2/7(水)11:00よりニコニコ生放送およびFRESH!の「麻雀スリアロチャンネル」にて放送された、The All Star League 2018 第3節の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
【1回戦:新Aリーガー下石の他家をピタリと止めるどっきり仕掛け】
好調「カテナチオ」の渋川が、今回もマンガンツモで先制すると、危なげなく逃げ切りトップを決めた。この男に先制させてしまうと本当に厄介である。
渋川トップの陰で、プロ協会の新Aリーガー下石のすごい仕掛けが炸裂した。
下石は、ここで8pをポンして打8m。
9mを切っているこの8mは、必ず手牌に関係している。
では、どんな形が想像できるだろう。
最も想像しやすいのは、668mからの8m切りだろうか。
しかし、この6mツモ切りでその線が消滅する。
と同時に、6mが3枚見えたため、6mを使った5678mも薄くなった。
そして、そもそも468mからの打8mは、ドラ受けをなくす打8mであるため、考えにくい。
とすると、9mがフリテンながら778mか7778mで残していた形をイメージせざるを得ず、他家は高打点である下石の仕掛けに対応するしかない。
下石は、相手が抱いたこのイメージを武器に、どっきりを仕掛けにいく。
すでに1枚切っている3sを手出しした後、アンパイ候補の東・西を残し、打3mとした。
これはうまい。
この手牌では、もうどうせテンパイできない。
それなら、自身の失点が少なくなるように、高打点のイメージを武器に、相手をオろしてしまおうというのである。
他家から、下石の手牌はこう見えている。
・7mがトイツ以上
・2枚目の3s手出しから、ソウズの中頃で1メンツかターツ
・この3m手出しから、マンズの下で1メンツかターツ
がほぼ確定であるため、マンガン程度のテンパイ濃厚だ。
こう見えてしまうと、形が整っていた朝倉も江崎もイーシャンテンからでは押し返せず、オリを選択。
すると、全員がオリたことを確認した下石が、最終手番で3枚切れの東を切ってようやくネタばらし。
結果、アガれなさそうな手牌で全員ノーテンに持ち込み、失点をゼロで抑えた。
どっきり大成功である。
オーラス
朝倉がこの500・1000をツモって2着を確定させた陰で、下石が700点差の3着で凌ぎ切る。
私には、あの全員ノーテンが導いたラス回避に見えた。
【2回戦:吉田対決を基成が制す】
今回のオールスターリーグに出場する2名の吉田。光太と基成が激突。
思い切りよく5巡目に地獄単騎のリーチに踏み切った基成がこのハネマンツモで制し、チームトータルもプラスを3桁に乗せた。
【3回戦:冨本の巧みな5p残し】
テンパイ料でじりじり加点してきた冨本が、大平のオヤリーチに対して3面張の2000点で押し切り、持ち点を3万点に乗せて南場を迎える。
ダブ南をポンしてイーシャンテンになった冨本は、ホンイツの色であるドラ1sを先切りし、全く関係のない5pを残した。
そして、東を引いて打5pテンパイ。
これは、ホンイツには全く見えない。
非常に巧みな5p残しといえるだろう。
冨本「ホンイツに見えにくくなる効果も期待したが、3pポンした上家の大平にポンされる可能性も考慮して5pを引っ張った」
なるほど。守備的にも優れた5p残しだったわけである。
結果、ピンズ一色手の大平が不要な7sを打ち、冨本の12000が炸裂。
冨本の巧みな技が光った。
【4回戦:小川、緑一色で渾身のフリテン受け】
女流3人が相手という卓組となった小川。
その女流3名からの3軒リーチ「ハーレムリーチ」を受けて、悶絶の表情。
しかし、なぜかちょっとうれしそうだ。
ここを制したのは安達。
一発ツモで、ここまで続いた守備的な水面下の戦いから一歩抜け出す。
安達を追いかける小川、南場のオヤ番での配牌がこちら。
ソウズのホンイツがメインだが、いったんオタ風の西を切ってホンイツ臭を消す。
少しざわざわし始めたのは3巡目。
おっ?・・これは。
お気づきだろうか?
中国4千年の大地が育んだエコの象徴のような緑多き役満、「緑一色」のターツが足りているのである。
小川はここから發、6sとポンしてイーシャンテンまでこぎつけた。
小川「1sも5sも鳴かないつもりだった」
確かに、發ホンイツの5800を捨てるほど、この緑一色には高すぎるリターンがある。
そして、ついに・・・
手牌が緑に染まり切った。
3s待ちの48000テンパイである。
しかし、ヤマに1枚残っていた3sは脇に流れ、すぐに空テンになってしまう。
そこで訪れた手替わりのチャンス。
5sをツモ切っているため、打8sの2s5sはフリテン。
見た目枚数では打2sの3s4s待ちが良さそうなのだが、そちらを選んでしまうとヤマには1枚も残っていない。
とはいえ、やはり2sを切らざるを得ないだろう。
と思われたのだが、長考した小川の結論は打8s!!
なんと、ヤマに唯一残っている2s待ちに受けたのである。
小川は言う。
「2sの方がヤマにいそうだと思った」
これはかっこよすぎる。
確かに3者がオリているため、純粋にヤマに残っているかどうかで選択できる。
とはいえ、見た目枚数で多い方を嫌って、フリテンに受けられるものだろうか。
ここに、守備型雀士・小川の「読みにかける意地」を見た。
正解を選んだ小川が最終手番で力を込めてツモる。
しかし、無情にも2sではなく、緑一色テンパイは流局1人テンパイでの1000オールとなった。
チャンスの後にはピンチあり。
オーラス、足木が白を仕掛けてホンイツテンパイ。
これに対し、トップを狙い、タンヤオチートイツのイーシャンテンとなっていた小川が力を込めてツモる。
その牌は・・・
なんと足木のアタリ牌4p!
この瞬間、控室の敵チームが大盛り上がり。
よく見ると、同じチームの浅見も大笑いしてしまっている。
イジられキャラ小川の真骨頂だ。
小川はこの4pをツモ切り、ラスまで落ちてしまった。
しかし、タダでは転ばない小川。
右見て
左見て
場を一瞥すると、頭を抱えた。
これは、頭を抱えると同卓者に慰めてもらえるという、ハーレム卓ならではの高等技術!(※お店でやると鬱陶しいのでやめましょうw)
場況読みに長けた小川ならではの高等技術に、「オールスターリーグに小川あり」を印象付けた。
第3節の放送卓でトップを取った2チームが、トータルでワンツーとなっている。
第4節は、2/14(水)11:00よりニコニコ生放送およびFRESH!の「麻雀スリアロチャンネル」にて放送予定!
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