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「白暮のクロニクル(ゆうきまさみ著)」⑥壁のない迷宮

2020/01/09 19:00 投稿

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第1話
 刑事が殺人事件の現場にやってくる。被害者は若い女性の様子。
 光明苑の不正が週刊誌に面白おかしく報道されて、あかりの職場はその説明と、次々にかかってくる抗議電話の対応に忙しい。既に二週間が過ぎ9月に入っているがまだ報道は下火にならない。
 電話応対に憔悴したあかりを休ませようと久保園が配慮してくれて久々に按察使文庫にやってきたあかりは、そこで死体袋そっくりの寝袋にくるまって図書室で寝ている男を発見する。彼は谷名橋といい、殺人事件専門のフリーライターらしい。以前から図書館を利用している様子。雪村と谷名橋は1巻のオキナガ連続殺人事件や4巻のデリヘル嬢殺しについて話し込み、やがて話題は羊殺しにうつる。そこにそのお話もう少し聞かせてください、と若い女性がやってる。

第2話
 女性は週刊ゲンロンの記者で須本美和と名乗る。非常にさわやかな感じの美人。ゲンロンは厚労省がマスコミに袋叩きにされた際に比較的に冷静に公平な報道をしていた雑誌である。
 彼女は70年にわたって続いているという殺人事件・通常羊殺しにも興味を持っているが、まずは光明苑の取材として文庫に来たのだという。ここであかりは美和の誘導尋問に引っかかってボロを出し、自分が現場に居合せたことを認めてしまう。
 あかりからスミマセン、と報告を受けた久保園はそれ以上傷口を広げないように指示。貝になったあかりに美和はあかりさんみたいな人にはもっと正直に質問すればよかった、と悔やむ。
 雪村はお前さんの雑誌みたいな大手が扱うには羊殺しのネタはあぶないんじゃないか、ヨタ話のたぐいで警察も認めない話だぞ、と忠告するが美和はもう信じている様子。
 その頃竹之内が東京都監察医務院に来ている。久保園も一緒。ここには茅野亜沙子という22歳の女性の遺体がある。下腹部が切り裂かれて内臓が抜かれている。羊殺しの手口である。

第3話
 美和が帰った後に雪村、谷名橋、あかりは食事に行くがそこに竹之内と久保園がやってくる。あかりと谷名橋は席を譲って離れるが、三人はかなり深刻そうになにかを話している。
 途中であかりは久保園から明日から夜間勤務体制で雪村から目を離さぬように指示を受ける。
 翌日の新聞であかりは茅野亜沙子が殺されたという記事を見るが、自分に関係あるとは思っていない。記事では遺体損壊の事など全く報じられておらず、単なる怨恨による殺人であるかのような書き方がされている。雪村が竹之内に問い合わせると警察発表がそうなっている。
 警察は既に羊殺しの犯人を二人も死刑にしている。つまり冤罪で二人殺している。今更本当のことは発表できないのだ。
 そのころあかりは誰も詳細を教えてくれない羊殺しについて、地元図書館で自分で調べ始める。

第4話
 竹之内は茅野亜沙子の関係書類を雪村に見せる。子宮と卵巣が抜き取られている。
 あかりは結局按察使文庫にやってくる。雪村に聞くしかないと思った様子。するとまたしても須本美和とバッティング。雪村が帰ってきたので二人して羊殺しのことについてシンクロして尋ねてしまう。
 雪村は本来12月に被害者を襲うはずの羊殺しが秋に活動したらしいことにショックを受けており、谷名橋が先日言い出した規則性を信じすぎるのはよくない、みたいな発言をその場では一蹴したのだが自信を失っている。そのためあかりと美和にもちょっと考えを整理させてくれ、と帰ってもらう。
 数日後、亜沙子殺しの容疑者が浮かぶ。彼女と交際していた紫堂邦明。明治以前に生まれた前科持ちのオキナガだった。

第5話
 やえいかんでは容疑者・紫堂邦明の行方を捜すが手がかりはない。調査の過程であちこちでバッティングする警察とは口約束ながら情報交換協定みたいのができている。
 雪村は聞き込みで明らかになってくる紫堂の人物像に違和感がある。これまでの事件とは明らかに印象が違うのだが、今回に限っては犯人らしいような違うような。怨恨による殺人としてはぴったりの位置にいるのだが、人間像は殺されることはあっても殺す事はなさそう。
 あかりは雪村に羊殺しのことを聞こうと食い下がるが雪村は教えない。だが谷名橋も羊殺しの洗い直しをはじめて出入りしているので次第にあかりにも様子がわかってくる。美和も独自に情報をつかんでくる。
 羊殺しはどんなタイプの女性を狙うか、というところに共通点が無い。そして毎回異なる部分の内臓を持ち去る。そこまで美和は突き止めている。犯人として死刑になった男が出る前はこのことも報じられているが、冤罪の可能性が出てきてからはこのことは報道されなくなっている。犯行はひつじ年の12月。つまり12年に1度。
 雪村は今回の被害者も内臓を持ち去られていることを美和に明かす。
 谷名橋が昭和30年の津野田棗殺しの喫茶店に紫堂らしいオキナガが勤務していたことを洗い出す。雪村はハッとする。

第6話
 棗の死を報じた当時の週刊誌は、まるで棗がふしだらな生活をしていて落ち度があったかのように面白おかしく報じている。今回の週刊ゲンロンの記事も茅野亜沙子が遊び歩いていたような書き方だが、単に友人が多いだけで現代女性としては普通の事。記事を書いたのは美和ではないが、彼女はそうした編集部のあり方を内部から変えようと努力している。少なくとも偏見に基いて被害者と遺族の名誉を傷つけるような記事を書くまいと。
 あかりと美和は棗が殺される前に会っていた男を雪村だと気付いている。
 その頃雪村は棗の墓を訪れている。彼女はどういう理由なのか無縁仏扱いになっている。雪村は棗に犯人を教えてくれ、と語りかける。

第7話
 あかりと美和は茅野亜沙子の記事について話を続けている。彼女は明るい性格で、大学ではサークルのコンパで飲みすぎて一度病院に運ばれたことがあり、ボランティア活動で男女関係無く友人が多かった。ブランド物が好きだったが全部バイトで自分のお金で買い、単位も一つも落としていない。だが記事では入学早々問題を起こしバイトとサークルにかまけて学業をおろそかにし、男友達に囲まれてブランドに狂っていたバカ娘みたいになってしまう。美和は自分の職場だがこれが悔しい。
 やがて話題はあかりには彼氏いないんですか、雪村さんとはどうなんですか、という方向に。人間の女とオキナガの男のカップルって成立するんだろうか、と二人で考えることになる。男が若いまま自分だけ年老いて行くのは女にとってはきついだろう。紫堂が女遊びがひどかったというのももしかしたら女の方が離れていっていたのかもしれない。だからもし紫堂が犯人なら、子宮と卵巣を取ることが目的だったのかも、と美和は推理する。
 その頃雪村は紫堂の足取りを追って横浜で聞き込み中。やがて夜行教会という終夜営業の教会にたどりつくと、そこに紫堂がいるが、雪村を見て逃げ出す。俺はやってない!と。

第8話
 逃げ出した紫堂を追った雪村は車に撥ねられて入院。紫堂はそのまま姿をくらます。久保園はまた邪魔をしましたね、とちょっとおかんむり。やえいかんでも教会を調べに行く矢先だったらしい。教会の神父・入来も雪村の見舞いに来ている。
 雪村のために救急車を呼んだのは入来。入来によれば紫堂は自分は亜沙子を殺したりしていないが、捕まれば無理やり犯人にされてしまうと怯えていたらしい。出頭して潔白を主張するべきか逃げるべきか迷って相談していたという。
 入来は珍しい外国人のオキナガである。久保園によれば日本に帰化しているという。戸籍というものが出来る前から。
 帰る入来と雪村の見舞いに来たあかり、美和、谷名橋はすれ違う。入来は同行していた弟子に、大きな羊は美しい、と語る。
 久保園も含めた4人は見舞いの帰りに夕食をとるが、この時もあかりと美和はオキナガと人間の恋愛について話している。映画のレディホークなど引き合いに出す。
 あかりは昔の雑誌記事で読んだ被害者の津野田棗が自分の祖母だと気付いていないのだが、祖母と同じ名前ということでちょっと感情移入している様子。美和はそこであかりのプライベートに切り込んでくるが久保園が制止する。美和は電話で呼び出しが入って帰ってゆく。

第9話
 三日後、柴堂が死体で発見される。紫堂はいつかの光明苑の自殺したオキナガと同じく、木で首を吊って日光にあたり炭化した状態で発見される。発見者は亜沙子の父親。彼の散歩コースだったらしい。美和はいろいろ事情を調べてきて雪村に報告している。
 そこにあかりがやってきて、美和は入れ替わりに引き上げる。徹夜続きで疲れている様子。
 あかりは思い切って棗と会っていたのは雪村なのか聞いてみる。ようやく雪村が羊殺しに拘るのは被害者と知り合いだったからだ、とあかりは納得するが、雪村も名字が違うので棗があかりの祖母だと気付いていない。あかりの父が養子になって婿入りしたという二度の名字変更をしているため。
 棗殺しの犯人は既に死刑になっているが、これは冤罪だ。警察はもう棗殺しの真犯人を身内の恥をさらして捜査するつもりはない。竹之内も警察の面子を潰してまでこの事件を掘り返すつもりはない。だから雪村を自由に動かしている。明確な証拠をつかむまで。
 だからお前は羊殺しに関係する必要は無いぞ、と雪村はあかりに言うが、あかりは昼間父親と話して祖母の旧姓を聞きだしている。長尾棗と。母親代わりに父を育てた棗の妹の名を雪村は当てる。
 雪村は戸籍の確認をしろ、話はそれからだ、と背を向ける。
 翌日久保園が警察からまわってきた紫堂の死亡現場の写真を持ってくる。これを見た雪村は何かに気付く。

第10話
 退院した雪村は久保園と谷名橋に手伝ってもらって、車を使って人間が自分で首を吊ったように見えかけられることを実験で確かめる。あかりもその場に立ち会う。
 やがて美和の書いた記事が週刊ゲンロンに出る。紫堂の自殺と、彼が羊殺しという犯罪の真犯人だったのでは、以前死刑になった男性は冤罪だったのではないか、という記事で茅野亜沙子については故人の名誉を回復するような書き方がされている。美和の配慮がうかがえる。
 雪村は入来神父に紫堂の無実を晴らすためだ、と情報を提供してもらう。その内容を按察使文庫であかりに話そうとしているところに美和がやってくる。
 美和は以前雪村がいいニオイがすると言ったり、入来がオキナガだと見破ったりしたことがある。オキナガと特別な関係になった女性にはそういう能力がつくらしい。
 入来から、紫堂は亜沙子の前に付き合っていた女性とうまく別れられなくて困っていると懺悔したと雪村は聞いている。そして美和は亜沙子が子宮と卵巣を抜き取られたことを知っていた。だがこれを警察はリークしていない。

第11話 
 雪村は入来から聞いて、紫堂が亜沙子の死体の第一発見者だと知っている。だが彼は動転して部屋中に指紋を残し、救急車も呼ばずに逃げ出してしまった。
 紫堂はもともとどんどん若い女に乗り換えていくタイプ。如才なくルックスもいいので女性の方から近寄ってくる。だが以前の女性が捨てられることに納得せず、新しい女に直談判に来て話がこじれ、殺してしまう。だが我にかえった女性はこれを羊殺しのせいにしてしまえば自分の容疑をごまかせると考える。マスコミで働く女性は以前から羊殺しに興味を持っていた。
 雪村はこう美和に迫るが、彼女は私子宮や卵巣を抜かれたことなんて知りませんでしたよ、証拠でもあるんですか、と開き直る。こうなると雪村も攻めきれない。
 美和は棗の旧姓や、彼女があかりの祖母であることも突き止めている。その取材に神戸に行って来ます、帰ったらまたお話聞かせてくださいね、と退出する。
 あかりは戸籍を調べて美和のいう事が本当だと確かめている。雪村は竹之内に知っていたのか、と迫るが竹之内も知ったのは配属した後だ、と答える。
 そして美和は神戸で全裸死体で発見される。刃物で「ニセモノ」と身体に刻まれて。
 雪村は本物の怒りに触れたんだ、と形相が変わる。
 


 

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