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マクガイヤーチャンネル 第34号 【僕にも『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の脚本は書ける!】

2015/09/28 07:00 投稿

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  • 進撃の巨人
  • 樋口真嗣

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マクガイヤーチャンネル 第34号 2015/9/28
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どうも、ニコ生ゼミの準備で大忙しのマクガイヤーです。

ナオトさんとみゆきちをお呼びしてお送りした「最近のマクガイヤー9月号」は如何でしたでしょうか。

会員限定放送はコチラ : http://www.nicovideo.jp/watch/1442924988


『アントマン』から妄想する『シビルウォー』話や、町山さんは悪くないよ話で大盛り上がりでした。いつも以上に評判がよく、なによりです。

「しまさんとみゆきちでは触り方が違う」などと言われましたが、セクハラかどうかは関係性が重要な要素ですよね。



次回の放送は9/29(火) 20時からになります。

テーマは「Projectitohと伊藤計劃」です。



皆様は夭折したSF作家にしてはてなダイアラーid:Projectitohこと伊藤計劃をご存知でしょうか?

10月より伊藤計劃原作のアニメ映画『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』が三作連続公開されます。

ニコ生では、伊藤計劃の著作や活動について紹介したり解説したりする予定です。

非モテの星から来た男が愛と勇気を教えてくれる……予習にどうぞ!




さて、実写版『進撃の巨人』の後編こと、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』が9/19に公開されました。

皆様、ご覧になりましたでしょうか。

「最近のマクガイヤー9月号」でも話題にしましたが、世間の悪評にも関わらず前編は21世紀の特撮としての見せ場あり、童貞物語としての盛り上がりありと、それなりに面白かった、しかし後編はちょっと……というのが自分とナオトさんの共通した評価でした。


ちなみに前編についての自分の評価は↓のような感じです。

ブログ : http://d.hatena.ne.jp/macgyer/20150805/1438754063


対して後編なのですが、自分はナオトさんのように「褒めるところが全く無い」とまでは思わないわけですよ。

壁の前で睨み合う知性ある巨人VS巨人の画ヅラは、(おそらく作り手の念願だったであろう)21世紀に蘇った『サンダ対ガイラ』もしくはウルトラマンVSウルトラマンとしての魅力たっぷりですし、クライマックスに用意された超大型巨人とのバトルもそれなりに見ごたえのあるものでした。

更に、前編で提示された伏線や謎も、しっかり回収され、答えがでました。シキシマが○○を起こそうとし、それに主人公たちが対抗しようとする展開も、主人公たちが革命をおこす原作を鑑みれば納得できるものです。


しかし、それだけです。前編の魅力だった、井口昇やデモ田中や笹野鈴々音といった特殊人間たちが演じる巨人たちが人間を食らい尽くす一大地獄絵図や、童貞主人公が恥ずかしくも「壁」を乗り越えて成長する甘酢っぱさと残酷さが同居したような胸打つシーンもありません。


そのくせ、前編の欠点だった、自分の心情を誰でも分かるようきっちり言葉にした怒鳴りあいや、悪役や憎まれ役やコメディリリーフが異様に薄っぺらかったりする点は、引き継いでいるのです。「巨人は大きな音に反応する」という設定にも関わらず、主人公がどんなに叫び声をあげても集まってこなかったりするご都合主義は、より強化されてます。

結果、後編はよくあるつまらないシネコン邦画と変わらないものになってしまいました。


更に、自分がイラつく点が二つあります。

一つは、以前の樋口真嗣監督作品にもみられた、安易なお涙頂戴シーンです。

あの、サンナギがその場の思いつきみたいな自己犠牲で塔を倒して死ぬシーンはなんなのでしょうか。『ローレライ』で、その場の思いつきみたいな自己犠牲で死ぬギバちゃんや、野球のボールを落として死ぬ佐藤隆太、『日本沈没』で安易に途中退場する及川光博と全く同じ死に方です。樋口真嗣の頭の中には「ここでコイツが死ねばお涙ポイントゲット!」みたいな回路があるのでしょうか。

もう一つは、映画の持つ反権力性みたいなものを、いまひとつ信じてなさそうにみえる点です。

『ローレライ』も『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』も、ある意味テロを起こして世の中を変えようとする年長者が敵役として用意されてました。原作小説である『終戦のローレライ』では、首謀者がそう思うに至った経緯を丁寧に描いてますし、漫画原作である『進撃の巨人』では、主人公がシキシマの基となったリヴァイと共に、実際に世の中を変えようと革命を起こします。

しかし、映画『ローレライ』も『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』も、テロを起こして世の中を変えようとする人物や組織が、もの凄く幼稚っぽくみえるのです。これは、福井晴敏や諫山創はテロや革命で世の中を変えられると頭のどこかで信じているけれども、樋口真嗣は信じていないというか、エンタメ映画を作るための一つの言い訳くらいにしか考えていないところにあるからではないでしょうか。

もっといえば、犬童一心が共同監督だった『のぼうの城』では、説明台詞の多さは横においても、このような欠点はありませんでした。



なんでも、『WOWOWぷらすと』で町山智浩が語ったところによれば、本作はもともと1本の映画として企画され、1本の映画として脚本も書かれていたものが、理想の画作りをする予算確保のため、撮影直前で前後編2本に分けられたのだそうです。

そう聞くと、なんだか辻褄が合うような気がします。前編からまんべんなく30分、後編の頭から同じく30分カットして、2時間弱の映画として公開したら、「原作とは違うけど結構面白いじゃん!」みたいな映画になったのではないでしょうか。

しかし、前編はともかく、起承転結の転からいきなり始まってしまう後編の冒頭はもの凄く眠くて、登場人物が怒鳴りあった後、前編の答え合わせだけしかしない映画になってしまったのです。

 

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