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「沈黙の声(トム・リーミイ原作/中山星香著)」

2019/12/22 19:00 投稿

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  • トム・リーミイ
  • 中山星香
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・アメリカ・カンサス州のホーリィという田舎町にエヴリンという17歳の女の子がいる。愛称はエヴィ。漫画では明記がないけど1920か30年代の話らしい。テレビは無く町の若者たちの楽しみは映画。トーキー映画がようやくこの町の映画館にもかかるようになった。
 若者たちはこのトーキーなるものを見たい、とウズウズしていたのだが、その初日に馬車を連ねてやってきたワンダーショウなるものがかち合ってしまう。
 エヴィは友人のローズとフランシーヌとたまり場みたいなボーエンという人物が経営する乾物店で、ここはカウンターがあって飲み物なども出してくれるのだが、どちらを今晩見に行くべきか議論している。黒髪ロングのフランシーヌにはビリー、金髪ショートのローズにはハロルド(エヴァの兄)というBFがいるがエヴィはフリー。
 だが乾物店で店員のアルバイト中のソニーが誘ってくれたのでこれに応じる。

 ところが映画館にスカンクが出現して一発、という事件があり臨時休業。人々はワンダーショウに流れる。
 これは一種のフリークショーで、普通のサーカスとはかなり違う。団長は鋭い目をしたハーヴァーストック。登場するのはまず子人のティム。人間の掌に乗るサイズで動き回りしゃべる。作り物とは思えない。次に電気人間エレクトロ。電気椅子に耐えるというのだがこれはちょっとウソっぽい。下半身と髪の毛が蛇の女。角のある長身のミノタウロスは二人の人間を軽々持ち上げる。小さな人魚。顔は人間のようでもあるが眼は魚のもので頭髪は無い。腹話術かもしれない透明人間。本物っぽくもあり、インチキっぽくもある出し物が続き、魔法少年エンジェルの登場。白い肌、赤い目に金髪のアルビノ美少年。団長の持つという古代種族の力で、エンジェルは客席上空を飛び回る。さらにその場に火、水、土、大気の精霊が顕現する。これはとてもトリックとは思えない。
 ラストは男でも女でもないヘンリ=エッタ。これは女性は退席で男性だけ別料金。

 ショウがはねた後、知り合いとあれはトリックだ、本物だ、と議論になる。エヴィの兄ハロルドは全部トリックさ、と譲らない。

 エヴィは帰りにソニーにKISSされて交際を申し込まれるがなんだかピンと来ない。そして彼女の大学進学の夢がたぶん経済的な事情で断たれる。彼女はこの田舎町から出て行けない。この町の同年代の青年は全員顔見知り。その中でソニーはマシな方だが、なんだか先が見えてつまらない。

 ショウは大評判となり、しばらく町に滞在する。そんなある日、エヴイは釣りをしているエンジェルを見かけて思わず話しかける。そして彼が口をきけないことを一緒にいたティムに聞く。ティムは本物の小人だった。
 親しく話したものの団長が町のものと話すなとうるさいんだ、と彼が言うので彼女は立ち去ろうとするが、足をすべらせて川に。落ちたはずだったのだが空中で彼女の身体が停止している。エンジェルの念力で。ショウのエンゼルの飛行も精霊も、彼の超能力なのだ。
 だがこれは誰にも話してはいけないこと。ティムはエンジェルの能力をごまかそうとし、そこに迎えに来たヘンリ=エッタはエヴィにエンジェルは喋れないだけではなく知恵遅れなのだと打ち明けて、彼に恋しても無駄だよ、と忠告する。

 その晩はローズが突然パーティを開くと言い出すが、エヴィもフランシーヌも反応が鈍い。ローズはハロルドと交際していたにもかかわらず、ショウのイケメンスタッフとあやまちを犯してしまい、その再度の誘いを断わる口実としてパーティを企画したのだが、エヴィはエンジェルに心を奪われ、フランシーヌはたくましい身体のミノタウロスにちょっと魅入られてしまっている。
 ちょっと遅れてローズの家に車で出かけたエヴィはまたしてもエンジェルと遭遇。どうも団長のところから逃げて来たらしい。怪我をしているようで弱っている。彼女はエンジェルをフランシーヌの父親であるレイザム医師の家に連れて行く。すれ違いで既にフランシーヌは出かけているが、彼女は吸い寄せられるようにローズの家ではなくテントのそばへ行き、そこでミノタウロスと出会う。

 エンジェルのいないその日のショウはちょっとブーイングを受けて終わる。
 エヴィはエンジェルが団長を恐れているらしいこと、彼が信頼しているのはティムとヘンリ=エッタだけらしいことを筆談で聞き出し、ヘンリ=エッタに会う。
 ヘンリ=エッタは団長も念力を持っていて、これまで気に入らない者は全部何の証拠も残さずその力で殺してきた、これ以上かかわるのはやめろ、と忠告する。
 エンジェルの力は普段は団長に催眠術のようなもので封じられているらしい。

 その頃フランシーヌが暴行されて死体で見つかっている。相手は巨大な男らしい。
保安官は団長に事情を聞きに来て、しばらく留まるように言い渡す。ミノタウロスの仕業だとすぐ悟った団長はミノタウロスを念力で殺し、証拠隠滅のためテントごと従業員やフリークスたちも焼き殺してしまう。ティムとヘンリ=エッタだけが逃げて助かる。

 エヴィと合流したティムとヘンリ=エッタはエンジェルのところへ行き、一緒に隠れ家を見つけてここで超能力の訓練をする。団長が催眠術でかけた枷を外せるように。

 ハロルドは妹を守って家族を騙し、妹とエンジェルが一緒にいられるように根回しするが団長に心を読まれて殺される。

 だがその間にエンジェルは自分の力をコントロールできるようになり、テレパシーでエヴィとの会話もできるようになる。二人は愛を確かめ合うが、その間にハロルドを殺した団長が隠れ家を見つけ、ヘンリ=エッタが殺される。ティムは逃げてエヴィ、エンジェルと合流する。

 団長はエヴィとエンジェルの前に立ちふさがる。ティムが隙をみて助けを呼びに行き、エヴィは時間稼ぎに団長の過去を聞く。団長は不死らしく、動物実験や人体実験で見世物のフリークスを作ったのだという。ティムやミノタウロス、メデューサなどは彼が女に生ませた子供らしい。エンジェルは偶然自分と同じ力を持っている事に気付いて孤児院から引き取った子供で、団長も彼の出自は知らないらしい。団長はもう時間稼ぎもこのへんでいいだろう、と二人を殺そうとする。

 だがエンジェルは既に団長と同等の力に目覚めていて二人の超能力対決となり、エンジェルが勝つ。
 
 犠牲も出たが町は平穏に戻る。子供が話している様子によれば、エヴィとエンジェルは町で暮らしているらしい。ティムも一緒と思われる。
 ロージーは母親と町を出て行ったらしい。子供たちは今年の夏は終わった、来年の夏も面白いことがあればいいな、と話している。


 表紙とかには原作者の名前が無いのだけど、著者と原作を翻訳した井辻朱美さんが原作に魅せられたいきさつなどを解説で書いている。

 よくこんなレアな話に目をつけてコミカライズしたな、と思う。

 原作者のトム・リーミイはこの長編1冊と短編いくつかを残してこの長編出版前に急死し、死後に受賞などして才能を惜しまれたらしい。

 原作もどっかにあるはずなんだけど見つからない。たしか途中までしか読んでなかったはず。見つけたらちゃんと読んでおきたい。

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