MASAの部屋

モンスター~仮面の告白~

2014/09/13 17:25 投稿

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今回は購入以来時間が掛りましたが、ようやく読了した本を紹介したいと思います。

ポール・スタンレー / モンスター~仮面の告白~


購入場所:新宿

購入金額:3024円

KISSのヴォーカル兼リズムギターでありジーン・シモンズと並ぶもう1人の創設メンバー、
ポール・スタンレーの自伝です。
KISSのオリジナルメンバー4人はジーン、エース、ピーターの順番で自伝を出版しており、
ポールが最後となりました。
現在日本語訳が出ているのはポールとジーンの自伝のみでエースとピーターの自伝は出ていません。(ピーターは兎も角、エースは出せば売れるのではないかと思うのですが出ていません)

以下、本のネタバレ内容を含みますので自伝を未読の方は閲覧に注意ください。









え~、実に正直な自伝と言えます。ジーンの自伝も読んだことがある私ですが、
基本的にジーンの自伝はいかに俺様が素晴らしいかいかに沢山の女性と寝たか
そして(ポールとエリック・カーを除く)他のメンバー達がいかにバカかという事を
延々たらたら書いています。(それでも女性の悪口だけは書いていないのは立派w)
それに対してポールの自伝の第1章は幼少期、小耳症である事から周囲に苛めを受け、
両親の不和、ドラッグ中毒者の姉という恵まれない家庭という八方ふさがりの状態から
救いを音楽へと求め、そこで「片耳モンスターのスタンレー」と呼ばれる彼がやがて
ジーン・シモンズと出会い「スターチャイルド」へとなっていく過程が赤裸々に
綴られています。

そして私にとって意外だったのが第2章が「Destroyer」の大ブレイクでKISSが社会現象になる所までを書くのかなと思っていたのですが「ALIVE!」で締めくくられていた事でした。
ポールにとっては色々あったとはいえ「ALIVE!」までがオリジナルメンバー4人とって
「最良の時」だったと言う事だと思います。

それから徐々に起きてくる人間関係の崩壊と80年代を経て96年の再結成でハッピー・エンド…
となると思いきやエース・ピーターの問題や私生活における離婚が襲い掛かり、ポールが
心身ともにボロボロになっていく様子が手に取る様に分かりかなり辛かったです。

しかし、そんな彼が99年の「オペラ座の怪人」の出演を受けて内面への変化が生じ、
同時に現夫人との出会い、トミー&エリックの加入によるバンドの復活を経て
現在幸福に満ちた生活を送っているのはファンとしてとてもホッとしました。

そして、何より衝撃的だったのが、ポールの他のメンバーや関係者に対する辛辣すぎるまでの厳しい評価です。もとより不仲である事を公言し、初めて見た時「凄い言い様だな」と思っていたジーンが可愛く見える程エースやピーターに対する発言は強烈です。

曰く「(エースは)自分のソロパートも曲も全く覚えていなかった。」

「無能であてにならなくてほんの僅かな実力しかないただの負け犬」


「彼(エース)を他の人(トミー)と入れ替える事は実に簡単だった」

「(再結成後の)ピーターは(トミー・セイヤ―によってに芸を仕込む様に)自分の芸を覚え「ストラッター」をプレイしたのさ」

「(トミーとエリックがスペースマンとキャットマンのメイクをしている事を詐欺師だという意見に対して)詐欺師だったのは
再結成の時のピーターとエースだ。(中略)
彼らは最後には自分の楽器も演奏出来なくなっていたのだから
(中略)彼らはKISSを金ヅルとしか見ていなかった」

と遠慮会釈なく言っています。
そして、ポールの「口撃」はなんとパートナーのジーンに対しても容赦なく続きます。

「(ジーンは)上辺だけが総てだったんだ」

「(Creatures of the Nightレコーディング時にハリウッドのプロデューサーの子供を参加させる見返りに映画の役をもらった事を)彼は
自分自身の利益の為に俺達を売った」

等々、彼が80年代にプロデューサー業に没頭したり映画俳優を夢見てKISSのレコーディングを放棄した頃をポールは舌鋒鋭く非難しています。
それでもポール曰く

「色々厄介事はあるけどこの10年(トミーとエリックがバンドの固定メンバーとなった2004年から)ほど俺とジーンがうまく
いっている時期はないよ」

と最後の方で述べており、ポール自身の家庭生活の変化も相まって今では良好な関係
(ポールに言わせるとジーンを憎悪では無く受容で受け入れる)だそうです。

因みに自伝をつぶさに読んでみるとエースに対しては例の遅刻癖とドラッグ・アルコール中毒には厳しく批判するものの彼の記述には幾分期待や信頼を裏切った事に対する失望が混じったのが多いのに対してピーターに関する記述は完全に「人の言葉が通じない動物」か何かの様な扱いです。

面白いのはジーンの自伝では逆にピーターについては「ギャラあげろ」と散々愚痴る事や
最初の脱退前の奇行以外についてはさほどページが割かれていません。(2003年の3度目の
復帰以前に刊行されたと言う事情もありますが)
一方エースに関してはジーンが「ドラッグ・アルコール絶対反対」「反ナチ」とあって
エースの事についてかなりページを割いてボロッカスに貶していました。
同じオリジナルメンバーでも人によって貶す人まで正反対なのがポール曰く
                
                 「KISS成功の鍵」

だそうです。

邦題の「仮面の告白」というタイトルも単に三島由紀夫の同名小説をパクった訳では無く
ポールにとってあのメイクキャップ=仮面こそがかつて耳に傷害を患い内向きな少年を
ロック・スターへ変え、嬉しい時も悲しい時も乗り越えてきた分身であり、
同時に少年時代から決して満たされる事の無かった「家庭」の幸せと大切さを得て
考え方が変化した今人が生きる上で大切な事は何かと言う事を伝えたい=告白という
意味が込められている事が分かりました。
個人的にはトミーやエリックについてもう少し書いて欲しいな~と思ったりしますが
邦訳本でも500ページにも及ぶだけにこれ以上書いたら本の伝えたい焦点がボケてしまう
ので仕方がないのかなと思っています。

この本は単なるロック・スターの自伝としてだけでなく、(女性関係の話を除けば)
普通に学生の方にも勧める事ができる素晴らしい本だと思います。

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