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「琥珀枕(森福都著)」⑥双犀犬(そうさいけん)

2018/09/26 19:00 投稿

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  • 古代中国


・趙昭之の母親である高妙瑛(こうみょうえい)は政府高官の父と天子の血筋の母を持ち、本来生活の苦労などないはずの家柄だったが実母を幼少で亡くし、父が16歳の時にみまかると継母の子である弟が家督を継ぎ、使用人同然の扱いを受けるようになった。
 老従僕の李康大(りこうだい)が見かねて、健在だった母方の祖父に送り届けようとする。
住んでいた広陵という土地から祖父の住む洛陽を目指し、途中の桑陽県までもうすぐという時に、ある事が起きる。妙瑛は二頭の犬も連れていたのだが、導士が呼び止める。この犬に名前を授けたい、というのだ。妙瑛は素直に受け入れて、火松(かしょう)と水銀という名前をもらう。
 実はこの犬は屋敷の裏庭に埋められていたのだったが、導士は地中から掘り出した犬は犀犬(さいけん)と呼ばれ、幸福をもたらすのだという。犬は双子なので双犀犬ということになる。導士は懐永長(かいえいちょう)と名乗り、以下の言葉を残して去っていく。

着ろと言われたら脱いで、
泣けと言われたら笑え。
趙や、趙や、心せよ。
伯に嫁いで贅沢三昧。
季に嫁いでこの世の終わり。

 康大が怪我をしたため、妙瑛一行は親切な商人の舟で桑陽県の行くことになる。商人にどの宿がいいか訪ねると、本来一番オススメの宿で高利貸しが殺されるという事件が起き、今は別の宿がいいという。
 冷え込んできたので商人が杉(さん)というものを妙瑛に着せ掛ける。すると、「着ろと言われたら脱いで」という言葉が頭に浮かび、妙瑛は下着姿になる。すると商人は人さらいの正体をあらわす。二頭の犬が船頭に飛びかかり、妙瑛も必死の抵抗をして舟はひっくり返り、人さらいは泳げないらしく流れて行ってしまう。犬が康大を支えて泳ぎ、水練が達者な妙瑛は危機を脱する。

 だが岸に泳ぎ着いて気を失ったところを、役人につかまって牢屋に入れられてしまう。容疑は何と殺人。例の宿で起きた殺人事件の犯人だというのだ。
 何でも、この事件を予言した占い師がいて、その予言が妙瑛に当てはまるのだという。犬と康大がどうなったのかはわからない。予言は

旅先で寝首を掻かれぬよう気をつけな。
赤の中には黒があり、
白の中には赤がある。
陽気のいい日にゃ連れ立って、ひいじいさんの墓参り。

 というもので、妙瑛の肌着に黒と赤が使われているから、ということだった。肌着姿だったのは色仕掛けで殺された男に近付いたからだというわけだ。

 この地の趙県令は悪い人物ではないらしいが、牢役人はそうでもなく、拷問に負けて皆無実でも自白してしまうのだという。妙瑛は必死にこの予言の意味を考える。そして泣けば多少拷問を手加減してやる、という獄吏に笑って、私を県令にところに連れて行きなさい、(口からでまかせに)予言の意味を教えてあげます、と言い放つ。この時犬の鳴き声が聞こえ、犬の名前から本当に予言の意味を思いつく。

 妙瑛は趙県令の前で謎解きをする。これは犯人二人の姓が墨(赤の中の黒)、朱(白の中の赤)であり、二人が又従兄弟(曽祖父が共通の祖先になる)ことを示していると。
 高利貸に金を借りていた客の中に、該当する二人がいる。

 趙県令は妙瑛の才気や美貌に心奪われ、求婚するようになる。彼の名は定伯である。一方、県令の部下に県丞という役職があり、妙瑛が牢にいたときに世話をしていた。彼も姓は趙で、名は季穀(きかく)といった。

 母はどちらに嫁いだのでしょうか、と趙昭之と徐先生が話している。
 




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