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「白暮のクロニクル(ゆうきまさみ著)」⑦銀幕に揺れる影

2020/01/11 19:00 投稿

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第1話
 銀座に本社がある映画会社では、準備してきた作品の製作にGOを出すかどうかの会議中。美和の死亡がマスコミを賑わせており、今作れば便乗だ悪趣味だと叩かれかねない。オキナガをネタにした映画なのだ。
 雪村はあかりの家を訪問する。あかりの父親はかつての恋人、棗の子供だ。彼は成人するまで自分が養子だと知らず、そう知ってからも実母が尋常でない死に方をしたらしいと悟って詳しいことを養父母に聞くのは避けてきた。いつか話してくれるのを待とうと。だが結局機会のないまま養父母は亡くなった。雪村は綾音も死んだのか、と思う。
 その時、テレビニュースで記者殺害事件に続いて「羊殺し」をテーマにした映画が発表されたと報道される。

第2話
 プロデューサーは数年前からの企画であり、最近の事件に便乗したものではないと監督と主演の男女を紹介。雪村は竹之内に連絡を入れるが、逆に章太が目覚めたぞ、と知らされる。
 雪村は病院へ。そこには竹之内、久保園、そして山田一太医師がいる。
 山田の話によれば光明苑の水害のあとすぐに目覚めたがずっと意識混濁状態だったとのこと。9月になって東京に移送し、ようやく意識がはっきりしたとのこと。
  だが自分の名前などは覚えいているが記憶にはかなり欠落があり、事件当時のことは覚えていないという。雪村はじれるが回復を気長に待つことしかできない。
 竹之内は「羊殺し」映画を問題視。関係者の隠語にすぎなかった羊殺しという言葉が初期段階からこの企画では使われており、内容も事情通の存在を思わせる。オキナガの福祉に悪影響を与える作品になりかねない。あくまでもやえいかんの業務としてであるが、雪村の趣味である羊殺し案件をあかりが手伝うことになる。
 あかりはさっそく映画のエキストラに応募する。雪村も一緒の様子。

第3話
 雪村はいろいろやらかしてあっという間に撮影から除外される。あかりも巻き添え。
 雪村は監督にオキナガに対する偏見をあおるような作品なら撮るのをやめてくれ、どんな映画なのか台本を見せてくれ、と直撃。監督は相手にしないのだが、そこにプロデューサーがやってきて、まだ誰が演じるか決まっていなかった役柄にぴったりだ、出演してくれるなら台本を渡すよと言い出す。あかりはそれだ!と興奮するが芸能プロとのからみで没に。
 監督は主演俳優にオキナガのことを教えてやってくれれば台本を見せないでもない、と案を出す。監督は芸術家肌の様子でそれでいい演技になればOKらしい。
 雪村はこれに応じる。あかりは本物だ!と興奮。
 主演俳優の数馬涼はオキナガ役なのだがどういうものかつかめず悩んでいる。彼には吸血鬼とオキナガの区別がついていない。雪村は彼の疑問に真面目に答える。
 気楽に社会に溶け込んで暮らしている雪村とは戦地で一緒だったオキナガの巻上が帰宅すると、ドアにオキナガ消えろみたいな落書きがある。

第4話
 薫子も数馬涼はちょっとお気に入り俳優の様子。雪村も話してみて気取りの無い謙虚な人柄と評価している様子。
 雪村とあかりは章太のところにも通っている。彼の記憶は10歳で止まっているようで、以降の事は思い出せない。自分がオキナガになったということもわかっていない様子。だが雪村と話すうちに子供時代の記憶はしっかりしてきた。
 雪村は涼の演技アドバイザーみたいな立場で撮影所に通うようになるが、引き換えに見せられた脚本は血に飢えた吸血鬼が人の血を吸って回るということで、一般人のオキナガに対する偏見を煽りかねない。だがプロデューサーは作中でオキナガという言葉は出てきません、この作品を見て作中の吸血鬼とオキナガを混同するのは愚か者ですよ、と詭弁をまくしたてる。
 そんな中、羊殺しを名乗る者から映画製作を中止しろ、という脅迫状がマスコミ各社に届く。

第5話
 住処を追い立てられたようで、巻上が按察使文庫に避難してくる。
 プロデューサーは脅迫状が届いても問題視せず、粛々と撮影を続行する。雪村と脅迫犯を同一視するような言動も見せる。
 按察使文庫に戻って巻上からいきさつを聞いた雪村はもっと怒れよ!と怒る。あかりが巻上の行き先を探すことにする。
 プロデューサーの思惑とは違うところで主演の涼は撮影が続くことを喜んでいる。彼はこれまでどちらかというと若いイケメンなら誰でもできるような同じような軽い役が多く、この作品で演技者として一皮剥けたい様子。映画俳優として一人前になれは母親が喜ぶと親孝行な面も見せる。
 だが何者かが置いておいた差し入れのチョコを食べ、雪村と涼は昏倒する。
 
第6話
 物音を聞きつけたあかりがやってくるが何も出来ない。そこにヒロイン役の鈴川なえ がやって来て、突然ナイフで自分の腕を切り、涼に血を飲ませようとする。
 あかりが医者にならなかったのは若い人の死に立ち会うのにどうしても耐えられなかったかららしい。その記憶が蘇る。
 涼は病院に運ばれ、雪村は蘇生するまであかりが見守ることになる。刑事が来てあかりも事情を聞かれるが、ラウンジにチョコがあったと教えたのは彼女でショックを受けている。
 久保園がやって来てあかりを安心させる。あかりは鈴川なえがオキナガらしいと久保園に報告するが、彼女は未登録長命者らしい。すると女優生命も絶たれる可能性がある。
 そうこうするうちに雪村が蘇生するが、彼は涼を殺した容疑者として警察に同行を求められる。

第7話
 雪村は事情聴取を受けるが明確な証拠はない。だが彼が犯人でなければ次に疑われるのはあかりだ。刑事はそこを突いて雪村をカッとさせ、公務執行妨害で逮捕する。
 雪村は別件逮捕なのだが、その場にいたオキナガが逮捕されたということで大衆はこいつが犯人だ!と思い込む。オキナガ憎しの声が巷にあふれる。
 映画の撮影は中止。プロデューサーや監督も雪村の犯行だと思っているようで、あかりへの態度も変わる。
 巻上はしばらく按察使文庫に滞在する模様。
 そんな時、あかりは竹之内がプロデューサーと会っているのを目撃する。

第8話
 鈴川なえの本名が判明するが、その 依田明子 という本名は厚労省に登録されていない。だが女優なら炎天下の撮影もあるはずでオキナガに出来る仕事とも思えない。あかりは思い切って本人に聞きに行く。
 撮影所にはまだ監督やスタッフ出演者が残っていて、事情を聞くと製作中止と思ったのがプロデューサーが粘っていてチームを解散させないらしい。
 鈴川とは会うことができ、あかりが鈴川にオキナガですね、と確認するとあっさり認める。彼女はオキナガとしては日光に耐性があり、2時間くらいは平気。どうしても女優になりたくてオーディションを受けたらしい。
 彼女はやはり未登録で、そのことがばれてプロデューサーからも叱責されたとのこと。事件があったときも隣の部屋で怒られていたところだったらしい。そのためすぐにやって来たのだ。鈴川はこの事件は羊殺しの仕業じゃないと思う、と言い出す。彼女は羊殺しの被害者なのだという。ここで彼女は呼ばれて言ってしまう。
 雪村を疑う証拠として雪村がいた室内のゴミ箱からチョコの紙袋が発見されているが、あかりはこれを入れることのできた人物を思いつく。

第9話
 プロデューサーの鳥飼はスタッフや出演者たちを集め、涼の弔い合戦のためにも脅迫に屈するわけにはいかない、と映画の脚本を書き換えて撮影続行することを宣言する。
 あかりは撮影所の間取りなどをよく調べて推理中。鳥飼に貴方にも(鈴川なえにも)紙袋を入れる機会はありました、雪村が犯人とは限りません、私でもありません、と言い張るが、同期は何です?何で僕たちが映画を潰すんですか、と言われると答えられない。もう来ないでください、と追い払われる。
 自宅で涼の葬儀の様子を見るあかりだが、そこで長命者女優が容疑者として事情聴取されている、とのテロップが出る。

第10話
 鈴川なえの氏名はあっという間に世間に漏れ、今度は彼女が犯人に違いない、という世論が形成されていく。夜間衛生管理課では鈴川が犯人か否かよりも、彼女がオキナガとして捕捉されていなかったことの方が大問題で対策会議が開かれる。あかりは冤罪ですよ、助けなくていいんですか、と問いかけるが課長からそれは警察にまかせなさい、と相手にされない。
 久保園は冤罪である方が我々も助かります。さあどうしましょう、とあかりに語りかける。
 鈴川が警察に引っ張られたことで今度こそ映画はおじゃん。鳥飼は何者かとそのことについて電話中。相手はこれでオキナガの心象は十分悪くなりました、もう映画は中止でかまいませんよ、と言うのだが、鳥飼は私は映画を作るのが仕事なんですよ、とうらめしげ。
 電話の主は雪村は釈放されそうなこと、鈴川なえの証言次第では鳥飼も疑われかねないことを指摘して、大丈夫か?と念を押す。
 あかりはまた撮影所に来て鳥飼と会っている。鳥飼の方が呼んだらしい。鈴川が怪しいと警察に言ったのはあなたですね、と文句を言いたい様子だが、貴方の推理には穴がありますよ、それを説明したくて呼んだんですという。彼はあかりをあるドアに案内する。ここはセットの裏手に出るのだが、すぐ階段があってセットを見下ろせるようになっている。関係者の多くがここのカギを持っており、他にも容疑者は大勢いるよというのが鳥飼の主張。
 だがあかりは反論する。鈴川さんが血分けしようとしたことを貴方は知らない。それは鈴川さんと別行動だったから。その時貴方は紙袋を捨てに涼の控え室にいたからです。
 鳥飼はしょうがないな、とあかりを突き落として殺そうとする。

第11話
 あかりは下にいた雪村に受け止められて(正確には雪村を押しつぶして)助かる。雪村は刑事を連れてきている。刑事は鳥飼に降りてくるよう声をかけるが、鳥飼は逆に階段を登り屋上へ。
 雪村はお前にはオキナガを世間の嫌われ者にしたいという動機が最初からあったんだ、と指摘して、だから羊殺しを騙ったんだと糾弾する。鳥飼はそこは違いますね。僕も羊殺しの一人なんですよ、と言い残すとスマホを投げ捨てて自分も飛び降りる。
 彼は誰が死んでもいいように毒入りチョコを仕掛けたが、それを主演の涼が食べたのだけは誤算だった。あかりはよりによって涼が、という彼の発言で犯人と確信したのだ。
 鳥飼は即死。事件は彼が犯人ということで幕を閉じる。
 彼が投げ捨てたスマホは行方不明。誰よりも先に現場を見下ろしたあかりは竹之内の姿を見たように思う。
 鈴川は殺人容疑は晴れたものの他人の戸籍を使っていたということで、しばらく釈放されない様子。あかりは面会できるようになったら彼女と羊殺しの関係を聞きに行くつもり。
 竹之内は鳥飼のスマホを持っている。これが警察の手に渡らなくて幸いだったと。

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