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「ウブドの花嫁(本岡類著)」メモ

2016/08/03 19:00 投稿

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・インドネシア・バリ島を舞台にした連作ミステリ集。4つの短編が入っており、バロンという善の象徴である聖獣をかたどった銀細工のペンダントが、4つの作品をつないでいる。つまり各作品のヒロインからヒロインへ、このペンダントが渡されていく。
 このペンダントにはマジック・パワーがあり、持ち主の女性の願いをただ一つだけかなえてくれる。ただし、その願いが叶ったら、すぐに次の人に渡さないと良くない事が起きると言う。
 バロンはヒンズー教の神というか、森の精霊のような存在で、悪の化身であるランダという魔女と戦い続けているらしい。どちらかを倒す戦いではなく、善悪が戦い続けるのが世界のありようである、という思想らしい。仮面ライダー響鬼も路線変更前の前半はそんな感じだったな。悪を滅ぼせ!ではなく、年中行事として毎年沸いて出る夏の害虫みたいな敵を一所懸命倒して、今年は乗り切った、また来年な~、みたいな。ライダー側も輪番制でシフト表があったり、怪我や入院ばっかりでほとんど登場しないライダーがいたりでユニークな設定だった。

 で、ウブドの花嫁に戻ると、第1話ではバリ島にハネムーンにやってきた新妻が、島で発生した殺人事件の犯人が夫ではないかと疑いを持つ話。企業の研究所に勤める、真面目なだけがとりえみたいなサエナイ男と、見合い結婚した妻。夫は誠実で時折り思いがけない優しさを見せ、そこが気に入って結婚したのだが、34歳まで彼女もいなかったらしい夫はもしかしたらロリコンなのではないか、と疑いを持つ。バリ島に来てから、夫は民族舞踊を踊る10歳前後の少女達を、食い入るように見つめたり、彼女の目を盗んでで少女に話しかけたりしている。そういえば夜もヘタクソだった。
 やがて、宿泊しているホテルに出入りしていた11歳の少女が全裸死体で見つかる・・・彼女は夫が自分も殺そうとしているのでは思いはじめる。さらに彼女は夫とはぐれた直後に何者かに崖から突き落とされそうになり、もしやと思って探った夫の荷物からは人形が出てくる。何これ?お人形遊びでもしているの?
 そんな時ちょっとした親切をしたホテルのメイドさんが、お礼にとバロンのペンダントを渡してくれる。彼女はバロンに願う。助けてください、そしてついでのように 夫が犯人ではありませんように・・・

 第2話では独身のOLにペンダントが渡る。派遣社員の彼女はワープロオペレーターとしてあちこちの会社を転々としており、契約と契約の間のフリーな時間には海外旅行を楽しんでいる。旅先のバリ島で忘れ物があるのを教えてあげた新婚さんからペンダントを譲り受ける。
 彼女には婚約者がいるが、彼には二股かけているのでは、という噂がある。
 不安な彼女は 幸せな結婚ができますように・・・とペンダントに願う。
 そして帰国した彼女は成田空港のタクシー乗り場で、婚約者と女性が一緒のタクシーに乗る所を目撃してしまう。問い詰めるとアッサリ婚約者は以前付き合っていた女と別れるために最後のお願いだから、と言われてハワイに行った、と白状するが、相手が誰かは言わない。
 だがハワイで会社の重役が殺されるという事件があり、婚約者が容疑者に。彼女は刑事から、彼のハワイ旅行の相手は会社一の美人と言われる受付嬢と知る。はたしてこの婚約者でいいのか・・・
 第3話では2話の主人公の相談にいろいろ乗っていた友人がペンダントを譲り受ける。
 同じく派遣社員の彼女は、今二人の男性と付き合っている。二股というわけではなく、気になっている男性が二人いて、どちらとも決めかねている状態。一人は若い刑事、もう一人は裕福な中年エリートサラリーマン。財テクにも長け、株や不動産でも儲けている。
 そんな時刑事の方から電話がある。用件は、彼女の担当である人材派遣会社のマネージャーが殺されたというもの。彼女を姉のように慕っていた主人公は、犯人が捕まりますように・・・と願う。そして刑事でない方の彼氏は、殺された女性と仕事上のトラブルをかかえていた。
 すべてが解決し、殺された女性の葬儀に出席した主人公は、共通の知人の女性に出会う。近く現地の人と結婚してバリ島で暮らす、という彼女に、主人公はペンダントを渡す。

 第4話では再びバリ島が舞台となり、ペンダントを譲り受けた女性が父親と、自分とほぼ同年輩の女性と3人でバリ島に向かうところから。彼女にとってはこれが日本とのお別れとなる。だが同行した父親は娘が日本人でさえ無い男の元に嫁ぐのが気に入らない。彼女の実家は老舗の和菓子屋で、後継者がいなくなるということなのだ。そこで両親を亡くして親戚をたらい回しにされていた姪を養女として彼女に婿を迎える、ということで話が落ち着き、3人で婿の経営するゲストハウスを訪ねるところ。
 父親は戦時中フィリピンで苦労したらしく、その分までインドネシアに八つ当たりして、一度も会ったことの無い彼女の婿を未開人め!と偏見たっぷりに罵る。
 彼女は父にバリ島の良さを知ってほしいと思い、父とこれからは父の娘となる従姉を連れてきたのだ。彼女はペンダントに願う。どうか、父がバリ島と、バリ人の婚約者を好きになってくれますように・・・
 料理や観光は気にいったらしく、少し機嫌がよくなっていた父だったが、サイフを盗まれた!この島の人間はうそつきで泥棒ばかりだ!と怒り出す。従姉も指輪が見当たらないという。そしてあろうことか、主人公のバロンのペンダントまで消えてしまう。
 これから義理の妹となる、婚約者の妹がペンダントを欲しがっていたのだが・・・

 物語の終わりに、主人公は未来の妹からペンダントのいわれを聞く。彼女のために調べてくれたのだ。これは作者が調べたインドネシアの民話らしい。銀細工職人の夫が美人では無い妻のためにペンダントを作り、自分の寿命10年と引き換えに、魔術師に妻の願いをかなえる力を授けてもらう。だが気立てのよかった妻はペンダントの力で美しくなると、性格まで変わってしまい美男子と浮気するようになる。それだけでなく夫を邪魔者として殺そうとする。夫は再び魔女のもとへ行き、もう10年分の寿命と引き換えにペンダントの力を封じてもらう。しかしそれでも妻は夫を殺そうとし、ペンダントの力が逆流したのか自分が死んでしまう。その時、夫の寿命も20年分削られたために尽き、息が絶えたという。
 なんだか救いの無いように感じるが・・・ 
 未来の妹にペンダントが譲られ、この話は終わる。

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