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「テルジーの冒険(ジェイムズ・H・シュミッツ著)」第二部

2020/10/01 19:00 投稿

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  • ジェイムズ・H・シュミッツ
  • SF
  • 新潮文庫
・第二部では惑星オラドに舞台が移る。ハブ連邦内の宇宙空港では密輸品や禁制品が無いか、危険な病気を持っていないかなどと様々な項目の検査が乗客や荷物に対して自動的に行われている。これは乗客たちにも周知のことなのだが、一つだけ極秘で行われている検査装置もある。

 それはサイオニック装置と呼ばれるもので、これによってサイオニック、つまりいわゆる超能力者(この作品ではサイ能力者と呼ばれる)と判定されたものは、心理学局と呼ばれるセクションにマークされることになる。心理学局はサイ能力者を見つけだして、大衆の魔女狩りのような悪意から保護するためだという建前を持って極秘裏に活動し、場合によっては発見したサイ能力者をメンバーとしてスカウトすることもある。

 惑星ジョンタロウで超能力に目覚めて故郷オラドに戻ってきたテルジーは、心理学局によってスカウトすべき人材、と分類される。テルジーの能力は異種族間精神感応者(ゼノテレパス)という極めて珍しいもの。さらに人間相手の読心術や、人の性格を改造する一種の催眠術、超催眠とも呼べる技術も持っていて、その能力は発達しつつある。
 心理学局はテルジーが人類の脅威にならないように頭脳をスキャンして、能力を悪用しないような暗示を植え付ける。テルジーがもっと成長するとそんなことはできないのだが、能力が発現したばかりのいまのうちなら可能である。

 テルジーはペハンロン大学の学生寮に戻っている。対等の知的生命体でありペットとはいえなくなったチクタクは連れてきておらず、この作品には登場しない。彼女はこの学校で特別優等課程という特権を持っている。宿舎の隣室には4歳年上の親友であるゴンウィル・ローデスがいる。
 テルジーは親友の彼女に私動物の心がわかるかも、みたいに冗談交じりに話したところ、彼女の飼い犬が最近おかしいの、突然唸りだしたりするのよ、何もいないところで、みたいな話を聞いて、じゃあ犬が寝たら心の中を探ってみるよ、みたいに約束する。
 この犬はショミールという名前で、犬種は書いてないけどドーベルマンみたいに強い大型犬で、金持ちの娘であるゴンウィルのボディガードを兼ねている。
 
 テルジーがショミールの心に入ってみると、ゴンウェルに危害を加えようという意思を持った人間を感知して警戒したことがわかる。だが、その相手はショミールの手の届かないところにいたらしい。

 ゴンウィルはタユーンという惑星の出身で、生まれたばかりで両親を亡くしておりこれが殺人だったという噂もある。生き残った彼女を狙っている相手がいるらしいとも。
 彼女は両親からローディス財団という団体の株を大量に引き継いでいるが未成年なので今はいとこのパーリン夫妻がこの財産を管理している。成人すれば正式に譲られることになっている。夫妻にはゴンウィルと同じ年ごろの息子がいて、夫妻は息子がゴンウィルと結婚することを夢見ているらしい。ゴンウィルはこの息子を幼馴染でもあり嫌ってはいないが、結婚相手とまでは考えていない。

 だが、パーリン夫妻はゴンウィルが持つ財産をわがものにしようと狙っていて、これまでは息子と結婚する可能性があったので黙認していたが、これ以上は発展しないようだと見極めると彼女が成人する前に暗殺しようと本心を決めている。ショミールの心を覗いたテルジーにはそれがわかるが証拠にはならない。

 ハブ連邦の法体系は、多様過ぎる植民星に内政干渉をなるべく控えて定められた妥協の産物で、このような場合はあまり公的権力はあてにならない。つまり自分の安全は自分で守らねばならない。テルジーは父親に相談して、このような場合の調査や身辺警護を行うキイス機関という探偵社と警備会社を併せたような組織から、腕利きのダーリンジャーという男を派遣してもらう。

 だがパーリン夫妻、とくに妻の方は抜け目がなく、法的には自分に決して嫌疑がかからない方法を知り尽くしている。これまでも商売上のライバルを何度も同じように葬っているらしいのだが手が出ない。

 それでもテルジーの父親はゴンウィルをできる限り守ろうと手を打ってくれるがこのままでは負ける。つまりゴンウィルは殺される。
 
 テルジーには相手の心に干渉する力がある。これを使えば助けられるかもしれない。だが彼女のそうした考えはサイオニック警察に感知される。

 ゴンウィルが自分を守るためには、法的な手続きをとってパーリン一家と私的な抗争状態にある、という宣言をしないと一方的に攻撃されるだけになる。こちらからも攻撃できるようにするのが最大の防御なのだが彼女は穏やかで戦いを嫌う気質でそれはできない。

 テルジーは父やキイス機関と協力し、ゴンウィルを隠れ家に連れて行くのだが、敵がゴンウィルを殺すために選んだ凶器は、常に彼女を守っている忠実なショミールの心を遠隔操作して襲わせるというものだった。

 ショミールの襲撃はテルジーの超能力で防がれるが、パーリンの仕業という証拠はまたしても得られない。大好きな主人を殺しかけたショミールは犬なりに深く落ち込んでいる。テルジーは犬の心を操作して、操られた記憶を消去する。

 ゴンウィルは親の形見でもある株を手放すことを決意するが、パーリンはこれを時価の十分の一程度の金額で買い叩こうとする。闘争を嫌うゴンウィルはこれに応じようとするが、テルジーは納得できず、ゴンウィルの心を操作してこれをやめさせてしまう。

 テルジーは父親と相談の上、最後の勝負に出てパーリン一家を罠にかけ、野望をくじくことに成功するが、サイオニック警察官がテルジーの前に現れる。

 と、ここで終わり。

 以降の話は日本語には訳されていない様子。便宜上一部、二部となっているけどもともとはそれぞれ短編として発表されたもので、
第一部はNovice(直訳だと初心者だけど、チックタックとわたし とSFマガジンに訳載済)
第二部はUndercurrents(単独で日本語訳は無いみたいだけど 意識の底 みたいな)

 という二つをまとめて「The Universe Against Her」というタイトルで単行本化されたものの翻訳らしい。宇宙対彼女、つまりハブ連邦対テルジーみたいな。

 最終的には

Telzey Amberdon(2000年4月)
Novice『チックタックとわたし』、Undercurrents、Poltergeist、Goblin Night、Sleep No More、The Lion Game、Blood of Nalakia、The Star Hyacinthsの8作品が収録。

The Telzey Toy(1973年、『テルジー・アンバーダン』シリーズ)
The Telzey Toy、Resident Witch、Compulsion、Company Planetの4作品が収録。

 という2冊にこのシリーズはまとめられているらしいけど、洋書を買ってまで先を読む意欲も能力も無い。うまくアレンジするとアニメの原作にはなりそうな気もするけど。





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