今回も斑鳩のレイアウトの解説を行いたい…と、思ったのですが、よくよく考えたら本作のほとんどのカットで使われているカラーコレクション(以下カラコレ)について解説していなかったので、今回のテーマはそれでいこうと思います。
映画やドラマなどにおいて、撮影した映像の色調を加工せずそのまま商品として使われることはまずありえません。不気味なシーンでは暗く、陽気なシーンでは明るい画面にするといった、映像の色彩を補正し画面の雰囲気を変える作業、それがカラコレです。現場や年代によってカラータイミングとかグレーディングとか変わりますが、ここではカラコレで統一しておきます。
一見難しそうに見えますが、実際難しいです。シーンごとのストーリーの演出意図や雰囲気を理解する必要がありますし、そこから効果的な補正を加えられるセンスと色彩感覚が必要です。とはいっても物は試し、早速やっていきましょう。
本来であればAftereffectのような動画加工ソフトを用いるべきなのですが、ここではいつものようにAviutlでもできる方法を紹介します。
まずは、適当な背景と立ち絵を配置します。練習なので置き方については今回は深く考えてないです。立ち絵が向かい合った、いつもの見慣れた光景ですね。
次に、「メディアオブジェクトの追加」から「フレームバッファ」を呼び出します。使ったことのない人に軽く説明すると、フレームバッファより上のレイヤーに配置したオブジェクトを1つのオブジェクトとして表示する事ができるオブジェクトです。
↓のGIFにある手前の黄色い枠があるオブジェクトがフレームバッファ。
http://aviutl.info/hure-mubaffa/からお借りしました
複数のオブジェクトを一つの画面として扱えるので、「オブジェクト一つ一つではなくて、画面全体そのものにアニメーション効果をかけたい!」というときにフレームバッファが役に立ちます。
↑こちらはグループ制御を用いて、一つ一つのオブジェクトに同じ数値(250)のクリッピングをかけたもの。それぞれのオブジェクトの大きさに合わせて切り取られているため、長さに統一感がない。ゆかりさんかわいそう。
↑対してこちらはフレームバッファにだけクリッピングをかけ、「フレームバッファをクリア」にチェックを入れたもの。画面全体がスパッとキレイに一直線に切り取られている。でもやっぱりゆかりさんかわいそう。
この特徴を利用し、フレームバッファの色調をいじることで画面全体の調整をしていくことになります。
フレームバッファを呼び出したら、色調補正をいじる前に、合成モードを変更します。フレームバッファの設定ダイアログにある「合成モード」をクリックすると、加算だとかスクリーンだとかいろいろ出てくると思います。
一つ一つ、簡単に説明していきましょう。
合成先の画像(フレームバッファより上のレイヤー)の要素に、合成元の画像(フレームバッファ)の要素を「加算」します。具体的には、合成先の画像が青(RGB(0,0,255))だとして、合成元の画像が黄(RGB(255,255,0))だとしたら、足し算して白(RGB(255,255,255))になります。
要するに、ここで使うと色の高さが二倍になり、白色に近づくということです。黒色はRGB(0,0,0,)なので、透過されます。ニコニコモンズにある動画素材のほとんどはこの仕組みを利用しているわけですね。
足し算引き算とくれば、当然掛け算もあるわけです。こんな感じに計算します。
合成後 = 合成先画像 × 合成元画像 ÷ 255 子供のころ算数苦手だったから頭痛くなってきた…
特徴としては、画面が少し暗くなり、白(RGB(255,255,255))は透過されます。ちょっと日陰にいるような、そんな雰囲気になりましたね。
「輝度」が50%より明るい部分はより明るく、「輝度」が50%より暗い場合はより暗くします。実際はちょっと違うらしいですが。
若干暗くなりますが、色に厚みが生まれました。個人的に一番使う合成モードです。斑鳩でもこれがよく使われています。
比較(明)と比較(暗)、輝度、色差はカラコレでは使わないので省略します。興味ある人は調べてみてね。決して説明がメンドくさかったわけじゃないよ。うん。
明暗
この中から、場面に合いそうな合成モードを選んでいくことになります。
「結局どれ選べばいいの?」という方もいらっしゃると思うのでざっとまとめると、
暗い場面、シチュエーションの場合⇒ 乗算、オーバーレイ、陰影
今回は明るめですが、日陰のある室内のシーンなので、合成モードは「乗算」にします。
長すぎたのでつづきは次回に。では。
Photoshopなどの描画モードにあるような機能はほぼ網羅されていると思うので、ぜひ導入されてみることをお勧めします。
では。