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「鉄道員(ぽっぽや)浅田次郎著」

2018/05/03 19:00 投稿

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・超有名な表題作を含んだ短編集。


・鉄道員(ぽっぽや)
  直木賞受賞作であり、高倉健さん主演の映画になったこともあり、知名度の高い作品。

 でも原作は短編で、大作劇場映画の原作としてはずいぶん短く感じる。北海道の幌舞(ほろまい)線の終点に美寄(びよろ)という駅がある。この線は単線で、キハ12という気動車が一日に3本走るという。路線名も駅名も架空らしく、映画では根室本線の幾寅駅というところがロケに使われたらしい。
 この話の中で幌舞線は廃線となり、映画では健さんが演じた美寄駅長は時を同じくして定年を迎える。45年間を鉄道員として生きてきた彼は、数年前に世を去った妻も、もっと昔、生後2ヶ月で死んでしまった娘も臨終に立ち会うことなく、勤務時間中は駅を離れることはなかった。廃線まであと3ヶ月と迫ったある日、このあたりでは見かけない幼い女の子がしばらく駅で遊んでいるが、いつの間にかセルロイドの人形を残していなくなってしまう。
 翌日、その子よりも大きい、聞けば12歳だという少女が、妹の忘れ物を取りにやってくる。だがこの子もいつの間にかいなくなってしまう。人形もそのままだ。
 そしてさらに翌日、一番上の姉だという女子高生がやって来る。駅長は彼女たちと遊んでやったり、話をしたりするのだが、やがて気付く。人形は娘のお棺に入れたもの。死んだ娘が、少しずつ成長した姿を見せに来たのだった。

 駅は架空だが、キハ12という気動車というのは実在のものらしい。でも撮影時には現存のものがなく、別の気動車を改造したりして使ったらしい。小説内では、これが日本で最後の一両だ、みたいなことを言っている。

 映画は見てないのだけど、予告を見ると小説では直接登場しない妻なども出て来るようで、娘の出番ももっと多いのだろう。

 読みようによっては怪談かもしれない。

 ロケに使われた駅も、路線そのものも台風の被害などの影響もあって廃線となり、今はかろうじて観光施設として残ってはいるみたい。
http://www.railwaystation.jp/ekisya/ikutora-horomai.html

そういえばMMD動画もあった。




・ラブ・レター
 バーテンからポルノショップやゲーム屋の店長になり、今は裏ビデオ屋の店長をしている男は、カタギでも組員でもない、中途半端な位置で生きている。店長はパクられるのが仕事のようなもので、今回もそういう目にあったがほどなく釈放された。だが刑事から、お前の女房が死んだぞ、と教えられる。それは組の人材派遣業のために偽装結婚した中国から来た女だった。戸籍上は夫婦なので夫として遺体を引き取り、葬儀もろもろしてやらねばならない。だが一度も会ったことのない彼女は、男に手紙を残していた。

 これは韓国版もあるらしい。


・悪魔
 ある人物の少年時代の述懐。裕福な家の子供だが、父親はめったに家に寄り付かず、来ても客と一緒で騒ぎ立て、またすぐ出て行くような人物。子供など眼中に無い。母親はずっと家にいるが、交渉事には疎く世間を知らない感じ。そんな家に東大生の家庭教師がやって来る。少年は遊ぶ時間もテレビを見る時間も無くなり、友人と共通の話題も持てなくなる。さらに家庭教師が時々母親の身体を折り曲げ、あえぎ声を出させていじめているらしいことにも気付く。祖父も家庭教師のせいで病気になり、家からいなくなってしまう。あいつは悪魔だ、と少年は決意する。

・角筈にて
 東大を出て商社に勤め、出世コースを歩んでいたがプロジェクトの失敗によりリオデジャネイロの支店長として左遷されることになった主人公。慕う部下にも、もう俺のことを社内で話題にするんじゃないぞ、お前らの今後に響くならな、と一人で帰ろうとする。そして歌舞伎町、昔の角筈である人物を見かける。子供の頃に失踪した父を。すぐに追ったがどこかに行ってしまう。主人公は母を早く亡くしたこと、父親が自分を捨てた時のこと、その後母方の伯父と伯母の家で生活することになり、その家で一緒に育ったまたいとこが今の妻になったこと、妻を子供の生めない身体にしてしまったこと、などなどこれまでの人生を思い返す。
この作品も映像化されている模様。
http://www.bs-j.co.jp/official/tunohazu/


・伽羅
 ファッション業界に生きる主人公。ブティックと呼ばれる個人経営の洋品店に自社の製品を卸すのが仕事。中でも資産家の夫人か二号が経営する、金に飽かせた素人商売の店はカモだ。業界の慣例である値引きもせず、どんどん品物を卸して返品はさせない。手元の現金が無くなれば手形を切らせ、さらに金貸しを紹介する。パンクしたら品物を押さえる。ついでに女主人の身体もいただく。だが伽羅(きゃら)という素人同然の女店主の店には、何故かそのような気が起きなかった。いつものように彼女を嵌めようとしたライバルは、不可解な事故死をする。生霊、という言葉が頭をよぎる。

・うらぼんえ
 両親との縁が薄く、祖父母に育てられた女性。祖父母の死とともに住む家を失う。吊り合わないエリートの医師と知り合い。彼の祖父に気に入られて結婚するが、ほどなく夫は浮気。しかも愛人は身篭り、子を産むという。そんな時に世話になった祖父の新盆が来て、来年いっしょにいるかわからない夫の故郷へ向う。旧家の夫の実家は身分違いでしきたりも知らぬ彼女に冷たい。彼女に子供ができなかったから夫が浮気したのだ、という論理で安く別れさせようとしてくる。こちらは一人。夫は逃げてしまい、夫の父親や兄を相手に多勢に無勢。だが、死んだはずの祖父が加勢にやってきてくれる。

・ろくでなしのサンタ
 ポン引きとしての生活が長い主人公。警察に捕まるのもよくあること。名前が三太だからか、クリスマス・イブに釈放される。ビル掃除をしている母親が引き取りに来る。
 留置場の雑居房で一緒だった男が妙に気になる。なれっこの自分と違い、真面目なメッキ職人だった口下手な彼は、40近くなって職場ぐるみの不正の共犯者にされ、おそらく一番罪が軽いのに、口裏を合わせた他の共犯者によって最も重い罪を科されるだろう。彼は柄にもなく、サンタになることにした。聞きだした口下手な彼の団地へ、彼の妻と子供に、ぬいぐるみと饅頭を持って歩いてゆく。

・オリヲン座からの招待状
 故郷の京都から招待状が来た。招待主はオリヲン座。主人公も妻も子供の頃常連として通った名画座だ。そこは夫婦で経営していた。そこが店主の高齢化で閉館するという。最後の上映に招待されたのだ。だが20年連れ添った妻とは今別居中。夫には女がおり、妻には男がいる。子供は妻のもとにいる。夫は社内の評価に響くため、離婚はできない。妥協の結果、月に一度は会って、仲のいい夫婦を演じている。
 その映画館主の夫婦は、もともと若い映写技師だった夫が、先代館主の死後館主の奥さんと一緒になったため、いろいろ陰口をされていた人だった。たった二人だった客を迎えて、映画館主は最終上映の口上をはじめる。


 なんだか映像化率が高い短編集。ある年代には心惹かれる内容なのだろう。

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