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「琥珀枕(森福都著)」③唾壷(だこ)

2018/08/15 19:00 投稿

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  • 光文社文庫
  • 森福都


・17歳の莫士良(ばくしりょう)は、義母の折檻に耐える毎日。吃音癖がある彼は身体ばかり大きいものの動作は鈍く、朝から晩まで糞尿にまみれて家畜の世話をしている。
 義母の客氏は美人だが性格はきつく、何かと言うと持ち歩いている棍で士良を叩きのめす。
 父親の莫淑平(ばくしゅくへい)は成功した塩商人だが、商用でよその土地を飛び回り、月に二日くらいしか自宅にいない。客氏が生んだ弟、啓良(けいりょう)は11歳になるが、この弟が生まれてからずっとこんな生活が続いている。
 彼の心の支えは、開明池という小さな池。その畔の柿の木の実を食べさせてくれた、生みの母らしい女性の優しい声と、乳房の記憶である。
 スッポンの妖怪、徐先生は開明池で泳ぐ気にはなれないと、弟子の少年、昭之(しょうし)に言う。柿の木の根本に悲しい女の骨が埋まっているからだと。
 ある日、士良の前に女が現われる。金娘(きんじょう)と名乗るその娘は20にも30にも見える。柿の木の根本に埋まっている白骨が幽鬼となったものだという。彼女は士良の屋敷の内情に詳しく、彼女のいう場所を探すと、酒や銀が見つかる。
 彼女はあるものを探しており、士良に手伝ってほしいともちかける。礼はするからと。士良は礼よりも彼女に惹かれるものを感じて協力する。
 金娘の探し物は唾壷、つまり痰壷で、黄金でできており高価なものだという。それが屋敷の壁のどこかに埋め込まれているはずだというのだが、彼女も正確な場所はわからない。だから毎晩壁を叩いて、音で探すことになる。莫淑平が商売に成功したのは、その唾壷のおかげらしいのだが。

なるほどね、というオチ。士良の将来は少し明るいかな。

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