この曲を作る時念頭に置いていたのは川本真琴の2nd(gobbledygook)だ。
このアルバムに入っている曲は、「桜」「微熱」などのいわゆる歌謡曲なコードチェンジをしているものもあるが、
自分が惹かれたのは「キャラメル」「Octopus Theater」あたりの、延々と同じコードが続くタイプの曲。
延々と続くというと、ブルース、ファンク、リフモノロック、あたりを創造してしまうが、
そういう感じでもないのだ。
上記のジャンルはリフが重要でリフの上でやっていくが、「キャラメル」あたりはそうではなく適度に遊びがある。
おそらく、モードジャズから来てるのだと思う。
そのニュアンスを出すべく、コードは一つで、ワンコードのまま内声を動かそうと思ったのだが、
なかなかうまいパターンが思いつかず、結局オープンGチューニング + カポ4でBmaj7の上で微妙に構成音が動くというパターンになった。
Bmaj7ということで、おそらくモードとしてはイオニアン・モードではないだろうか。
リディアンだったらFの音、ミクソだったらAの音が入ってきそうだけど入ってこなかったので。
あとはその基本パターンにメロディを乗せた。
メロディ自体はわりとポップなものができたと思う。
それがAメロで、Bメロについてはさらにモードっぽい。
マイルス・デイヴィスもやっていた、半音上への転調である。
具体的にはCmaj7にコードが変わっている。
ただこの転調の扱いが微妙で、詳しい人に解説してほしいくらいなのだが(作っておいてなんだが)、
「コードはCmaj7に変わったけど、モードはBエオリアンのつもり」という作り方をしている。
つまり先ほど半音上への転調と書いたが、
それはギター、エレピ、ベースなどの伴奏にとってはそうなるが、
ボーカルは「Bイオニアン -> Bエオリアン」という同じBを主音にした別のモードへの転調、というつもりで書いている。
サブドミナントマイナーというコードの種類があり、
それを使う場合はそれまでメジャーだったとしてもマイナーのメロディを歌うと合う、という経験則がある。
例えば 「F Fm C」というコード進行で、
Fmのところだけマイナーの動きをすると合うのだ。
それを引き伸ばした感じが今回の曲のBメロだと自分では思っている。
スティーリー・ダンとかがやってそう(適当)。
このBメロはちょっと自分でも難しかったので長くなった。
アレンジ・ミックスはそんなに苦しむことはなかったが、
しいて言えばベースをシンベにするかで悩んだ(結局アップライトベースを採用)。
イントロは最近の自分によくある、
「少しずつ音が増えていくやつ」だが、
「人の間」の好評を受けて音の増やし方を
「一音源単位で増える」のではなく
「ワンノート単位で増える」ようにした。
つまり今まではキック、スネア、ハイハットとか楽器の塊が増えて行っていたのだが、
今回はキックも増えていき、スネアも増えていき、ハイハットも…というような「同時進行」になったのだ。
歌詞はもう夏を先取りしている。
子供の頃、妙に天井を横切るヘッドライトが気になったことがあって、
それを膨らませた感じ。
なんか幼馴染的な彼女がいたことになった。
現実を改変してしまった……。
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