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漫画「どろろ②(手塚治虫著)」

2019/04/03 19:00 投稿

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・サンデーコミックス版どろろ読み直しの2冊目。

・無残帳の巻
 百鬼丸にお前はどう過ごして来たんだ、と問われたどろろは話すことを拒否するが、脳裏にはつらい思い出が浮かぶ。何度もいくさにまきこまれ、さむらいたちに虫けらのように追い回されて何度も村を焼かれ田畑をふみつぶされた百姓たちが村を守るためにやむなく戦いをはじめ、今は野盗の頭目となったのがどろろの父、丸首ブーンの火袋だった。
 副頭目格のその妻のお自夜も女ながら馬にも乗り、刀も使う。彼女はさむらいのために母親も兄弟も二人の子供(つまりどろろの兄か姉)も殺されており、家族がいると命乞いするさむらいも許さない。
 だが仲間たちは野盗暮らしを続けるうちに初心を忘れ、さむらいと組んで天下取りを、という気持ちになっている。火袋とお自夜はこれをいましめるが、二人に次ぐ実力者のハムエッグのイタチはひそかに代官と話をつけて、まだ乳飲み子のどろろを人質にして二人を代官に引き渡してしまう。代官も火袋に仲間になれと迫るが彼は聞き入れず、どろろ親子は殺されることに。だがまだ赤ん坊のどろろが牢の隙間から出て鍵を奪い脱出。火袋は代官を建物ごと葬ってイタチの裏切りを知らずに仲間のもとへ。ここで重傷を負わされて親子で放浪することになる。やがて火袋はつまらないことで喧嘩となり死亡。お自夜も最後までどろろを守って凍死する。どろろは自分の年齢をはっきり知らないが、10歳くらいかも。それだと初潮もまだで女という自覚もないのかも。
 そのあたりでどろろの回想は終わるが、百鬼丸はどろろが思い浮かべたことを全て心の力で知ってしまう。周囲の死霊がどろろの人生を笑うが、どろろはどんなにみじめでいためつけられたっておいらは人間だ!と言い返す。

 漫画版では飢えてさまよう三人がある村へ行くが、そこで村人が人肉を食べているのを知って立ち去るものの、火袋が死体に手を出そうとして妻とどろろに止められるシーンがある。
 さすがにテレビでは落ち武者を殺した百姓が奪った鶏肉をどろろが奪う、というエピソードに変更されている。わずかの肉を争っていい大人が殺しあうのもかなり子供にはきついエピソードだけど。

 少し後に人肉食を描いたジョージ秋山さんの「アシュラ」で少年マガジンが有害図書指定されたことがあったけど、どろろは別にコミックスが発禁になったりはしなかった。手塚さんもよくPTAに責め立てられていた人なのであぶなかったのかもしれない。
 
 お自夜が入れ物がないため熱いおかゆを手のひらに受けてどろろに食べさせるシーンは心に残っている。
 どろろの両親を間接的に死に追いやったイタチはテレビではこれっきりだけど漫画版では再登場する。

・妖刀の巻
 百鬼丸は腕の立つ侍と勝負をすることになる。侍は田之介といい、村を出てある大名に仕官したがそこで無実の大工たちを砦の秘密を守るために殺す、という命令を受け、それ以来心が病んでしまっている。百姓たちを斬った刀には妖怪が宿り、刀の命じるままに人を斬るだけの操り人形状態。
 百鬼丸は一日がかりで精神の勝負に勝ち、立ったまま気を失った田之介を置いて立ち去るが刀を欲しがるどろろが百鬼丸の制止も聞かずにこの刀を持ち、妖怪に取り付かれて村に暴れこむ。老人と娘の二人連れに斬りかかり老人に重傷を負わせるが娘の持っていた護符を見て退散する。
 実はこの二人は田之介の父親と妹で、田之介は刀のトリコになった状態では実家に帰るに帰れなかったのだ。だが実家に田之介は姿を現す。家族は喜ぶが、田之介の目的は刀を取り戻すこと。彼の指示でどろろはつかまり、村人はどろろをしばり首にしようとするが百鬼丸がこれを助け、刀の魔力のせいなんだと謝罪する。
 村人は信じないがどろろから刀を取り戻した田之介が村人を無差別に斬りはじめ、百鬼丸と再び対決することになる。田之介の妹、お須志は兄を斬らないで、と百鬼丸に頼むがそういうわけにはゆかず、今回は百鬼丸は田之介に重傷を負わせ、勝てぬとみた田之介は刀に自分の血を吸わせて自殺してしまう。悲しみを百鬼丸にぶつけるお須志。
 百鬼丸はこれで左目が戻って来て、どろろにお前そんな顔だったのか、と話しかける。最終回ではどろろをはじめて目で見た時に女の子とわかった、と言っているがちょっとこの後の言動と矛盾がある。
 お須志は百鬼丸を許さず、二人は休み暇もなく村を出て行くが、百鬼丸はお須志にあんたって美しいなあ、俺、はじめて女の人を目でみたんだよ、と語りかける。

 村を出てから百鬼丸はどろろにこの川で水浴びをしていこう、と誘うが(女の子と気付いていればそうしないと思うが。いや気付いたからこそ誘ったとも解釈できるか)どろろは強く拒む。この時どろろはお須志を百鬼丸がきれいと言ったことに腹を立て、ヤキモチを焼いているかのように荒れている。結局水に落ちて百鬼丸に背中を流してやる、と服を脱がされるが、百鬼丸はどろろの背中に地図のようなものが描かれていることに気付く。これはお自夜が死ぬ数日前にどろろが眠っているうちに刀で刻んだもの。火袋とお自夜はまずしい百姓たちのために使おうと盗賊をして儲けた金を貯めており、そのありかを示した地図である。信用できる人にだけ背中を見せなさいと言われていたらしい。
 地図はやがて消え、どろろが興奮した時だけ見えるらしい。百鬼丸は安心しろ、お前の宝ものに興味なんかない、と言うがいつのまにか琵琶法師がおり、百鬼丸にその金を見つけてやることが妖怪を全部倒した後のおまえさんの生きがいになるんじゃないか、と言って去って行く。百鬼丸はそうかもしれないな、と思う。

・鯖目の巻
 百鬼丸は妖気を感じ身構える。現われたのは尼のような女性と、巨大な胎児のような子供の妖怪。女性の妖怪はこの子を引き取ってください、みたいなことを言って消えてしまう。百鬼丸はどろろにこの妖怪の世話を頼むが、どろろよりはるかに図体がでかい子供妖怪なのでどっちが世話をしているのかわからない状態になる。どろろは文句を言い、気持ち悪がりながらも世話をする。
 百鬼丸とどろろは寺の焼け跡を見つけ、ここで一夜をすごすことにする。子供妖怪も一緒で、ちょっと喜んでいるようでもありもともとここが棲家だったのかもしれない。
 その夜、この寺に子供を捨てにやってきた百姓夫婦があり、事情を聞くとここには慈照尼という尼がおり、慈悲深い人で貧しくて親が育てられずに手放した子供を50人近くめんどうをみていたのだという。百鬼丸は先に消えた女の妖怪がその慈照尼と直感し、彼女がこの寺の火事で焼け死んだのだろうと百姓夫婦に伝える。夫婦はこの寺が焼けたのも知らなかった様子。尼をうらんでいた者は?と聞くと鯖目という郷士とは折り合いが悪かったと聞く、と答える。

 するとそこにその鯖目が現われ、誤解があるようですな、と彼の屋敷に百鬼丸とどろろを誘う。子供妖怪はその直前に姿を消しており、どろろに油の痕を見せて消えたという。この油で寺に放火したものがいるらしい。

 鯖目の屋敷には美しい侍女たちが何人もおり、舞を舞って百鬼丸を歓待するが彼は興味を示さない。鯖目は慈照尼は親切なのはうわべだけで、実は引き取った子供たちを虐待し最後は人買いに売り渡していた性悪な女、火事で死んだのも仏の罰でござろうみたいなことを話して泊まっていくようにすすめる。
 屋敷が寝静まるとどろろは金目のものを盗もうと起き出すが、百鬼丸はなんでお前はつまらないコソドロで自分をごまかすんだ、親父から引き継いだ埋蔵金を使って貧乏な人を助けるのがお前の使命じゃないのか、と引き止める。
 そんな話をしているところに妖怪の気配。百鬼丸はこの屋敷にたちこめる妖気から察していたが、ここは妖怪の巣なのだ。そして倒すためにここにそうと知りつつ泊まったのだった。
 現われたのは巨大なイモムシのような妖怪。百鬼丸は焼け水でこの妖怪を撃退し、追い詰めるがそこに巨大な蛾のような妖怪が現われてイモムシをたすけ去る。

 その頃鯖目は奥方と話している。奥方は何故あのような者を泊めたのです、すぐに追い出しなさいと鯖目に迫る。鯖目は慈照尼のことがばれないよう言いくるめようと思ったのだと言い訳。翌朝奥方にいわれた通り百鬼丸にもう帰れ、と言うが百鬼丸がここには妖怪がいるな、と居座る。
 どろろは屋敷内を探り、寺を焼いたのと同じ油が貯蔵されているのを発見。さらに人間の抜け殻のようなものが大量に隠されているのも発見する。そこに奥方が現われてどろろに告げる。私は遠くから来た者。鯖目と出会って夫婦となった。だが私には連れ子がいる。その子はこうやって何度も人間の皮を脱ぐの。それを知った慈照尼を寺ごと焼いたのよ、とどろろを殺そうとする。どろろは手塚漫画ならではのギャグ展開で自力でこれを切り抜けて、百鬼丸のもとへ。ついでに油に火をつける。
 鯖目と対峙していた百鬼丸にことの真相を告げるどろろ。奥方も侍女も妖怪で、この屋敷で人間は鯖目だけらしい。鯖目は百鬼丸に勝負を挑むが俺が斬りたいのは妖怪で、人間じゃない、と百鬼丸は応じない。屋敷に火がまわると鯖目は奥方を案じてそちらへ。すると屋敷内から巨大な蛾のようなものが何体も飛び立ってゆく。
 火事を見てかけつけた村人に、百鬼丸はこの村は妖怪に見込まれている、戦うんだ、と呼びかける。

・地獄変の巻
 鯖目は森の奥で子供を抱く奥方と再会し、百鬼丸を倒すようけしかけられるが奴は腕が立つ、俺の力では倒せない、と腕立てをしながら答える。鯖目は奥方が人間ではないことは承知で愛し合ったらしく、今もその気持ちは変わらないらしい。すると奥方は彼女の燐粉由来であろう毒を渡し、百鬼丸に飲ませるように指示する。
 百鬼丸は妖怪の奥方が攻めて来るぞ、と村人たちに防備を固めさせ、村人は鯖目を捕まえてリンチにかけようとするが彼も犠牲者だ、妖怪に騙されただけだ、と百鬼丸はこれを止める。
 
 慈照尼を成仏させるための供養に来た、と言う尼さんの集団がやってきて、村人は慈照尼のためなら、と通してしまうがもちろん奥方と侍女たちである。
 百鬼丸は鯖目が村人をだましてお茶に入れた毒を飲んでしまい、身体が痺れて動けなくなる。毒消しを飲んでどろろに身体を運んでもらうがそこに尼に化けた女たちがやって来る。
 どろろは彼女たちに捕まって例の寺の焼け跡に連れ込まれて百鬼丸共々ピンチ、となるがその時焼け残った梁が崩れて来て女たちは奥方を残して下敷きに。見上げるとあの子供妖怪がいる。子供妖怪はどろろに話しかける。
「ボクにやさしくしてくれたから、助けてあげる」
 子供妖怪の背中が裂けて、蛹から蝶が出て来るように光り輝く子供たちの霊が何十人も飛び出し、奥方や侍女たちにとりついてしがみつき、動きを封じる。助けられたどろろは村人に知らせ、身動きできない女たちを底なし沼に追い立てる。もちろんこの子供たちは慈照尼が育てていた子供たち。ひとつの妖怪に姿を変えて、自分たちと慈照尼を殺した妖怪を倒すために力を貸してくれる人が来るのを待っていたのだという。

 どろろが百鬼丸のところに戻ると鯖目がまだ身体が動かない百鬼丸を斬ろうとしている。どろろは夢中でそばにあった饅頭のようなものをぶつけて鯖目を昏倒させる。その饅頭のようなものは、百鬼丸が見つけてきた奥方の生んだ卵だった。卵を見て奥方があまりにも異質な存在であったことにあらためて気付いた鯖目は心変わりした様子。

 沼に沈めた女たちはまだ生きている、と百鬼丸は船を出し、現われた妖怪と最後の戦い。どろろの持つたいまつの火に眩惑された妖怪は燃えながら消えてゆく。

 百鬼丸は右足を取り戻す。鯖目は剃髪して尼寺を再建し、子供たちの霊をなぐさめることにした、と百鬼丸に告げる。

 だが村人は事が終わると百鬼丸を追い払う。どろろはこの時、自分ではなく百鬼丸が嫌われたことに悲しみと怒りを感じて暴れるが、そこにやってきた百鬼丸にもういい、と声をかけられて村を去って行く。

 この妖怪の名はマイマイオンバ。最後に彼女たちの巣のようなものが見つかるが、UFOとも繭ともとれる印象。遠い世界から来たともいっており、妖怪ともエイリアンとも解釈できる。鯖目は彼女が人間でないことは承知の上で愛し合ったと言っており、マイマイオンバの方も鯖目に貴方がもっと強ければ、と恨み言は言うが彼の命を狙うような描写は一度もない。子供の栄養源として旅人を襲ってはいたが村人にも手はだしていない。
 彼女の方も鯖目に愛情を持っていたともとれるし、子孫を残すために利用していただけとも取れる。百鬼丸は鯖目の目を見て死んだ魚のような目だと言っているので精神を知らずにコントロールされているようにも取れる。昨今は人外との交流恋愛ものは定番だけどその先駆でもあるのかも。奥方も侍女も美女揃いである。

 どろろのオシッコシーンがある。男女どちらとも断言できない状況(子供妖怪にオシッコさせようとして、逆に後ろから抱えられてオシッコさせられるという)だけどどろろが女の子と知ると衝撃のシーンかもしれない。この様子からどろろは服の下はノーパンだと推察される。

 白黒アニメ版だと21話「マイマインオンバ」でこの話が出て来るが時間的制約のためか大幅に簡略化されていて、慈照尼や子供妖怪はカット。村人も侍女も登場せず、最初に襲撃するのもイモムシ妖怪ではなく奥方本人である。鯖目の奥方が一人で百鬼丸に敵意を燃やし、夫の鯖目に命じてわざわざ屋敷に誘い込んで殺そうとする。スルーすれば殺されずに済んだものを、と思ってしまう。こちらでは鯖目は奥方を本当の人間と思っている。
 新作どろろは見てないけど、今リメイクするなら鬼太郎みたいな妖怪と人間の共存可否みたいな話にするのかもしれない。

 というわけで2巻終わり。

 

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