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【日本代表】ベネズエラ戦【レビュー】

2014/09/10 12:43 投稿

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ベネズエラ戦こそ試金石となるはず

 アギーレが日本代表の監督に就任して初めての試合がウルグアイ戦でしたが、自分はこの試合はあくまでお披露目であって実力を測るには、むしろこのベネズエラ戦こそ試金石になるのではないかと考えていました。まあ、仕事の都合でベネズエラ戦は見れたというのもあるのですが。

 ハイライトで見る限り、現状で早急に修正しなければならないのはビルドアップ時の不用意なパス回しであったり、その判断力であったりします。ウルグアイ戦の1点目、カバーニが決めたシーンを見てもわかるように、ディフェンスのいいカバーニがいる方向にわざわざパスを出すという失態。どう考えてもそちら側じゃなくまずは確実な選択肢を取るということが出来ていない。カバーニほどディフェンスのいいFWがJリーグにいないというのはあるかもしれませんが、普段からそういった軽率なプレーをしている証拠でもあります。

 2失点目にしても何でシンプルにクリアしないのか?もしくはスルーしなかったのか理解に苦しみます。それをしなかったのはより効果的にボールをつなぎたいからということ以外理由がないように思いますが、それをする為にわざわざピンチな状況を作るというところが理解に苦しみます。ディフェンスにおいてはまずは失点しないことが重要であって、そこからの効率性などはその前提があってのことだと思います。

 そういった意味で、ウルグアイ戦で見せた最悪のディフェンスをベネズエラ戦までの短期間でどの程度修正できるかは見ものでしたし、この程度のことを修正できないのであればお先真っ暗と言ったところでしょう。


5枚の中盤に慣れ切った弊害 ~4-3-3の布陣を敷くにあたって

 アギーレの最大の特徴と言えば、これまで慣れ親しんだ4-2-3-1というフォーメーションから4-3-3というフォーメーションに変えたところです。アギーレの場合中盤の3枚は、アンカーを一人置いて、その前に2枚置くと言う戦術。バルセロナ、うーん、どっちかと言うとミランなのか。そんな中盤を採用しています。

 4-3-3の場合、中盤が3枚しかいない為、中盤に求められる要求はかなり高くなります。簡単に言えば、走れて守れて攻撃も出来て、相手もいなせてといったいわゆるセントラルに求められる選手でないと中盤はもたない。もちろん現実には3枚で中盤を形成するのは無理なので、ウィングやサイドバックの動きやポジショニングも重要になります。

 現代サッカーにおいては中盤の重要性は非常に高い為、わざわざ中盤を薄くするこのフォーメーションを採用するということは、選手一人ひとりの体力、走力、献身性、戦術眼が問われることになります。私が考えるに、このフォーメーションを支えるにはいくつかの条件があるように思います。

①FW両サイドのスピード
②インサイドハーフのテクニックと戦術眼
③アンカーのポジショニング能力とボール奪取能力
④両サイドバックの高いポジショニングと上下運動
⑤CB2名のハイラインを維持する忍耐力と走力

他にもあるでしょうが、最低限これらの条件を満たす必要があるように思います。4-3-3というのは基本的に中盤が薄い為、選手密集率を上げる必要性があります。そうしないと選手間の距離が間延びしてしまい、パスを回すにも距離がありすぎて相手に読まれやすくなる。その上で、攻撃の際には中盤でボールを奪われることは許されないため、縦へのスピードが重要になります。特にシフトチェンジですね。良く攻撃はシュートで終われと言いますがそれに近い発想が必要になります。

 逆に、最悪なパターンはビルドアップ時に間延びしてしまい、ボールホルダーが強いプレスをかけられてボールを奪取されてしまうパターン。これだけは絶対に避けねばなりませんので、アンカーの役割はディフェンスではなく、それを交わせる程度の足技と正確なパス能力は必要になると思います。

 これが今までのように中盤に5枚という布陣を引いていればパスコースはかなり選択肢があるのでそれ程問題になりませんが、4-3-3となると攻守の切り替えのスピードと発想が明らかに変わってくるので日本にとってはかなりしんどいフォーメーションになるように思います。


前半はビルドアップとプレスのかけ方が4-3-3のそれではない

 ベネズエラはウルグアイと日本がやった試合を良く研究していたのかビルドアップの部分で中盤にボールが入る瞬間を良く狙っていました。それは、日本の中盤がもった時にその中盤の選手は孤立していると言うことをよく理解していたからだと思います。加えてフィジカルの弱い日本の選手では強くプレッシングすればボールを奪える可能性が非常に高いのでそういうディフェンスを何度も見せていたし、にもかかわらず、日本はそれを修正するということが出来ませんでした。また日本は守備時のプレスにも効果的なプレスをかけることはしませんでした。選手一人が単体でプレスをかけるので、さほど効果的とはいえない。

 これらに共通するのは選手密度の問題です。中盤に3枚なんだから3人でどうにかせいと言っても現実には無理です。私は放送中にバルサと同じようにやればいいと言いました。高いラインを敷いて、サイドバックも高いポジショニングを取れば人口密度の問題は概ね回避できるはずです(その代わり、DFラインの裏に広大なスペースが出来るというリスクは負うことになります)。そうすることでパスコースと距離で5枚の中盤の時のような選択肢が生まれてくるはずです。ここで絶対回避しなければならないのは、自陣でボールを奪われることです。DFラインの裏のスペースよりもこれは非常に問題であるということ。なぜならばサッカーにはオフサイドというルールがありハイラインを保っていてもある程度それで危険は回避できるからです。逆に、自陣でビルドアップの時にボールを奪われ、ディフェンスの準備が遅れればいくらラインが安全な位置に敷けていてもDFの動きが緩慢になりピンチを招きます。

 こういうシーンを前半は何度も見たし、ベネズエラだから点が入らなかったけど3点は取られてもおかしくは無かった。


後半はプレスのかけ方を修正。プレースピードの遅さは問題

 後半戦はプレスのかけ方を修正し、人数をかけて強くプレッシングする修正を加えました。それで戦局はだいぶまともになりましたが、その結果、問題も出て来る結果となりました。せっかくボールを奪っても、そこからの展開が非常に遅い。ボールを奪ってから、次にどうするかと言う選択肢を捜しているようで、折角の前の3-3でサイドバックの攻撃を加えた8人での攻撃態勢が活きることはありませんでした。2点を取ることには成功しましたが、いずれも単発と言った感じでチームとしての意図を感じることはあまり出来なかった。4-3-3の長所を活かした攻撃とはいえなかったと思います。

 その原因は、ボールを奪うとシフトダウンしてしまうところにあります。簡単に言えばボールをどこで奪うか、どのように奪うか、奪ったらどうするかと言う意思統一が出来ていないわけですが、もしパスコースを探すのであれば、ボールを奪った勢いを殺さずそのままのスピードで探すべきだと思います。縦にシンプルに早いサッカーこそが4-3-3の本来の特徴であるわけですから、それをなくしては何の価値もありません。

 あとはFWの動きが問題です。あまりにもポジションに囚われすぎている感があります。サイドでボールを持てばウィングですが、そうでない場合特に逆サイドのFWはCFと連動して点を取る意識をもっと持つべきでしょう。その為には、グラウンダーのクロスをもっと多用すべき。2点目の柴崎のボレーは素晴らしかったですが、あういうクロスではなくグラウンダーの早いクロスにあわせるという攻撃をチームとして意識すべきだと思います。その方が小兵が多い日本人に合っているし危険性のある攻撃ができると考えるからです。何故かクロスと言えばハイボールというイメージが日本人は強すぎる。ユナイテッドやベッカムを見すぎなんですよ。ベッカムのようなピンポイントであわせられるクロッサーなんか日本にはいやしないんですから。


今からアギーレの代わりを探したほうがいいかもしれない

 ベネズエラ戦を見て思ったのは、4-3-3が日本には絶望的に合っていないシステムであるということです。まだ2戦しかやっていないと言われればそうですが、ウルグアイ戦の修正をベネズエラ戦にかけることが出来なかった。進歩が無かった感じを受けました。せめて、ビルドアップでボールを奪われるところくらいは修正して欲しかったと言う感じがします。この現状から4年後と想像してみると4年後も同じことをやっているんじゃないかなという気がしてなりません。なぜならJリーグそのものが変わらないと思うからです。なんとなくサッカーかぶれのぬるま湯サッカーをやっていては本質的に選手が変わることは無いでしょう。プレミアを手本にしているならそういうサッカーをするチームが現れ、それがメインストリームになればアギーレのサッカーもよくなるでしょうが、ちんたらサッカーではまず無理です。

 協会は2年後に監督を変える準備をしておくべきだと思います。ちょっとこの2試合では未来が見えません。こうしたいと言うことはわかってもそれを体現できるかと言えば選手の質が追いつかないように思えてなりません。

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