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寄生獣から連想する作品

2014/12/08 20:20 投稿

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現在映画公開中の「寄生獣」。

 人間が地球の環境を汚している。人間が他の生命を殺している。地球のためを思うなら、人間の数を減らさなければどうにもならない。それにはどうしたらいいか。人間には「天敵」がいない。以前は狼や熊、虎のような肉食動物がある程度人間の天敵の役目を果たしていたかもしれない。
 あるいは毒のある昆虫やサソリ、ムカデなどがそういう役目をしていた時期もあったかもしれない。コレラやペストのような伝染病を起こす細菌や、エイズやエボラなどのウィルスがそうかもしれない。
 だが人間は知恵でこうした相手を駆逐してきた。これではだめだ。

 人間の天敵は、同じ知的生命体でなければならない。どこかで誰かがそう思い、人間の天敵「寄生獣」が生まれた。

 ある日寄生獣の卵が空から(映画では海から)舞い降り、卵から孵った、細長い身体を持ったミミズともヘビともつかない幼体は、眠っている人間の耳の穴や鼻の穴から侵入し、脳を食い荒らして その人間になりすます。

首から上はもとの人間の容貌を模しているが、寄生獣の身体に置き換わっており、自在に変形できるようになる。
(イメージとしては、下のあまりグロくない動画を参考に想像してください)


↓この動画はコメントを非表示にしないとよく見えません。


 巨大な口になって他の人間を食べ、鋭利な刃物となって人間を殺す。
先端が刃物となった触手をムチのようにふるい、相手を切り刻む。

 最初の頃は見境無く人を襲い、死体も片付けずに食い散らかしてしまうが、学習能力が高く、人間の言葉を覚え、人間の所作を真似し、場合によっては記憶もものにして、人のなかに紛れ、周囲の人間を少しずつ刈り取って、食べていく。彼らの役割は人間を食べる事。そのために生まれたのだ。やがて彼らの中にも組織や派閥が生まれ、政治家になって人間を効率的に狩ろうとする者や 食べるためでなく腕試しや訓練で人間を襲撃する者も現われる。中には人間を食べずに生活し 人間との共存を図ろうと考える 穏健派 とも呼びうる者もいる。

 主人公は寄生獣の最初の攻撃を退け、頭ではなく右手に侵入される。寄生獣側にも時間制限があるらしく、脳を奪う事無く主人公の右手に留まった状態で成熟してしまった寄生獣は(右手だから)ミギーと名乗り、主人公と奇妙な共同生活を送りつつ会話を重ね、相棒とも呼べる存在になっていく。



 時には好戦的な寄生獣をミギーと力を合わせて倒し、穏健派寄生獣とは微妙な距離を保ちつつ、主人公は寄生獣の存在を察知して動き始めた人類側の戦闘部隊と、寄生獣たちの戦いに巻き込まれていく。

 ミギーには感情がない。他者の命を尊重するという考えも無い。自分さえ無事なら他はどうでもいい。非人間的な言動で、しばしば主人公をいらだたせる。だがミギーは生命の危機に落ちいった主人公を、自分の命も危険にさらし、自分の身体の一部も犠牲にして救う。宿主である主人公から養分をもらっている以上、主人公が死ねば自分も死ぬ。だから自分の命を守るため、と言いながらも、それだけではない様子も見せるようになっていく。
一方、ミギーの細胞によって命を救われた主人公も、人間とは異なる何か に変貌していく。

 寄生獣の存在を感じ取る能力を持つ少女、寄生獣よりももっと残酷な人間の殺人鬼、人間との共存を考え、実験の為人間の子を孕む穏健派、5体が複合した最強の寄生獣、主人公同様寄生獣と共存する人物、主人公と一緒に行動するうちに、人間に近い考え方をするようになっていくミギーなど、様々なキャラクターを通して 人間性とは何か、人間らしさとは何か、という事を繰り返し読者に問いかけてくる。

 最終回を漫画のセリフを使って再現したMMD動画。この段階では人間対寄生獣の戦いは1年前に終息しているが、寄生獣より残酷な連続殺人鬼が主人公のガールフレンドを襲う。ミギーはこれまでの戦いで力を使い果たし、何時覚めるともしれない眠りについている。
 

(以降は私が「寄生獣」から思い浮かべた作品を紹介しますが、5~8割位ネタバレしてます。ネタバレ、ダメ、絶対!という人は読まないほうが)

 と、寄生獣とはこういう作品だが、よく これは形を変えた「デビルマン」であるという意見を聞く。悪魔であるデーモン一族に憑依されながら、人間の心は奪われずに デーモンの強靭な肉体と超能力を身につけた主人公が、人を襲うデーモン一族と戦う事になる。アニメ版ではヒーローものに留まっているが、永井豪の原作漫画版は終盤一気に人間性とは何か?を問う展開となり、相手がデーモンではないかと猜疑心をつのらせて殺しあう人類、人間を守ろうとデーモンと戦う主人公の大切な人たちが、人間の暴徒になぶり殺される、という衝撃の展開。主人公は人間達にお前達こそ悪魔だ!と言い放つ。自分が人間では無いと知っても愛してくれた、殺された恋人の首を抱いて。



 この作品ではデーモンは人類より先に地球に発生した先住の知的生命体。だが氷河期に冬眠に入り、目覚めたときには地球が人類のものになっていた。美しかった地球を汚し続ける人類に激しい怒りを覚え、天敵として人類を滅ぼそうとする。

 永井豪には「魔王ダンテ」という作品もあった。知名度は低いが、デビルマンの原型とも言える作品。こちらの敵は、もろ「神」である。


 「寄生獣」も「デビルマン」も、二つの知的生命体のファースト・コンタクトを描いた作品であり、主人公はその両者の中間の存在である。と考えると、「遊星仮面」や「レインボー戦隊ロビン(パルタ星編)」などとも共通する部分があるかもしれない。

 人間とは異なる価値観を持つキャラクターとしては、「宇宙大作戦」の感情を否定し、論理を重んずる ミスタースポックが思い浮かぶ。彼はバルカン星人と地球の女性の間に生まれ、通常のバルカン人は持たない 感情を持つが故に より論理を押し出して地球人と接しようとする。
 比喩も解さない彼は 事あるごとに ドクターマッコイが持ち出す地球のたとえ話を否定し、おかしみを呼ぶ。
(目的の星まであと少し、匂いを嗅げるくらいまで近づいたぞ というドクターに、
宇宙空間で匂いは伝播しない、貴方の発言は論理的に間違っている、という調子)

 
 「不定型の」部分に注目して「知的生命体のファースト・コンタクトを描いた作品であり、主人公はその両者の中間の存在である」という点から私が連想する作品は、SFの古典「20億の針」(ハル・クレメント)。


 地球にある知的生命体がやってくる。それも二人(というか二体というか)。片方は「ホシ」とか「犯人」とか呼ばれ、もう片方は「捕り手」とか「探偵」と呼ばれる。
 故郷の星で重大な犯罪を犯して逃亡した「ホシ」を、「捕り手」が追ってきたのだ。地球に接近しすぎてどちらの宇宙船も地球に墜落。「捕り手」の宇宙船は太平洋に墜落し、壊れてしまうが、おそらく「ホシ」も同じだろう。何としても「ホシ」を捕らえ、処分しなければならない。

 だが問題があった。墜落の際、彼の宿主も死んでしまったのだ。彼らは不定形の寄生生物。宿主に寄生しないと生きていけないのだ。例えば人間のような。

 紆余曲折あって、捕り手はようやく宿主を得る。それは休暇で実家のある オーストラリア近辺の島に帰っていた イギリス(だったかな?)の少年だった。

 捕り手は、少年と意志の疎通を試み、何度かの失敗を得て、少年の網膜に自分の細胞組織を使って文字を描く、という方法で ようやく少年と会話ができるようになる。

 おそらく「ホシ」も自分同様、最終的には人間の宿主を得ていると考えられる。自分と違い、「ホシ」は宿主の命を危険にさらすことも厭わない、危険な存在だ。

 彼を探し出し、処分しなければならない。それが「捕り手」の使命なのだ。だが、「ホシ」が寄生した人間を発見する事は、干草の山の中に紛れた 1本の針を探すに等しい困難な任務である。20億というのは当時の地球人口であろう。

 この作品に登場する宇宙人は、寄生獣ほど強力な戦闘能力を持たない。というより戦闘能力は皆無。出来るのは有害なバクテリアを捕食して、宿主の身体を健康に保つ事、ある程度の傷であれば、出血を止め、自分の細胞を使って一時的に傷をふさぐ、その程度。

 少年に的確なアドバイスを与え、危険にさらさないよう留意しながら、知恵で「ホシ」を追い詰めていく。
 人間性うんぬん、という難しいテーマは全く無く、少年が主役であることからもわかるように、児童向けに書かれたと思われる。島の自然の中で遊ぶ少年達の描写も楽しい。私が最初に読んだのは「姿なき宇宙人」というタイトルの子供向けSFシリーズでだった。「一千億の針」という続編もある。

 「人間の天敵」が現われる、という観点で思い出すのは、「ゼロの怪物ヌル」(畑正憲)という作品。現在は「海から来たチフス」というタイトルに変更されているが、私は最初のタイトルの方が好きである。
 

 伊豆大島が舞台。主人公はたしか中学生で、夏休みに家族でスキューバ・ダイビングをするために大島にやってくる(記憶だけで書いているので一部違うかもしれない)。主人公のガールフレンド一家も一緒だったような気がする。
 島の周囲で、足の無いクラゲのような、寒天のような、奇妙な生物が発見される。ヌルと名付けられたその生物は、珍味として食べる者もいたが、何よりも特徴的なのは染色体が無い、つまり遺伝子を持たないという事だった。ではどうやって増えるのか?詳しい経緯は忘れたが。島に奇妙な病気が流行り始める。一見チフスに似た症状だが、チフスではない。
 患者は意識もほとんどなく寝込んだままだが、患者の幽霊が島のあちこちに出没しはじめる。幽霊というか、患者の偽者というか、ドッペルゲンガーというか。
 やがて主人公は親しい人の見舞いに行った際、その人の身体からもう一人のその人がにじみ出るように現われるのを目撃する。これが遺伝子を持たない生物、ヌルの繁殖方法だったのだ。やがて主人公のガールフレンドも病に倒れる。
 遺伝子というものを中学生でもわかりやすいように説明しつつ、スキューバダイビングの楽しさも伝わってくるジュブナイルSFで、この作品に登場するヌルは、知的生命体というにはちょっと微妙だが 人類の天敵ともいえる。作者は後年ムツゴロウ先生として有名になるが、おかげでこういう小説をあまり書かなくなってしまった(深海底F7号の冒険 というのがある程度)のは残念に思っている。

 もう一つ。「20億の針」と「寄生獣」の中間ぐらいの作品で、ぼくらマガジンに連載されていた「デスハンター」(平井和正・桑田次郎)。後に「ゾンビーハンター」と改題して小説としてリメイクされたが、小説版には漫画版にあった最終章が無い。他にも登場人物の名前など、細かい相違があるが、基本的な話はほぼ一致している。


 「20億の針」同様、人間に寄生する おそらく宇宙から来た不定形生命体「デス」。飛行機事故に巻き込まれた政府高官が 首無しで歩き回った事から この「デス」が各国要人の中に深く浸透してしまっている事に気付いた人類は、彼らを抹殺するための組織「デスハンター」を密かに設立する。
 「デスハンター」に選ばれるのは人類を救おうと使命感に燃える人たちなどではなく、犯罪者や非合法工作員、ゲリラや殺し屋など いわば人殺しの専門家達。彼らを選抜試験でさらに人数を絞り(9割は命を落とす)、厳しい訓練を重ねてようやく「デス」に対抗できる戦士が誕生する。体術、射撃、爆弾・・・全てに秀でなければたちまち返り討ちにあってしまう。
 「デス」に寄生された人間は手足を失い、首をもがれても死なない生命力を持ち、素手で人間の身体を引き裂く膂力を持つ。たとえ見かけは少女であっても。
 主人公はレーサーからデスハンターにスカウトされるが、デスの襲撃で姉と恋人を失い、彼らに対して強い憎しみを持つ。
 しかしもともと人殺しが本職だった同僚達に比べれば、人間的な弱さ、優しさを持ち合わせている。
 任務を果たすうちに、主人公は人間と共存していた「デス」に出会う。彼女はある女性になりすましていたが、彼女の兄はそれと知りつつ彼女と暮らしていた。兄は兵器の研究をしていた事から国家機関に命を狙われる事となり、精神を病み人間不信に陥っていたが、「デス」である彼女に生命を守られ、心を救われたのだ。主人公は次第に疑念を持つようになる。「デス」は本当に人間の敵なのか?そして「デスハンター」は本当に人類の味方なのか?
 デスハンターの指揮官は、デスを倒すためであれば一般人が何人死のうと意に介さない。デスハンターの命も、消耗品としか考えていない。
 主人公の同期の女性デスハンターは、ゲリラ時代の仲間につかまり、裏切り者として顔の皮を剥がれるなど、凄惨な拷問を受けて殺される。主人公にはほのかな好意を持っていた。
 やがてデスハンターが本拠とする島が、デスの一斉攻撃を受ける。次々に倒されるデスハンター達。スタッフや大勢のデスハンターを巻き添えに、デスを倒すため核爆弾を仕掛けて一人脱出しようとするデスハンター指揮官。主人公と仲間はそれを阻止しようとするが、死んだはずの女性デスハンターが彼の前に現われる。元通りの美しい姿を取り戻して。彼女は主人公に告げる。
「私達は人類を助けに来たのよ・・・」
 読んだのは小学生の頃なので、女性デスハンターのヌードにドキドキしました。
 完成度は「ゾンビーハンター」の方が高いのかもしれないが、私は最終章がある「デスハンター」の方が好み。「ゾンビハンター」の方も何度かコミカライズされている。
 子供向け作品である前2作に比べて、残虐な描写も多く、寄生獣に近いかもしれない。

 平井和正も、特に初期は 人間の醜さを、人間では無い登場人物を使って描いた作品が多かったように思う。超人的な力を持った主人公(例えば狼男だったり、サイボーグだったり、超能力者だったり)が人間を愛しつつ、人間に絶望していく。でも愛すのを止められない、というような。

 寄生獣との共通点を感じ、私が連想した作品は、そんなところ。何かのご参考になれば。
 
 


  
 

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