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「息吹(テッド・チャン著)」③予期される未来

2020/02/22 19:00 投稿

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・予期される未来 What’s Expect of Us
 予言機なるものが発売される。車のキーリモコン程度の大きさでボタンひとつに緑のLEDランプ1個。ただそれだけ。
 ボタンを押すとランプが光る。当たり前。でも実はボタンを押す1秒前に既に光っている。すると何が起きるか。光を見てからボタンを押すことはできる。でも、光っていない状態でボタンを押すことは不可能なのだ。正確には光っても1秒たつまではボタンを押せない。

 負の時間遅延回路というのがはいっているらしいのだが、これはつまり自分がボタンを押す押さないは、自分の自由意志ではなく未来の起こってしまった結果によって決定されているということになる。つまり人間には自由意志などなく、全ての運命は産まれた瞬間から、もしくは産まれる前から決まっているということになる。未来は変更不可能ということになる。
 どんなに心がけをよくしても努力しても、未来を変えるのは努力や自由意志の結果ではない。人々はこれを悟るにつれて自分の選択は何の意味も持たないのだから何も選択しない、したくないと思うようになって無気力になっていく。
 文明存続の危機だ。対策はただひとつ。嘘を信じて生きることだ。自由意志は存在する、未来は変えられると信じて。それでもあなたは無気力になるかもしれない。ならないかもしれない。それは既に決まっているので悩んでもしようがない。
 というメッセージが、1年後の未来から届けられる。メッセージの送り主は自由意志ではなく、そうしないといけなかったから送ったという。

 4ページの短編だけど、宗教か哲学みたいな深淵に落ち込むようなテーマ。真面目にこれを考えている人が大勢いるらしい。
 もしこの小説みたいに未来のことがわかってしまうなら無気力になるのもわかる気がする。

 うっかりアリを踏んじゃった時なんか、このアリは私に踏まれるために生きてきたのだろうか、などと思ったりしたこともある。
 
 著者によれば元ネタはモンティ・パイソンの聞くと笑い死んでしまうジョーク、もしくは牛の首みたいに聞くと怖くて死んでしまうホラーみたいなものを超自然的なものを排して書けないかと思ったみたいな。発表されたのはサイエンス系学術雑誌のネイチャーらしい。

 人生は無意味だと悟ればそうなるだろうみたいな。毎日の生活が無駄だ無駄だと思い。世間が間違っていると思い続ければそうなるかも。

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