「だから言ったじゃないですか! 早く切り上げて道場に行きましょうって!」


「……はい」




少女が声を荒げながら、俺の前をずんずんと歩く。年上なのに叱られている俺は、無意識に猫背気味になっていた。


先程のカジノのスロットでは、「小当り」が出て一時的に手持ち金が増えることもあったが、そのままジリ貧状態が続き、有り金のほとんどをスってしまった。真っ白に燃え尽きた俺は、少女に引きずられるまま、父親の目撃情報があった道場に向かっている。


カジノでは何度も何度も「もう行きましょう」という彼女の忠告を聞いていたのだが……。なぜだか体が動かなかったのだ。これがギャンブル依存症というやつか。




「いや、でも、もしかしたらあそこで大当たりが出るかも知れないって考えたら、やめるにやめられないでしょーよ」


「その結果、ほとんど無くなっちゃったんですから本末転倒ですよ!」


「ごめんなさい」


ぐうの音も出ないほどの完全論