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「夜のやさしい手(波津彬子著)」

2020/07/26 19:00 投稿

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  • 波津彬子
  • 漫画本


・夜のやさしい手
 一人の男性が交通事故死して、同乗していた妻は助かる。傷が癒えた彼女は夜10時ともなると、夫を偲んで夫の好きだった酒とつまみを用意する。彼と一緒にそれを味わうつもりになる。というような毎日を送るようになる。それを彼女との結婚前から夫がかわいがっていた猫が見つめている。
 やがて夫の会社の同僚が現れて、大事な書類が見つからないので家探しさせてほしいと言う。夫の後輩だという美青年がふらりと現れる。さらに夫の遺品から、夫と自分が知らない美女が一緒に映った写真が出て来る。夫の同僚は実は貴方の御主人は会社の金を横領していた、どうも奥さんの他に女がいたらしいと言ってくる。
 彼女の心は乱れるが、猫は真相を知っている。

 設定は日本なんだけど、キャラクターは西洋の人みたい。

・会わずに愛して
 民俗学助教授の葛城薫子は、テレビにもよく出演する才媛で美人。夫は最先端OA機器メーカーの副社長で次期社長。だがい最近ささいなことが原因で、彼女は家を飛び出して別居中。
 だがその別居先は夫の実家で、現社長の義父とその妻の義母にはよくしてもらっている。
もともとは彼女の父親が民俗学の教授をしていて、彼女も後継者として出入りしていた。そこにゼミの学生として入ってきた夫と知り合って結婚。父の教授は飛行機事故で死亡したので彼女に身寄りはいなくなった。

 夫の実家と大学とテレビ局と出版社をいったりきたりの忙しい毎日で、夫の仕事を邪魔しては、と電話もかけられない。本当はすぐに夫が迎えに来てくれるとおもったのだがあてが外れ、義母などはいつまでいてもいいのよ、などと歓迎してくれる。夫に謝れないまま日が過ぎてゆく。

 そんなある日、夫の使いみたいな男が現れて、副社長が事故にあわれて重体です、すぐ病院に、と彼女を連れだす。夫にはできの悪いイトコがいて、このイトコが親のコネでようやく入れてもらった会社で能力が無いから役がつかないのを自分だけ冷遇されていると思い込み、使い込みがバレて会社を首になったのを逆恨みして、金に困ったこともあって営利誘拐を粗雑な頭で計画したのだった。
 社長である父と副社長である息子はすぐに犯人はあいつだな、とピンと来る。だが腐っても親戚でクビにしても元社員なので、あまりことを大げさにしたくない。彼の父親はすごく真面目ないい男で、社長は信頼していたのだ。もう亡くなっているが彼の息子なのでなるべく穏便にということもある。
 副社長は迅速に動いてすぐにイトコのアジトを見つけて部下と乗り込む。あちこちに証拠残しまくりなのですぐにわかってしまう。イトコには緻密な計画をできる頭というものは無い。
 イトコに雇われた男たちにもこいつと関わるとロクなことないぞ、と言うと彼らもそう思っていたらしくあっさり降参。バカなイトコは護身術の心得があるヒロインにノックアウトされている。イトコは関連会社がやっている北海道の農場で働くことに。

 このことでようやく夫婦は互いに謝って元通り。奥さんは夫に懐妊を告げる。考えようによってはイトコのおかげで元の鞘に収まったような。

・にっぽん・ぱらだいす
 東京下町で昔気質の頑固な江戸っ子の祖父に育てられた勝気な女性。20代後半。
 祖父の影響で洋式のものより和式のものにちょっと惹かれる傾向を持っている。
 仕事は企業戦略のための調査研究みたいなことをやっていて、会社ではやり手の中堅社員というイメージ。そこで、彼女の部署に会社がアメリカで雇用したという日系三世社員がやってくる。実家は金持ちのイケメン外国人ということで後輩社員なんかは舞い上がっているが彼女は興味ない・・・はずだったが彼は日系なので日本名も持っていて、それが花菱源之丞と聞くと顔も知らないうちにいいな、と思ってしまう。
 相手も日本文化に興味を持つタイプで、日本語もよどみなく話す。日本文化ならヒロインに聞きなさいよ、と周囲に言われて七福神とかの話をするようになる。
 彼女は祖父と一緒に下町に住んでくれて、町内の祭り神輿を担いでくれる人でないと結婚相手にはできないということで過去の恋愛は全部破局している。
 だがこの彼はそうした面ではどうも合格っぽい。祖父とも知り合って長谷川一夫や市川雷蔵で話がはずむ。彼に惹かれるヒロインだが、彼はいずれは祖父の会社を手伝うらしい。つまりアメリカに帰ってしまう。するとやっぱり結婚相手としてはだめである。

 彼がヒロインを縁日に誘う。ヒロインはいい思い出を作ってやろうと浴衣で出かけ、告白される。ここで祖父と彼どちらかを選ばないといけないのか、と葛藤するヒロイン。
 いろいろトラブルがあるが、彼は祖父の会社の日本支店をまかされることになっているとわかってまるくおさまる。

 彼の祖父が日本にやって来る。すると祖父が子供の頃の喧嘩相手でライバルだったとわかる。

 著者は「異国の花守」という作品でもちょっと似た組み合わせを書いている。こういうのがお好きな様子。

・月の光(原作:佐藤世奈)
 ご主人が病気で療養中の女性。知人と会っても心ここにあらずで楽しめない。夫のことばかりが気にかかる。彼女はひたすら次の満月を待っている。その日に何かが起きると思っている。その日は夫の後輩が海外から帰国する日でもある。彼は夫が目をか信頼していた人物で、彼女も親しくしていた。
 帰国した後輩は会社であることを聞いて、彼女の元にやってくる。彼女を縛りつけたものから解放するために。

・女神の末裔
 離婚して実家に戻ってきた男性。母親は広い家にひとりで暮らしているが食事などを作ってくれる通いの家政婦さんもおり、不自由は無い。父親は亡くなっているらしいが外交関係の仕事をしていたらしくその関係で母も交際が広い。今も様々な集まりに顔を出していて多忙な様子。海外に行ったりもする。
 兄も妹も家を出てきちんと暮らしている。つまり売れない翻訳家の彼だけがちょっと家族の中で出来が悪いらしい。
 実家にはパステトという古代エジプトの女神の名をとった猫がいて、母親がかわいがっている。ここに住むならパステトの許可が必要よ、と母は言う。
 母はパステトがエジプト土産のエジプトの猫の像が本物の猫になったと信じているらしいが、実は男性がその像を勝手に持ち出して失くしてしまったのでちょっときまりが悪い。
 家は広く庭もある。パステトはその庭で遊ぶのが日課である。

 家政婦さんが入院し、それが母のフランス旅行の日程と重なってしまう。つまりその間は彼がパステトの世話をしないといけない。
 庭で母の大切にしている花壇にいたずらをしていたパステトを見つけた彼は、やめさせようと庭に出る。するとパステトはおらず、その代わりのように若くて猫みたいな少女がいる。近所の子が庭がきれいなのでつい入ってきたらしい。
 彼は少女を責めずにお茶を出してもてなし、それをきっかけに少女は時々遊びに来るようになる。彼女は窓から入ってこようとしたり、台所に迷わず行ったりとどこかパステトが化けたようにも思われる。少女が来るとパステトはいつも姿を消している。真面目に信じているわけではないが、無理に確かめもせずこの状況を彼は楽しむ。
 彼が翻訳をしていると知ると彼女は驚く。彼女は読書家で、彼女の好きな作家も彼は訳している。何冊か本をあげると喜んでくれる。
 気ままなパステトの世話をして、たまにやってくる少女と他愛のない会話を楽しむ。それが離婚で少なからず傷ついた彼の心を癒していく。

 ある日、パステトが遊びに行かず、彼のそばから離れない。元妻の友人から電話がある。元妻が死んだという。彼女は癌で、自分でもそれを知っていたのかもしれない。彼女とは互いの仕事が忙しくて余裕が無くなり、少し距離を置きたくなって別れたのだが憎しみあったわけでもなくいずれまた会えると思っていた。
 元妻は自分の病気を知ったから彼と別れたのだろうか、などと考え込んでしまう。それを見守るパステト。

 母が記憶し、家政婦さんが復帰するとパステトはもう彼には寄り付かない。もう終わりました、という感じ。少女も姿を見せなくなる。

 家政婦さんがあらたまった感じで少しお時間をいただけませんかというのでついて行くと、あの少女がいる。なんと少女は家政婦さんの孫だった。嫁いだ娘の子なので名字が違い、名を聞いていたけどわからなかった。小さいころに遊びに来たこともあって家の中の様子も心得ていたらしい。でも職場に来ちゃダメ、と祖母に言われていたのが祖母も母もいないと聞いてつい来てしまったのだという。彼があげた本がきっかけでばれたらしい。
 でもこれをきっかけに少女は母の許しも得て堂々と遊びに来れるようになる。パステトとも仲良くやっている様子。

 屈託のない少女の来訪が、彼の心を明るく照らし、救いを与えてくれる。

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