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「迎撃 メッサーシュミットを叩け!(エルストン・トレバー著)」メモ

2016/06/24 19:00 投稿

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 実家の本棚にあって忘れられていた本。

 舞台はイギリス、時代は1940年夏。「ダンケルクの戦い」でヨーロッパ大陸から追い出され、壊滅的な被害を受け、多くの犠牲を払ったイギリスが、ナチスドイツが開始した「鷲」作戦によりドーヴァー海峡を越えてのイギリス本土爆撃を受け、さらに7月にはイギリス本土上陸作戦「シーライオン」が発動しようとしていた時期。
 ドイツ軍航空機は戦闘機、爆撃機それぞれ約2000機に対して、迎え撃つ英国戦闘機は700機足らず。しかもドイツの主力戦闘機メッサーシュミットに対し、イギリスの主力戦闘機ハリケーンとディファイアントは性能的に太刀打ちできない。
 ユンカースやハインケル、ドルニエといった爆撃機を護衛してくるメッサーシュミットを倒さなければ、イギリスはナチスに蹂躙されてしまう。
 イギリスは本土防衛作戦「バトル・オブ・ブリテン」を発動。最新鋭機、スピットファイアを投入する。このスピットファイアだけが、メッサーシュミットと互角に戦える機体だったという。

 だが数で圧倒的に少ないスピットファイアのパイロットたちは、午前中に出撃して被弾、パラシュートで脱出したかと思うと午後にはまた別の機体で出撃、という休む暇も無い出撃を強いられる。一方整備員たちも、満身創痍で帰還する飛行機を、パイロットが次に出動するまでに飛べる状態まで戻さなければならない。

 この小説は架空らしいウエストヒル空軍基地(サセックス州にあるらしい)を舞台に、そこに拠点を置くベスタル中隊のパイロットたちと、整備員たちを交互に描写する形で展開する。
 中隊には12名のパイロットが所属するが、ある者は戦死し、ある者は精神に異常をきたしてフェードアウト。顔ぶれは変化していく。サウサンプトン市が敵の空襲で壊滅し、そこにいるはずの妻と連絡が取れないまま出撃する者も。彼は戦闘中にもう妻はこの世にいない、という気持ちにとらわれて生きる意欲を失ってしまう。
 物語冒頭で新人として配属されてくる19歳のパイロットは、出撃を重ねるうちに成長していく。

 一方整備員たちには彼らの世界がある。中には婦人兵と仲良くなり、よろしくやる者も。
 読んで日本と違うな、と思うのは婦人兵の多さ。基地の中に大勢の婦人兵が働いていて、
知らない男女が知り合うようなパーティーも時折り開かれている。
 成長していく新人パイロットに、弟の面影を重ねて無事を祈る婦人兵もいる。

 空軍殊勲十字勲章を貰っている中隊の隊長は、給食車で働く女性と知り合う。英雄扱いされる彼も、内面では鬱屈や悩みを抱えている。

 そんな人間関係の中で、来る日も来る日も出撃して、損害が出て、それを修理してまた出撃して、時々メンバーが入れ替わって、また出撃して、損害が出て、それを修理して出撃して・・・と同じことを繰り返す毎日。スカイクロラのよう。
 だが制空権は次第にドイツに奪われ、基地も爆撃されるようになっていく。
 部隊は北部に移動することになり、好き合った男女も転属で別れていく。
 敵の爆撃部隊の大群が押し寄せ、今は7機しか残っていないベスタル中隊は、隊長以下これを迎撃に飛び立っていく。彼らが出撃できるよう、敵の攻撃ぎりぎりまで修理をしていた
整備兵たちは、塹壕の中で猛爆撃を受けながら、彼らを見送る。というところでラスト。ちょっとガメラ3のラストみたいだ。

 史実ではこのあとドイツは1500機近い損害を出して英国攻撃に失敗するそうだが、この小説ではそこまでは描かれない。小説に描かれたよりも本土防衛にあたるパイロットたちはたいへんだったのかもしれない。

 空中戦のシーンもたくさんあるんだけど、戦闘の続く毎日を淡々と描いているところ、戦闘シーンではない日常(というか、戦闘と戦闘の合間のシーン)のどこか乾いた感じのところが興味深かった。

 作者はいくつものペンネームを使い分けて秘密工作員が主人公の話なんかも書いていたらしい。第二次大戦中は英国空軍所属とのことで、所属は明らかでないそうだが、作者の実体験がおり込まれているのかもしれない。

 「ダンケルクの戦い」とか「バトル・オブ・ブリテン」とか言われても、私はあまり知らないな。むこうの人が「東京大空襲」や「ミッドウェイ海戦」を知らないのに文句は言いづらい。日本人で一番よく知っているのはミリタリーマニアや模型マニアだろう。
 今ダンケルクの戦いの映画が製作中らしい。監督はインターステラーの人だな。
http://eiga.com/news/20160106/10/

 どんな飛行機かもよく知らないのでそれらしきものを。塗装とか型式とか、たぶん小説にでてくるのとは違うんだろうけど。



イギリスはEU離脱を決めたけど、これは躍進への道なのか、衰退への道なのか。私はわからないけど、ふだん「民意に逆らうことは悪だ!」みたいに主張している人や新聞や政治家は、いい結果が出ないと困るんだろうな。
 

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