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「白暮のクロニクル(ゆうきまさみ著)」⑧血に煙る聖夜

2020/01/12 19:00 投稿

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  • 白暮のクロニクル
  • ゆうきまさみ
  • 漫画本




第1話
 12月24日、右手を失った雪村が意識を取り戻すシーンからはじまって、11月26日に戻る。
 週刊誌に鳥飼のことが載るが、彼が若い頃に恋人をオキナガに殺されていたということでこれが動機の一つだった様子。すると世論はまたオキナガと厚労省が悪いみたいになる。
 あかりは雪村と一緒に伊瀬佐木町へ。雪村は祖母の仇をとりたいか、とあかりに聞く。雪村は棗の死後、綾音に疫病神と言われたことを話す。でも綾音も苦しかったはず。
 二人で焼肉を食べることになり、あかりはズバリ雪村は祖母と恋人同士だったのか、祖母と自分は似ているのか、と聞いてみる。雪村は背は高かったがお前ほど大作りじゃないと評価。
 そこに鈴川なみからメールが入る。

第2話
 竹之内と紀課長は他省庁との勉強会に出席中。メンバーにはあからさまにオキナガを揶揄するものもいる。そこで見せられた総務省から出た長命者援護法の改正案はオキナガを隔離するようなものである。梶田議員がいなくなり、現在国会議員でオキナガ関係を仕切っている古池議員はもっと管理を強化したいらしい。オキナガがいるから犯罪が起きるといわんばかり。
 竹之内は帰り道に1600年国に仕えてるオキナガもいるというのにと語る。紀も1600年にはさすがに驚く。
 雪村とあかりは新幹線で出発。行き先は長野光明苑。鈴川なえ、本名依田明子はここにいる。苑はあの不祥事以来管理が厳しくなり、蟄居状態にある様子。
 あかりは鈴川なえに羊殺しとの関連を聞きに来たのだ。なえは平成生まれとなっていたがそれは他人の戸籍で本当はもっと長く生きている。彼女は昭和18年に羊殺しと遭遇したと話す。棗の事件より前だ。彼女は羊殺しは竹之内ではないかと話す。

第3話
 鈴川(あかりは鈴川さんと呼ぶ)は当時新人女優だった。初主演作が決まったばかりで、昭和18年12月24日に按察使守忠という人物の屋敷に招かれる。薫子の実家である。当時の芸名は鈴峰苗子。初老の当主に挨拶するが、そばには当主が姉さんと呼ぶ若い女性がいる。薫子である。慣れない雰囲気に飲まされてあっという間に酔った彼女は人にぶつかってしまう。それが竹之内。そばには有名女優の伊集幸絵がいる。竹之内は高級役人らしい。
 この女優は雪村も覚えていて、ふいに消息をきかなくなったらしい。
 鈴川は幸絵に気に入られたようで、同じ部屋に泊まることになる。夜中に目覚めると幸絵がいない。廊下に出ると急いでいる様子の竹之内。いやな予感で後を追い、そこで見たのは腹を裂かれた幸絵の遺体と、そこにかがみこむ竹之内。顔が見えたが凄い形相で恐ろしい。
 そこで逃げようとしたのだが・・・

第4話
 後ろから何者かに首を絞められた彼女はそのまま意識を失い、三日後に国立蘇生症療養所の前で発見されて意識を取り戻す。そして自分がオキナガになっているのを知る。
 彼女は幸絵が殺されていたことを訴えるが、そんな事件は報道されていない。雪村も昭和18年に羊殺しの犠牲者が出ていたとは知らない。おそらく何者かが圧力をかけてもみ潰したのだろう。あの物不足の時代にあんなパーティができる人たちだ。当時の竹之内はそういうことが出来る立場にいた。
 鈴川は何の後ろ盾も無いかけ出し女優で今やオキナガ。それ以上追及する気にはならなかった。
 彼女があかりに話す気になったのは、撮影所に竹之内が訪ねてきたから(あかりも竹之内を目撃しているがこんなところに来るわけないよね、と自分の勘違いだと思っていた)。君は鈴峰苗子さんだね?と面会に来たのだという。だが竹之内は彼女が長命者登録をしていないことこのままでは不法就労になることを指摘し、鳥飼が間に立って善後策を考えていたらしい。その時この仕事はもう続けさせませんよ、みたいなことを竹之内が言ったらしく、昔の話と合わせて彼女は竹之内が幸絵を殺したのだと怯えている。
 竹之内が鈴川に血分けしたようにも思えるが完全にシロとも言い切れない。雪村には竹之内は恩も恨みもある複雑な相手。
 雪村は駐車場で竹之内をマークするが、そこにあかりがやってきて竹之内さんは犯人ですか?と直球の質問をする。竹之内はお前はどう思うんだ、と物陰の雪村に聞いてくる。

第5話
 ぎすぎすした雰囲気で竹之内のマンションに三人で行く。省の運転手付きの車で。
部屋は殺風景で何もない。雪村は何故昭和18年の事件を俺に話さなかったと責めるが、竹之内はそんな事件は無かったからだ。もしあったとしたらお前は犯人をどうする気だ?と問い返す。ぶっ殺す、という雪村に裁判もなしに殺すのか、と竹之内は冷ややか。
 今日は帰りなさい、とあかりをうながすが、後日話すとあかりに耳打ちする。
 雪村は竹之内につかみかかり、あかりは止める。そのドサクサで竹之内と幸絵と男の子が写った写真を見つける。

第6話
 その写真を無理やり持ち帰ったようで、雪村とあかりが薫子に見てもらうと、もともと幸絵の親と竹之内は親しく顔見知りだったという。写っている子供は某映画監督の子供らしい。
 パーティーがあったのは成城の屋敷で薫子の実家だが今は弟の家。やはり薫子は気持ちがられていたようで泊めてもらえず、夜中前には等々力に戻ったのでその夜何があったのかは知らないという。竹之内が幸絵を殺した、などというのも初耳だという。
 そこに竹之内がやって来る。薫子のところに来るのはめったにないことらしい。
 竹之内はなかなか事情を語らないのだが、あかりが犯人じゃ無いならはっきりそう言ってくださいよ、と迫るとようやく犯人ではない、と答える。だが彼には幸絵は俺が殺したようなものだ、と贖罪意識があるらしい。

第7話
 竹之内にとって、男爵の地位を持つ友人の娘である幸絵は彼女が幼い頃から成長を見守ってきた掌中の珠だったらしい。だが自分の気持ちは一切外に出さなかった。幸絵はそんなことは知らずに奔放に育ち父親からは勘当同然の扱いを受ける。映画監督の子を身ごもるが、捨てられてしまう。やがて父親が死に、幸絵は後ろ盾を失う。彼女はオキナガだった。どこでなったのかはわからないが難産だった出産の時かもしれない。それから彼女の父親代わりをつとめたのが竹之内だった。
 長命者登録のないオキナガは法律違反の存在。パーティーの最中に竹之内は自分の妻になれば貴方を守れると求婚する。

第8話
 竹之内は一度仕事で職場に戻らねばならない。幸絵は深夜3時に会いましょう、カギは開けておきますから返事はその時に、と答える。だが竹之内が戻ると突発事件があって1時間遅刻してしまう。そして地下室で幸絵の死体を見つけたのだった。竹之内の血で一度蘇生し、結婚しますと答えて本当に絶命してしまう。心臓から下腹部まで内臓をめちゃめちゃに壊されている。犯人らしい人影を見て追いかけるがナタで襲われ、倒れてしまう。

第9話
 結局そのまま犯人は逃げてしまい、軍部の判断で事件は闇に葬られる。竹之内は独自に犯人を捜したが、容疑者は全員国外に出てしまい戦争のどさくさで行方は追えなくなる。
 羊殺しの事件のようではあるが被害者はオキナガであり、内臓も破壊されてはいるが持ち去られていはいない。似ているけど違うので一連の事件とは別扱いとしてきた。
 竹之内が羊殺しを追うのは、どこかで事件は繋がっているのではないかと思うからでもあるし、繋がりが無くてもこれを解決すれば幸絵に対する贖罪になるような気がするかららしい。
 既に事件現場だった薫子の実家は取り壊され、関係者の多くも鬼籍に入ってしまいこれ以上は調べられない。犯人がわかっても時効で裁くわけにもいかない。羊殺しと同一犯人とわかれば裁くこともできるが。
 薫子はそういえば、と屋敷内の納骨所に竹之内たちを連れて行く。ここには身寄りの無いオキナガの骨がある。そして18年年末に引き取った骨があった。命日からも幸絵のものと思われる。薫子はこれを竹之内に引渡し、供養するように伝える。
 これまで常に沈着冷静で冷酷とさえ見えていた竹之内にこんな秘めたる感情があったことにあかりは喜ぶ。上司が血の通った人間だったんだ、みたいに。クリスマスまでには羊殺しを捕まえましょう、と雪村にはっぱをかける。
 その頃羊殺しは次のターゲットの写真をながめている。あかりの写真である。

第10話
 あかり、雪村、久保園、竹之内の4人はまたしても長野へ。行き先は当然光明苑。
 竹之内の発案で、ここにある戦前の資料を検分に行くのだ。彼は幸絵殺しの容疑者をもう一度追ってみる気になっている。戦後オキナガに関する資料は処分されたりして、ここにしか残っていないものもあるはずなのだ。
 あかりが見つけたアルバムの写真が手がかりになる。そこには来間真一郎とその門下生たちの写真がある。
 ここに写っている門下生の写真を光明苑の鈴川なえに見てもらう。なえはこれまで竹之内が犯人だと思って撮影所に来たのも口止めと思って怯えていたのだがそうではなかった。
 彼女は女優としての二度の飛躍のチャンスを潰されたわけだが、今も女優になりたいという意欲は衰えない。
 竹之内は写真にある門下生の中で、パーティに出席していた人物がいないか問いただす。
3名が該当する。竹之内の記憶とも一致するが、三人とも満州で死んでいる。羊殺しではありえない。
 そこに苑のオキナガである久慈がやってくる。隔離棟の管理人で夏の事件ではあかりとも顔見知り。彼は死んだはずの門下生の一人、雀城英了(ささぎえいりょう)と戦後会ったと証言する。すると話は違ってくる。

第11話
 雀城がオキナガであれば犯人でもおかしくない。雪村は色めき立つ。オキナガについて話すうちに、あかりはもしオキナガにならなければ棗おばあちゃんと結婚してましたか、と唐突に聞く。雪村はオキナガにならなきゃ沖縄で死んでるよ、と意味の無い仮定だといいつつも真面目に自分が様々な後悔を持っていることを話す。
 あかりはその結果として私は雪村さんと会えました、おばあちゃんの引き合わせです、嬉しいです、みたいなことを言う。
 その頃竹之内は鈴川なえと再び話している。記憶にはないのだが、血液を調べた結果、鈴川をオキナガにしたのは自分らしいと伝える。意識の無い状態で這い回るうちに、近くで殺されていた彼女に血を与える結果になったのだろうと。つまり竹之内はオキナガ鈴川の親なのだ。竹之内はそのことを侘び、助力を申し出る。
 鈴川は雪村のように竹之内を恨まないが、助けもいらないと拒む。自分は必ず施設を出て、オキナガの女優になる、ずっと娘役ができるんだから、必ず映画に出ますと。
 その時は観に来てくださいね、と駆け去って行く。竹之内は喜んで、と答える。
 その時火災報知機が発報。建物の外壁が燃えている。雪村は希梨香はじめ入居者たちに声をかけて逃がすが、雪村に話しかけてきた少年がいる。やっとここまでたどり着いたねと。
 誰だ?と雪村が聞くと、君の兄だと答えて去って行く。途中あかりともすれ違うが、やあ、大きな羊だ、と独り言を言う。

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