきや“マウントアダプター”というのを介して従来のEFマウントレンズも使うことが出来ます。なので、ユーザー側としてはとりあえずしばらくは従来のレンズ資産を使用しつつ、新しいRFレンズを買うために貯金出来るということです。


最初の方で特に若い人の収入が~と書きましたが、じゃあ全体的に大幅に所得が増えた場合、各メーカーの業績は改善するのかと言えば間違いなくするでしょう。ですが開発費の高騰が続くという状況には変わりはないので、どのみち再編は起こっていたと思います。

最近はメディア関連の方もスチルカメラから動画の方へと大きくシフトしてきている状況です。なので、各メーカーは最近そういった動画配信者向けの商品を展開していますが、果たしてどうなるか。この辺はyoutube次第という、生殺与奪権を握られているようなもんですので状況次第では壊滅ということもあり得るんですよね。

本当はここから更にカメラではなく写真界隈の話もしようかと思ったんですが長くなりすぎるので、最後に各メーカーの今後を予想して終わりにします。


Canon:ニコンとキヤノンどっちが生き残るか、と聞かれたらまぁ間違いなくキヤノンの方でしょう。総合的な開発力はキヤノン社の方が上だと思います。カメラ以外にも手広くやっていますからね。

Nikon:マジでヤバいです。売上の大半をカメラ事業に頼っているので、ここが改善しないことにはオリンパスの後追いになる可能性は大です。よくニコンはミラーレス市場に乗り遅れたと言われてますが、実はそんなことはなく2011年の段階で「Nikon 1シリーズ」というのを出していました。が、センサーのサイズが小さかったり、「連写機能が得意」という全体には通じないウリ文句だったのでシェアは取れなかったんですよね。

SONY:現在イケイケ絶好調ですが、全体的に高価格帯メインのラインナップになってきているので、新規ユーザーが入って来にくい&買い替え需要がどこまで続くかにかかっています。ただ、ソニーはまだ技術的な隠し玉を持っているっぽいので、そこが楽しみですね。

Panasonic:近年は赤字が続いているということですので、ここもカメラ事業は切られる可能性は高いなと思っています。パナも昔からビデオカメラを作っていたので動画方面には強く、その辺にかかっているかなぁと。

富士フィルム:かつての中判カメラのような超高画素機とレトロデザインカメラの独自路線を走っています。フィルムメーカーという強みを活かし、かつて人気だったフィルムの色再現モードを搭載しているので、昔からのカメラマンには人気です。別メーカーのカメラを持っている人も趣味的カメラとして持つ人が多いと思いますので、長く生き残るのではと思っています。生き残って欲しいなぁ。

オリンパス:マイクロフォーサーズの最大の強みは小型軽量という点でした。オリンパスは特に手ブレ補正が圧倒的に強いメーカーなので、中年以降の重いカメラを持つのがしんどい層には有り難かったのですが、性能のバージョンアップが小さいのとレンズ性能にこだわりが少ないユーザーが多いようなので、高性能なレンズがあまり売れてないみたいなんですよね。引き取ったファンド次第なのでどうなるか…。

RICHO:リコーはコピー機とかで有名ですが、HOYAからペンタックスブランドを引き取って、昔から販売しているGRシリーズの性能を強化したりしています。ミラーレスカメラはあったと言えばあったんですが、全然売れなかったので従来からのデジタル一眼レフに絞っています。フィルム時代はペンタックス645やペンタックス67という中判カメラで存在感のあるメーカーだったんですが、デジタルになってからは主に風景写真ユーザーが残っているという感じです。細々と生き残れる…のか!?自分も使っているので生き残って欲しいのですが。


あとシグマとかもありますがまぁいいや。メーカー問わず共通しているのは、今のところカメラの性能は頭打ちになってきています。超高画素を使いこなせる人は限られていますし、フィルターをかけて色を変えたり、絵画風に撮れる機能もとっくに陳腐なものになってしまっています。

もうっっ、過去が撮れるカメラを…作るしかないのかっ!?(ねーよ

今回もどちゃくそ長くなってしまった記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。写真業界の未来の話も書けたら書きます。

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