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「ギリシア神話を知っていますか(阿刀田高著)」⑨狂恋のメディア

2019/04/08 19:00 投稿

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  • ギリシア神話
  • 阿刀田高
  • 新潮文庫




・アルゴー丸の遠征という話があるらしい。かなり古代ギリシアにイオルコスという地域があって、ここにテッサリアという街がある。ここにアイソンという王がいたが、弟のぺリアスに王の息子のイアソンがまだ若いので成人するまでは自分が王位を預かりましょう、兄上は譲位してお休みを、みたいな口車に乗って失脚する。ぺリアスのもとではイアソンが育つのは難しい、と母親は息子を神人ケイロンというのに預けて無事二十歳となる。
 イアソンはペリアスの元に行き、約束通り王位を私に、と言うがペリアスはいいけど条件がある、という感じで難題を押し付ける。それは従兄のプリクソスという者がコルキスという国で殺され、ペルセウスに貰った金の羊も奪われて今は毛皮になっている、これを取り戻してくれ、そうしたら王位を譲ろうというもの。コルキスは今でいうとグルジア、じゃなくてジョージアあたりにあったらしく、当時のギリシャからは地の果てのような場所。
 イアソンは人望があったらしく、船大工アルゴスが作ったアルゴー号に50人以上の勇士が乗り込んで出発する。竪琴の名人オルペウス、千里眼のリュンケウス、力自慢のポリュデウケス、豪傑ヘラクレスなども乗り組んでいる。プリクソスの息子アルゴスも途中で合流するが、ヘラクレスは途中で船を降りることになる。

 この様子を神々も見ていて、イアソンが美男子だったので女神たちが彼に勝たせてやりたい、それにはコルキスにイアソンの味方を作らなければ、というわけでコルキスの王アイエテスの娘、メディアにイリアスを好きになるようにエロスの矢を射させる。
 イアソンは正攻法でアイエテスに毛皮を譲ってくれるよう頼むがアイエテスは断わる。だが無下に断わると神々の怒りを買うと計算して、無理難題を申し付ける。これを陰で聞いていたメディアがもうエロスの矢のおかげでイアソンに恋しているので彼女の助けでこの難題をクリアする。アイエテスはイアソンが娘の助けで難題をクリアしたと知り、イアソンを殺してしまおうとするが、メディアはこれを知ってイアソンを逃がし、毛皮も渡す。
 メディアはアルゴー号に乗ってイアソンと共に逃げるが、これをメディアの弟・アプシュルトス率いる部隊が陸路で追い、先回りして待ち伏せに成功する。アルゴー号は圧倒的な軍勢に動揺するが、メディアは愛する男のためにこの弟を騙し討ちにして殺してしまう。

 故国に帰り着いたイアソンだが、ペリアスはのらりくらりと王位を譲らない。するとまたしてもメディアは姦計をめぐらせてペリアスを釜茹でにして殺してしまう。めでたしめでたし。とはならず。

 メディアはイアソンとの間に子供も作ったようだが、イアソンがコリントスという国の王女と親しくなって離縁される。すると彼女はこの王女も毒殺し、コリントス王も巻き添えで死ぬ。メディアはコリントス市民の怒りを買って追い出され、子供も殺されてしまう。イアソンはメディアと離縁すると故国に帰ってたらしい。

 その後メディアはうまいことアテネの王の妃となるが、王位は間もなくテセウスのものとなり、著者はテセウス王のもとではメディアが幸せになることはなかったろうと言う。

 恋のために何人もの人を殺してしまったメディアに、著者は魅力を感じないという。

 かなり筋立ては異なるみたいだけど、ハリーハウゼンの特撮映画で「アルゴ探検隊の大冒険」というのはこのアルゴー号の遠征が元ネタらしい。これ見たことあるけど特撮シーンにしか関心なかったので、どんな話だったかは全然記憶にない。


 王女メディアっていう映画があったけど私は見たことない。


 金羊毛皮という戯曲もあるらしい。メディアを魔女と解釈しているバージョンもあるみたい。イアソンとメディアの子供についても、著者は民衆に殺されたと書いているけどメディアが自分を裏切った夫の子供を腹いせに殺したように書かれているものも。

 自分の欲望に忠実で、それでを阻む者は弟でも子供でも夫の大切な人でも殺してしまう、という行動からは悲劇の王女というよりは魔女的なイメージを強く感じるかも。

 マスメディアの語源もこの人なのかな、と思ったけどはっきりわからなかった。今のネットも含めたメディアは魔女といえば魔女だろうから、うまくこじつけられればうまく締めくくれたんだけど。

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