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マクガイヤーチャンネル 第8号 2015/3/30
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というわけで、前回のマクガイヤーゼミ「春のオールライダー映画の楽しみ方」はいかがだったでしょうか。
番組終了後、ディレクターから「根拠についての説明が足りなかったんじゃないか?」と言われ、苦笑してしまいました。
去年のオールライダー映画までの、ちょっと言葉が足りなかった点については、以前書いたブログを参照してもらえればと思います。
今回のブロマガでは、最新のオールライダー映画である『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』について話し忘れたことを含めて、いま一度きちんと説明しておきたいと思います。
『スーパーヒーロー大戦GP』に登場する仮面ライダー3号のデザインは、実に現代的です。元々3号は最初のテレビシリーズである『仮面ライダー』放送時に雑誌掲載の漫画でのみ登場したキャラクターですが、今回映画に登場する3号とはデザインも設定も全く異なります。劇中、3号が1号2号と共に3人で戦うシーンがあるのですが、42年前に作られたとは思えない3号が、基本的に42年前のデザインそのままである1号2号と並び立つさまは違和感たっぷりです。
最近の仮面ライダーに詳しい皆さんはご存知だと思いますが、『仮面ライダーTHE FIRST』という映画がありました。近年のハリウッドが作るアメコミヒーロー映画のように、古臭いコンテンツである一番最初の『仮面ライダー』を現代的にリメイクし、大人向けにしたような映画でした(続編である『仮面ライダー THE NEXT』はライダー映画初のPG12作品です)。
デザイナーが異なるにも関わらず、3号のデザインはこの『THE FIRST』版の1号2号によく似ています。
オールライダー映画が何作も作られ、仮面ライダーBlackとRXが並び立つようになっても、『THE FIRST』版の1号2号がそこに混ざることはありません。
理由は二つあります。
一つは、『THE FIRST』も続編の『THE NEXT』も、平成ライダーのように「売れるコンテンツ」にならなかった。
もう一つは、リメイク失敗作を更に「リ・イマジネーション」するなんて面倒くさいことをする必要なんてないからです。オリジナルの1号2号を「リ・イマジネーション」すれば良いのですから。『仮面ライダーディケイド』が採ったリメイク手法、「リ・イマジネーション」についてはニコ生にて解説しましたね。
つまり、『THE FIRST』は一種の黒歴史のようになっているのです。これ以降、東映は自社の古い特撮コンテンツを大人向けに作り直すことに躊躇するようになりました。『アベンジャーズ』のようなマーベル映画が大ヒットして、少し色気を出して挑戦した『キカイダー』の大人向けリメイク『キカイダー REBOOT』も失敗したので、おそらくあと数年は同様の手法をとることはないでしょう。
『THE FIRST』も『仮面ライダーディケイド』も『キカイダー REBOOT』も『春のオールライダー映画』も、プロデューサーや脚本家やその他スタッフはかなり重複しています。特に、プロデューサーには必ず白倉伸一郎の名があります。
彼(もしくは彼ら)の心中には、古いコンテンツを自分たちのような大人向けにリメイクできないこと、もしくは、ハリウッドがやっているように全世代向けにリメイクできないことに対する屈折や、ある意味いびつな形でしかリメイクできないことに対する罪悪感、完全なオリジナルではなく古いコンテンツやブランドに頼らざるをえないことに対する屈託のようなものがあるのではないでしょうか。
そういった罪悪感や屈折や屈託が、『スーパーヒーロー大戦GP』という映画において、仮面ライダー3号が1号2号に対して抱く罪悪感や屈折や屈託に反映されている――そう考えてみると、『スーパーヒーロー大戦GP』という映画がぐっと分かりやすくなると思います。
以下ネタバレを含みます。
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