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「テルジーの冒険(ジェイムズ・H・シュミッツ著)」第一部

2020/09/30 19:00 投稿

  • タグ:
  • SF
  • ジェイムズ・H・シュミッツ
  • 新潮文庫


・著者が構築した独特な銀河系宇宙で、超能力を持つ少女・テルジーが活躍する話。
 解説によればこの作品の他に「THE LION GAME」という長編と「THE TELZEY TOY」という短編集にこの主人公は登場するらしいけど未訳の様子。

 銀河系はハブ連邦という組織に統合されているが、この連邦はゆるやかな内政不干渉の方針で、所属する植民星はけっこう好き勝手にやっているらしい。それでも犯罪捜査や法的な処理を行う横断的な組織はある様子。植民星同士で商売や取引など行うには最低限そうしたものは必要らしい。

 主人公のテルジー・アンバダーンは15歳の少女。オラドという植民惑星に住んでいるが、話は彼女が休暇にやってきた惑星ジョンタロウ(日本人の名前みたいだが由来はわからない)ではじまる。
 彼女の家は惑星では名門で、父親は銀行の重役、母親はハブ連邦の評議員。彼女も天才少女として知られていて、現在は法科大学の二年生である。
 彼女は父の姉である伯母と、ペットのTT(チクタク)と一緒に休暇を過ごしているが、この伯母のことはあまり好きではない様子。
 チクタクというのは五年前に彼女が拾った動物で、猫に似ているが足に吸盤がついていたり、頭部に大きな羽根飾りのような毛が生えていたりで正体がわからない。同じタイプの動物は知られておらず、遠くの植民星から連れてこられたペットか、研究施設の実験動物が逃げ出したものだろうと彼女は思っている。
 チクタクは光学迷彩のように周囲の景色と自分の身体を同化させて姿を隠すこともできるし、身体の模様を変化させることもできる。そして、テルジーとの間で感情を共有するような力も持っているようで、こっちに行きたいとか、こっちは危ないとかのような感情を伝えて来ることができるみたいな。

 第一部ではこのチクタクをめぐって、テルジーに意地悪をしようとする伯母が(伯母は弟の嫁を身分違いの女みたいに嫌っていて、その娘であるテルジーも気に入らない様子。二人とも実力と才能があるので余計気に入らない)罠をしかける。
 実はチクタクは惑星ジョンタロウで絶滅していたと思われていた土着生物の最後の生き残りらしく、伯母はこれに気付いて研究機関に通報して合法的に取り上げようとしたのだ。
 チクタクは今は子供だが、成獣になるとベテランハンターでも一匹捕まえるのに一人は死亡するほど賢く手ごわい動物らしい。
 テルジーはチクタクを連れて逃亡するが、実はその前からチクタクを通じて何かが接触してきているのを感じている。
 実はチクタクの仲間は人間を凌ぐ思考能力を持つ知的生命体で、人間が植民してきたのに伴い、最初は互角のゲームとして人間と戦うのを楽しんでいたが人間がだんだん卑怯な手を使うようになったので戦うのは止めてその光学迷彩能力で完全に人間から姿を隠していたのだった。これが人間側からは病気か何かで急激に絶滅したと解釈される。だが子供だったチクタクだけは隠れそこなってテルジーに飼われることになっていたらしい。

 テルジーはチクタクの仲間である成獣たちと感情共有能力で相談し、惑星の調整官に彼らが保護されるべき知的生命体であることを説明し、人間と同等の権利を与えるよう要請する。そして交渉が決裂すれば、都市の至る所に身を潜めている彼らは人間を全滅させる力があることを理解させ、二つの種族の調停役となる。
 テルジーは異種族とテレパシーで話ができる超能力者の素質があり、チクタクの仲間たちによってその能力が開花したのだった。
 付随的に人の心を改造する力も身に着けてしまい、伯母の意地悪な性格を善良な人物に改造する。善良になった伯母は私の性格を直してくれて良かったわ、とは言うのだが、このことにはテルジーはこんなことして良かったのだろうか、と思っている。

 また、ハブ連法では超能力(この作品ではサイ能力と呼ばれる)者はサイ警察というのにマークされることになっていて、新たに能力に目覚めたテルジーは彼らの監視対象となっているが、まだ自分では気付いていない。

 そのあたりは二部で、ということになる。

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