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【ネタバレ注意】「響け!ユーフォニアム ホントの話」の感想など その2

2018/06/08 20:50 投稿

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ごきげんよう。
4月5日に刊行された小説版短編集新刊
「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話」
の感想ブログ。
今回は後半のうちアンコン編を除いた7~11・13話について気付いた事などをネタバレガッツリ込みで書かせて頂こうと思います。

もはや、刊行から2ヶ月以上も経ってしまいました。どんだけ遅筆なんだ自分…。いや、プライベートが若干忙しかったのもありまして…。










以下ネタバレ注意です!



























七、「未来をみつめて」
  • 実は原作ではほぼ初絡みの晴香部長と香織先輩
アニメではかなり親しい間柄だった晴香部長と香織先輩ですが、実は原作小説では今までほとんど2人が交流する場面が無かったんですよね。定演の時にあすか先輩と3人で来る場面くらいしか、2人が絡む場面がありません。その時も直接は会話してなかったり。
なので、小説版でここまでガッツリ2人の会話が聞けたのはとても嬉しかったです。



  • 「あの子は部長しかできない」というあすか先輩の優子評は言い得て妙
3人による優子部長と夏紀先輩の話が聞けたのは、率直に嬉しかったですね。
優子部長は、部長が適任というよりは、部長以外に適任が無いというあすか先輩の評は、少し言葉は強いですがその通りだなと思います。そして、その優子部長を操縦できるのは夏紀先輩しか居ないので副部長を任せたという事なので、この二人が最高学年になった段階で2人は部長・副部長の関係になる以外の道が無かったという事になります。まさになかよし川。そして、それを見事に見抜いたあすか先輩は、人を見る目が的確という事でもあります。
それにしても、あれだけ「自分がユーフォを吹けさえすればそれでいい」というスタンスを表に出していたあすか先輩が、晴香部長と香織先輩には部活全体や今後の事を考えてる側面を見せる所にグッときますね。



  • 晴香部長の心中のつぶやきは、青春の刹那性を強く意識させられる
お土産コーナーであすか先輩と戯れている間、晴香部長は思います。
自分とあすかの友情は、これから先、いま以上の密度を持つことはないだろう。
・・・
でも、いまだけはまだ、自分たちは友達だった。ここにいるのは北宇治高校吹奏楽部の部長であり、副部長であり、パートリーダーだった。卒業後は価値を失う肩書を、忘れないでいたかった。いまを共有している証を、晴香は欲した。
この文章、青春の刹那的な空気を実に鮮やかに表してるなと思うんです。高校生活はたったの3年。留年でもしない限り自動的に最高学年になり、まして部活動の部長・副部長となればそれなりの重圧が降りかかる訳です。そして、1年経てば自動的に引退となります。
その余りにも短い期間に2人が経験した事は非常に濃密で、恐らくは今後の人生でもこれ以上濃密な1年間はなかなか無いと思います。
この文章は、青春の儚さ・切なさ・輝きを見事に表現してると思います。武田先生がお若いからこそ、この青春時代のリアルな空気を表現できるんだろうと思いました。青春ものの創作物として、ここの描写が優れているという事は、作品の完成度に与える影響は非常に大きいです。






八、「郷愁の夢」
  • 新山先生の、憧れる先輩への余りに切ない願い
最初、新山先生は滝先生に憧れてたのかと思ったんですが、滝先生の(のちの)奥さんである千尋さんが新山先生の憧れだったんですね。滝先生が久美子に打ち明けた通り、なかなか活発な方だったようです。
この新山先生の、同性である千尋さんに対する愛情にも似た憧れの感情は、とても共感できるんです。特に以下の部分
千尋にはもっとふさわしい人がいるのでは、と聡美が考えてしまうのも致し方ないことだろう
「そりゃ私も、千尋さんみたいな恋人がいたら四六時中一緒にいたいって考えると思いますけど。あーあ、滝先輩はズルいですよね。いいなあ、こんな彼女がいて」

千尋:私じゃなくて滝君がうらやましいの?

「うらやましいですよ。滝先輩め!って何回も思ったことありますもん。私のほうが千尋先輩を好きなのに!って」
こういう事って、男性同士だとほとんど起こらないんですが、女性同士だと割と起こるんですよね。少なくとも自分の周りでは結構起こってました。この「女性同士特有の距離感」というのは、1巻の段階から作中の空気を醸成する一つの要素になっていましたし、武田先生もそれを表現したかったと明言されています。この短編でもそれはよく表現されてると思います。「お付き合いしたい」とかではないんだけど、その人に相応しい恋人が現れて欲しい、その人の幸せを願わずにはいられない。そんな相手って居るんですよ。
この後の近未来を読者は知っているだけに、心に棘が刺さる最後になっていますが、千尋さんの短い生涯はとても幸せなものだったんじゃないかと思うんです。そして、その幸せな生涯は千尋さんの中では永遠に更新される事がないと考えれば、新山先生が願った「千尋先輩の永遠の幸せ」は、叶ったとも言えるんじゃないかと思います。









九、「ツインテール推進計画」
  • 強豪校になってもちゃんとある賑やかで微笑ましい日常は、良い音楽作りへの大事な土台
とにかく楽しく賑やかで微笑ましい、ホッとする話です。ユーフォシリーズは物語の性質上、どうしてもギスギスピリピリな場面が多く登場するのですが、いくら強豪校とはいえ、こういう空気もちゃんと存在してるんだというのを垣間見れると何だか安心します。そして、こういう和やかな空気は、音楽を作り上げる上での、大事な土台の1つだと自分は思います。やっぱり、部内の空気がギスギスしてては、演奏する音楽もギスギスしたサウンドになってしまいますから。





十、「真昼のイルミネーション」
  • 十話の一文で気付かされる、一話での希美先輩の成長
自分がこの話を読んだ時に最も印象に残ったのは以下の部分です。
他人の悪口を言うほうが、自分自身と向き合うよりもずっと楽だ。苦しいことと向き合うには未来はあまりに長いから、理不尽さを誰かにぶつけて解決したと思い込みたくなる。でも、自分がそんな人間になるのは嫌だ。希美は、自分のなかにある醜い部分から目を逸らさない人でありたい。
「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」において希美先輩の中でくり返し現れた負の感情は、自分の中にある「醜い部分から目を逸らさない」事を実践した結果という事だった訳です。ここを読んで始めて、実は1話の段階で希美先輩は精神的成長を遂げているんだという事に気が付きました。
この感覚は、希美先輩が元から持っていたものなのか、みぞれ先輩との関係性の中で築いたものなのかは分かりませんが、自分は、やはりみぞれ先輩の覚醒を目の当たりにして、涙ながらに久美子に独白をしたあの体験があって、この感覚に辿り着いたんだろうと考えています。そうだとすれば、希美先輩にとってあの経験は決して無駄ではなかったと言えますし、復部を決断した事は彼女の人間的成長にとってプラスになったと言えます。
「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」を先にHPに上げておいて、短編集にこの話を載せる事で「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」の希美先輩の姿勢の理由が紐解かれるというこの手法に、"お見事"と感嘆の声を上げてしまいました。







十一、「木綿のハンカチ」
  • 高校時代にちょっとだけリペアを目指した記憶が呼び起こされた
実は、高校時代に少しだけリペアを目指した事があるんです。
社会人になっても音楽は続けたい。出来れば音楽に携わる仕事がしたい。でも実際問題、音大や教育大は無理。ならばリペアならいけるんじゃないか。そんな夢は「リペアは食べて行けるだけの給料を貰えないからやめとけ」という諸先輩方の助言によりあえなく砕け散った訳ですが・・・。
それにしても、この2人の安定感は凄いですね。既にご両親からの信頼も得ている事を考えると、これはもう結婚するしかないですよね!後藤先輩には是非頑張って、腕の立つ高給取りのリペア目指してもらいたいです。





十三、「飛び立つ君の背を見上げる(D.C)」
  • 優子部長視点で見えるみぞれ先輩の成長
「飛び立つ君の背を見上げる(Fine)」と同じ場面の、優子部長視点の話。希美先輩と夏紀先輩が、優子部長とみぞれ先輩と合流する前に何があったのかが種明かしされます。
ヒミツの話に収録されている「きみのいなくなった日」という話の中で、みぞれ先輩は1年生の時、希美先輩が辞めた時に声を掛けてくれた優子先輩に対して
多分、彼女は自分に気を遣ってくれているのだ。幼馴染みに見捨てられたみぞれがかわいそうだから。だから、こんなふうに優しくしてくれている
なんて余りにも卑屈な感情を抱きます。
さらに2巻での希美先輩との和解のシーンでも、希美先輩が戻ってきたとなった瞬間、あれだけ寄り添ってくれた優子先輩を置き去りにして希美先輩の懐にどっぷり浸かりに行ってしまいます。そして、希美先輩とみぞれ先輩の関係は元の木阿弥。
一応、定演の時などには優子部長はじめ、他の部員にも目を向ける場面もあり、少しずつ視野が広がって来てる様子があったものの、第二楽章では「希美が・・・」の一点張り。
そんなみぞれ先輩が、第二楽章後編を経て、自分の意思と言葉でちゃんと優子部長にお礼を述べる訳です。本当に、ようやくみぞれ先輩も自立した大人としての一歩を踏み出したと思えて、嬉しかったというよりホッとしました。アンコン編で希美先輩が言ったように、みぞれ先輩はもう1人でも大丈夫だと思います。優子部長は
「みぞれのことやから世話焼いてくれる友達がいつのまにかできてそうやな」
という言い方をしている辺り、ある意味希美先輩よりはみぞれ先輩を信用してないんだろうと思います。ま、優子部長の気持ちも分からなくはないですが。






  • 優子部長と夏紀先輩の厚い厚い友情は、親友を超えて「心友」レベル
2人とも青春時代にこんな「心友」に巡り会えて羨ましいです。







  • 短編集の一番最初の希美先輩視点の話が「Fine」で、一番最後の優子部長視点の話が「D.C.」
"その1"でも書きましたが、「Fine」というのは「繰り返しなどで戻った時に『Fine』の所で曲を終わらせる」という意味の音楽記号です(フィーネと読みます)。一方「D.C.」は、曲の一番最初に戻って繰り返すという意味の音楽記号です(ダ・カーポと読みます)。
希美先輩視点の、希美先輩とみぞれ先輩とのやり取りが中心の話は「Fine」。つまり、2巻で最初の共依存状態に戻ってしまった二人の関係も、お互いが自立し別の進路を行く事で「終わり」を迎えます。
一方、優子部長視点の、夏紀先輩へ宛てた手紙がベースとなっている話は「D.C.」。二人は同じ大学に進学するので、お互いの関係は「初めに戻って繰り返し」。
しかも、「Fine」を1話目にして「D.C.」を最終話に持ってくるなんて、武田先生はおしゃれな事をするなとニヤッとしたりしました。









取り敢えず、アンコン編以外の感想は以上になります。
ほんと、自分の遅筆っぷりが恐ろしいですww


それでは、
ようやく、いや今更と言ってもいいほど時間が経ってしまっていますが、後日アンコン編の感想を上げますので、気長にお待ち頂ければと思います。




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