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漫画「どろろ③(手塚治虫著)」

2019/04/10 19:00 投稿

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・サンデーコミックス版「どろろ」読み直しの3巻目。

・ばんもんの巻
 小高い丘の上に幅2間、高さ10m?くらいの板が立っている。やってきたどろろと百鬼丸はここで休んでいこう、ということになる。この時の会話から、どろろはかなり臭うらしく4年風呂に入っていないらしい。百鬼丸は風呂に入れ、とどろろに言うがどろろは拒否する。
 その夜狐火とともに狐の大群が現われ、百鬼丸は夜明けまで戦うことになるが、夜が明けるとあんなに斬ったはずの狐の死骸が一つも残っていない。
 やがて侍が百姓を数人連れてやってくる。侍たちは命乞いをする百姓たちを板のところに並ばせ、矢を射かけて殺してしまう。殺された中に女性がおり、彼女に子供二人が駆け寄るとこの子供も目障りだ、殺せ、と侍の指揮官は命じる。部下はひるむがやれ!と一括されて子供も殺される。この指揮官が醍醐景光である。
 この殺戮を目撃したどろろはガマンならずに文句を言いに飛び出し、侍たちに石をぶつけたりかみついたりと暴れまわる。挑発された景光は思わず刀を抜くがここで百鬼丸が割ってはいる。切り結ぶうちに百鬼丸の手に仕込まれた刀に気付いた景光は、どろろがはやしたてるあにきは48匹の魔物にうんぬん、タライに乗って、などという言葉を聞いて狼狽し、引き上げを命じる。
 一方百鬼丸の方も景光に何か説明できない感情がわき上がるのにとまどう。

 子供たちを埋葬し、やってきた板のこちら側から板の向こう側にある町に入る二人だが、ちょっとかっぱらいにと先行したどろろは住人につかまって袋叩きに合い、川に投げ込まれてしまう。これを浮浪児みたいな少年が拾い上げて助けてくれる。

 一方百鬼丸は侍の集団にからまれ、朝倉の間者め、斬ってやる、みたいなことで斬り合いに。7名をなんなく切り伏せた百鬼丸に、みごとだな、と若い侍が声をかけてくる。彼は多宝丸と名乗る。お前さんがさっき「ばんもん」のところで斬りあったのが俺の親父だ、醍醐景光っていうんだ、などと話しかけ、気に入ったからうちにこいよ、メシくらい食わせてやる、とさそいかける。

・助六の巻
 多宝丸は屋敷に百鬼丸を招くが、朝倉の間者と思っているようす。景光はもう百鬼丸が自分の息子と気付いており、景光によればここは富樫領で、「ばんもん」が国境になっていてその向こうは朝倉領なのだという。
 富樫氏を調べると今の石川県にある野々市市(ののいちし)あたりを治めていた戦国大名だけど、一向一揆というやつで戦国時代の最初で勢力を失ったみたい。勧進帳の富樫もこの一族だと書いてあった。すると朝倉は信長に滅ぼされた朝倉氏で、この話の舞台は石川と新潟の県境(もちろん今とは違うだろうが)というイメージになる。すると百鬼丸やどろろと信長がからむ二次創作とか、仮面の忍者赤影がからむ二次創作とかが時代的にはあり得るわけだ。
 景光は富樫氏は名門であり、自分はその最前線の砦を任されている、と自慢して百鬼丸に仕官をすすめるがサムライなんて、と百鬼丸は断わる。多宝丸はまだ間者と疑っていて俺が斬ってやるみたいな感じだが、息子と知っている景光はまあメシでも食わせてやれ、ととりなす。
 百鬼丸は町の様子を見に行ったどろろをそういや置いてきちまった、と探しに出るが、庭先できれいな女性と鉢合わせをする。これが奥方のお縫。百鬼丸の母である。
 互いに絆を感じるのだが、百鬼丸は俺に母親はいない、とその場を逃げるように去る。だが心の中には温かなものがお縫から伝わって来る。
 そのころどろろは川に放り込まれていたのを助けてくれた浮浪児みたいな少年と話している。彼の名は助六で、ばんもんの向こうに家があるのだが、突然朝倉と富樫の間でいくさがはじまり、国境に大きな板べいが設けられてこれを超えようとした者は死刑だ、というおふれが出たため帰れなくなったのだという。その後何度も争いが続いて塀の大部分は焼け落ちたがこれを越えれば死刑というのはかわらない。焼け残った部分はいつしか「ばんもん」と呼ばれるようになったのだという。
 街には人々の死骸を食う、妖力を持った野ギツネが棲みついていて人の心も操ることができるという。助六によれば戦争がいつまでも終わらないのは野ギツネがいつでも餌にありつけるように両国の侍を操っているのだ、ということらしい。
 そういうえば醍醐景光の屋敷にも野ギツネは居ついていて、百鬼丸はこれと戦っている。

 助六は決意してばんもんの向こうへ行く。どろろはこれを助けようと警備の侍たちと争う。助六は国境を越えるのに成功するが、間もなく彼の実家のあるあたりが火事になる。結局どろろも助六も捕まって、ばんもんに並べられて他に捕まった百姓たちと一緒に矢で殺されることになる。どろろがおっかあに会えたか、と助六に聞くと、両親は既に殺され、家も焼けて何も残っていなかったという。侍たちの指揮をとるのは多宝丸。
 百鬼丸が現われてどろろを助けるが、助六はその直前に殺されてしまう。

 ばんもんで百鬼丸と多宝丸が斬りあっていると報告を受けた景光は、やめさせろ!あの二人は兄弟なのだ!と叫んで馬を走らせる。

・斬り合う百鬼丸の心に、野ギツネの妖怪が話しかけてくる。それはお前の弟だ、と。だがもう戦いは止められない。迷いを抱えながら百鬼丸は弟を斬り、死にかけた多宝丸に俺はお前の兄貴だぜ、と語りかける。多宝丸はそれがわかったのかわからなかったのか、一度目が合うが何も言わずに息を引き取る。
 続いて百鬼丸は野ギツネと戦い、鼻を外して狐に飲み込ませ、これで爆破して倒す。九尾の狐の死骸が残る。百鬼丸の鼻は作り物だったわけで、ちょうどうまいことここで本物の鼻が生えてくるが最初のほうで鼻は既に取り戻したみたいなことを言っていたのでちょっと矛盾がある。以前からどろろにお前くさいぞ、風呂に入れと何度も言っているがこれは心で臭いを感じていたのだろう。この話でもあと30匹くらい妖怪を倒さねばみたいに言っていて開幕時と変わってない。
 どろろが現われて、二人で九尾の狐の死骸をばんもんに磔にすると、その重みでばんもんは崩れる。すると両方の国から百姓たちが現われて、家族との再会を喜び合っている。
 助六に見せたかったな、とどろろはつぶやき、二人は去って行く。

 景光は多宝丸のなきがらを見つけ、百鬼丸を斬れ!と討伐隊を出すが全て返り討ち。
 百鬼丸はしばらく物思いにふけっていたが、突然どろろにお前とはもうお別れだ、と去っていってしまう。どろろは止めようとするが百鬼丸の決意は堅い。
 ならもういいや、ささと行っちまえ、と散々悪態をついたどろろは、百鬼丸の姿が見えなくなると大泣きする。
 どろろの心のスキをつくように、悪霊がやってくる。どろろの心を読んで母親の姿を模した悪霊はことばたくみにどろろを誘い、自分の住処に連れ去って行く。
 百鬼丸は実は弟を斬ったことで厭世的な気分になっており、自殺を考えている。そこにまた琵琶法師が現われて百鬼丸を止める。

・白面不動の巻
 どろろを誘った悪霊は、みしらずの滝という滝のそばに住処があってそこにどろろを連れてくる。行者が滝に打たれて修行をしている。悪霊はその行者の世話をするのが仕事の様子。滝の正面(滝の真横)には巨大な不動明王の像があり、白面不動と呼ばれているという。
 実はこの白面不動が妖怪で、女に化けた悪霊がことばたくみに人を誘いこみ、修行だといって滝行をさせるうちに命を取られてしまうというものみたい。その時一緒に顔も取られてしまって、それが不動のあたらしい顔になる。不動は新たな顔を得るとすぐに次の顔を欲しがるので、悪霊は休む暇がない。
 どろろは顔を取られてのっぺらぼうになった死体が氷漬けにされている洞穴に迷いこむが、悪霊はすぐこの穴の入り口を消してどろろの気のせいよ、ということにしてしまう。
 どろろの母の顔を真似て近づいたため、どろろは悪霊をおっかちゃん、と呼んで甘えるようになる。すると悪霊の心の中にもどろろを案じる母性が生まれて来る。
 思うにこれまでの大人の男は色仕掛けで誘ったんだろうけど、母親のふりをしたことで余計な心が生まれてしまったのだろう。
 どろろには信心なんてないので、滝に打たれてみない?といくらさそっても応じないが、不動からはさっさとしろ、という圧力がかかってくる。悪霊の心にはどろろを助けたい、という母性のような心が生まれており、葛藤に苦しむが結局力づくでどろろを滝に打たせようとする。だがおっかちゃん、やめてくれ、と何度も叫ぶどろろの声に負けてぎりぎりのところでやっぱりできない、と不動を裏切り、どろろを連れて逃げ出す。
 悪霊はここから離れられないらしく、白面不動が人の顔を盗む妖怪であることを伝えてどろろだけ逃がそうとするが、不動は滝の水を使ってどろろを足止めし、いうことをきかなくなった悪霊を処刑する。悪霊はたましいのないあたしに人間の心をくれてありがとう、とどろろに感謝しながら水に溶けて消えていく。
 不動は蛇の大群を送り出してどろろを追うが、そこに百鬼丸と琵琶法師がやってくる。
 百鬼丸は19番目の妖怪め、と不動と戦い、これを倒す。不動は岩に生じた黴が妖怪に転じたものだった模様。百鬼丸は右の耳を取り戻す。
 この間喧嘩別れしたどろろと百鬼丸はお互いにツンデレしながらまた同行することにする。琵琶法師も一緒にいる。

 このどろろの母親の顔をした悪霊は魅力のあるキャラクターなので、リメイク版でもいいエピソードになっているのだろう(みてないけど)。

・みどろの巻
 琵琶法師とはその後すぐに別れたらしく、どろろと百鬼丸はあいかわらず一緒に行く、行かないみたいな感じだが、百鬼丸はどうしても引き返して醍醐景光に会わなければ、とどろろを置いて立ち去ろうとする。どろろはおいらも助六の仕返しをしないと、と同行しようとするが百鬼丸はどろろを縛り付けて自分だけで行ってしまう。

 醍醐景光と戦っている朝倉方の武将に木曽路(キソジ)という男がいて、武勇をうたわれる剛の者だがその手柄は本人より彼の乗馬のミドロ号のおかげ、みたいに陰では言われている。それを知ってしまった木曽路はミドロ号に八つ当たりして、一緒にいた子馬を母馬から無理やり引き離して売りに出してしまう。この子馬を売りにいった足軽がどろろと出合って、どろろに子馬をかっぱらわれるのだが。

 次の戦闘でミドロ号は元気がなく、矢を受けてよろめいたところで落馬した主人の木曽路を踏み殺してしまう。全身に矢を受けた瀕死のミドロ号に、人間が憎いだろう、と死霊が話しかけてくる。俺と合体して人間どもに復讐だという話がまとまってミドロ号は妖怪と成り果てる。ミドロ号は百鬼丸を襲うが手強いとみて引き上げる。これを追った百鬼丸はミドロを見失うが、そばにあった小屋で朝倉と醍醐の戦いを高見の見物としゃれこんでいた賽の目の三郎太という腕利きの浪人と言い争いとなり、勝負となる。

 勝負は引き分けと終わり、その間に朝倉勢と醍醐勢の戦いも終わる。醍醐勢の勝ちのようである。三郎太は醍醐に仕官するのがよさそうだ、と立ち去って行く。そこに子馬に乗ったどろろがやって来る。子馬が遠くにいる馬の影を見つけ、どろろと共に走りよろうとするとあれは妖怪だ、わからないのか、と百鬼丸が止める。
 百鬼丸が斬ろうと馬の妖怪を追うと、そこにいたのはミドロに乗った三郎太。これは俺の馬だ、という三郎太はミドロに支配されている様子。ミドロのために蹄鉄をつけてやり、罪のない村人たちを次々と踏み殺す。様子をうかがいに来たどろろも襲うが、子馬を見てひるみ逃げ出す。どろろはお前のかあちゃん、あにきの言ったとおり妖怪になっちまったんだな、と子馬をなぐさめる。

 百鬼丸に三郎太から果たし状が届く。百鬼丸はこれに出向いてミドロを倒す。三郎太は気を失っているが、寝かせとけば目覚めて正気に戻るだろう、と置いていく。
 どろろは母を失った同士として子馬に元気でやれよ、と声をかけて百鬼丸とともに去って行く。

 これで3巻終わり。どの話も妖怪との戦闘シーンはほんのちょっとしかないが、読むと死闘を繰り広げたような印象が残る。
 ページが裂かれているのはどろろ、あるいは百鬼丸の周囲の人(死霊含む)とのかかわりである。

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