ムーロンハイ

Funny Bunny(荒木比奈によせて)

2020/05/05 20:36 投稿

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『キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ』(the pillows/Funny Bunny)


 ――満を持して、デレステにて虹色ドリーマーのイベント『オタクisLOVE!』が開催された。イベントコミュ、カード各々☆1のポイント分でも参加されたプロデューサーにまずは感謝を。私は☆13以上を積み上げる地力がなかったのが悔しい。☆15を積み上げたプロデューサーには最大の敬意を。

 今年もコンスタントに荒木比奈や、彼女に関わるアイドルに仕事を与えることができて非常に感謝している。当然、運営の思し召しはあるだろうが、それを作ったのは私一人だけではない数多くの担当Pたち、そして荒木比奈というアイドル(あるいは彼女を構成するなにかしら)に触れて縁となり、応援し続けるファンのみなさんの気持ちがあってこそだ。

 決して少なくはないコンテクストを通じて、荒木比奈というアイドル、更に彼女を一人の女性として改めて考えたいという思いが募ったので、ここに筆を執っている次第である。


 特にデレステで顕著だが、彼女が好きなものをそのまま仕事に反映させてしまおうという大胆な展開がある。虹色ドリーマーイベでは神谷奈緒、安部菜々とともに同人誌を作り、更にはそれ自体をステージにしてしまった。

 また、演劇形式となったツアーカーニバルにおいては魔法少女役として主演を務めることとなった。こちらも魔法少女モノの体を取りながらも同人誌に対する強い肯定がある。なんといっても相方は大西由里子である。

『趣味:漫画描く』

 これは、荒木比奈の公式プロフィールにもある一行である。なぜテニヲハが抜けたのかはよくわからないがとにかく、漫画を通じて創作活動を行うことを大切にしているのが彼女の特徴だ。サインにもイラストが添えられているぐらい、それは重要なことである。

 重要なことだが、それを生かすことができたのはごく最近のことだ。モバマスの展開では、彼女自身が持つ魅力に気づいてもらうことが、まず優先されていたように感じる。いろんな妄想はできるが、アイドルとしての荒木比奈に、特に身体的に自信を持ってもらいたかったところがあったのだと考えている。

 荒木比奈のいわゆる”オタク趣味”が、アイドル稼業において肯定されるようになったきっかけは、総選挙楽曲『恋が咲く季節』のジャケット撮影だったと記憶している。ジャケットではいつもの太縁眼鏡、傍らには紙袋にポスターと、わかる人にはわかる出で立ちで写っていた。

 デレステのイベントでもオタク趣味がフィーチャーされるような展開になっていた。それはalwaysイベントにも引き継がれた。眼鏡を外し、衣装に着替え、ステージに立つことにおいては自信をつけつつあったと思われていたため、そこからもう一歩踏み込もうとした。


 デレマスの世界では、かなり、アイドルのありようが寛容されているのだということは以前から見て取れる。テレビをつければアイドルがバラエティ番組を仕切っている。オタク趣味の部分を提示すれば、それは荒木比奈に対して親しみやすさを覚えるきっかけになるというのは想像に難くない。

 だが、その過程において思わぬ壁にぶつかってしまう。それが描かれたのが上条春菜とのユニット、サイバーグラスによる楽曲『Needle Light』イベントであった。上条春菜は自他とも認める眼鏡アイドルである。もっとメタの部分で言えば、誇らしく、確固たる価値を人に指摘されずとも自ら持っているということである。

 荒木比奈はそこで躓いてしまう。彼女はちらっと書いたように、眼鏡を外してステージに出る。俗には裏切り眼鏡とも呼ばれるこの行為、彼女の場合は理由づけができ、眼鏡を外すということは内面に持つ心の殻を破り、ステージで輝くということであった。

 プロデューサーの指示を受け、意識的に行っていたことも、いつの間にか当たり前のことになっていく。だがそれは必ずしも理由づけが失われるということではない。プロデューサーはそこを見落とし、安易に眼鏡アイドルユニットとしてサイバーグラスを提案してしまった。

 荒木比奈にとって眼鏡を掛けたままでいるということは、自分のコアの部分をそのまま見せるということだ。彼女は、川島瑞樹に問われた『アイドルとしての自分らしさ、目指しているもの』に対する戸惑いを隠せなかった。それが上条春菜にも伝わってしまい、一時の不安に繋がった。

 更にここで大事なことがある。このやり取りのとき、荒木比奈はオタク趣味をさっと隠してしまった。もちろん『眼鏡アイドル』という文脈に呼応した形ではあるが、彼女にとってオタク趣味とは、その時点では本棚にカーテンを掛けるような存在だったということだった。

 Needle Lightにおいては荒木比奈の部屋で彼女と上条春菜とで話し合ったり、特に前述の川島瑞樹、そして佐々木千枝や松本沙理奈――言わずもがな、ブルーナポレオンの面々である――彼女たちの影響を受けて荒木比奈も、眼鏡アイドルとしてのアイディンティティを見い出した。それはオタクisLOVE!のイベントでも見て取れる。最初に話した通り、オタク趣味を強みに変えて、彼女たちにしかできない仕事もやり遂げることができた。


 だが、荒木比奈はまだ克服できていない。(嫌いな言い回しなのだが)自己肯定感の低さが否めない。彼女はずっと、残念なことだが今でもおそらく、自分がアイドルでいられるのは自分の力ではなく、誰かがすくい上げてくれているからだと思っている。


 そんな訳はない。


 私は勧誘ノルマで街を歩く荒木比奈に声をかけたわけじゃない。どんな姿でも、すでに彼女は光り輝いていたのだ。もう充分すぎるぐらいに魅力的な女性だったのだ。誰かの言葉を借りれば、絶対的に、荒木比奈なのだ。

 もっと自分の力を信じていい。その上で、周りのみんなに感謝をすればそれでいい。あなたの評価は隣りにいる人で決まるのではない。あなたの価値はあなた自身が決めなければいけない。それが理解できたらきっとあなたはもっと魅力的になれる。アイドルでなくても、誰もあなたを放ってはいられなくなる。そして曖昧模糊だった自分の感情の形にも気付ける。



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