おはようございます。マクガイヤーです。
次回ニコ生のために『仮面ライダーガヴ』を観ているのですが、面白いです。リアルタイムで観ていればよかったなあ。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
〇9月7日(日)19時~「『仮面ライダーガヴ』と香村純子と武部直美と東映ヒーローの暗黒面」
8/31に『仮面ライダーガヴ』が最終回を迎えます。
お菓子というポップなモチーフとは裏腹に、平成ライダー初期や『アマゾンズ』のようなハードでシリアスな世界観とストーリーが展開されました。まるで暴力団のようなストマック家やストマック社、彼らを利用しようとするグラニュート界の大統領という設定には、往年の東映実録ものを連想させられます。また、チーフプロデューサーとメインライターが両方とも女性というのも特筆すべき点ではないかと思います。
そこで、『仮面ライダーガヴ』について総括するような放送を行います。
ゲストとしてお友達のナオトさん(https://twitter.com/Triumph_march)をお迎えしてお送り致します。
〇9月21日(日)19時~「最近のマクガイヤー 2025年9月号」
・時事ネタ
・『8番出口』
・『ベスト・キッド レジェンズ』
・『愛はステロイド』
・『パトリックとクジラ 6000日の絆』
・『ヒックとドラゴン』
・『非常戒厳前夜』
・『宝島』
・『THE MONKEY ザ・モンキー』
・『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
・『ひゃくえむ。』
・『チェンソーマン レゼ篇』
・『男神』
・『ボーイ・キルズ・ワールド 爆拳壊界流転掌列伝』
その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
〇10月(日時未定)「「すべての映画はアニメになる」のか?『秒速5センチメートル』とアニメ実写化映画」
10/10に実写映画『秒速5センチメートル』が公開されます。新海誠による2007年の同名アニメーション映画の実写化です。アニメと同じく劇中歌を山崎まさよしが担当しますが、63分の中編が約2時間の長編に改編されるそうです。松村北斗、高畑充希、森七菜らが出演することでも話題です。
押井守が「すべての映画はアニメになる」と発言してから20年以上が経ちました。映画のデジタル化により、実写映像でも作り手の意図に沿って完全にコントロール可能になる――実写とアニメの境界が無くなる――という意味の発言ですが、確かな限界もみえてきたように思います。
そこで実写映画『秒速5センチメートル』について解説すると共に、ここ最近のアニメ実写化映画について振り返るような放送を行います。
ゲストとして映画ライターの竹島ルイさん(https://x.com/POPMASTER)と編集者のしまさん(https://x.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。。
〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています
当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。
https://macgyer.base.shop/items/19751109
また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。
https://macgyer.base.shop/items/25929849
合わせてお楽しみ下さい。
さて、本日のブロマガですが、前々回のニコ生でも語った『近畿地方のある場所について』と『魔法少女山田』の連続性について書かせて下さい。
●2025年はJホラーの当たり年
『嗤う蟲』、『見える子ちゃん』、『ドールハウス』、『近畿地方のある場所について』……とJホラーの傑作が公開され続けています。『8番出口』や『カラダ探し THE LAST NIGHT』も話題です。今後公開される作品では、原作に知名度がある『男神』や『火喰鳥を、喰う』の他に、鈴木福主演で闇バイトVSヒグマのドリームデスマッチを描くという触れ込みの『ヒグマ!!』にも期待してしまいます。2025年はJホラーの当たり年、というか明らかな変革が起こった年として記憶されるのではないでしょうか。
●『近畿地方のある場所について』後半が賛否両論
特に注目したいのは8/8に公開された白石晃士監督の『近畿地方のある場所について』です。『8番出口』の内容や興行収入にもよりますが、『近畿地方~』が2025年Jホラーを代表する一作になるのは間違いないでしょう。
『近畿地方~』で注目したいのは、その構成です。全体的には失踪した編集長の後を継いで近畿地方に隠された超自然的な謎を追うというミステリ形式の劇映画です。ただ、前半のほとんどは部下である編集者と助っ人ライターが様々な資料――架空のテレビ番組、ホームビデオ、ライブ配信、アニメーション番組、雑誌記事等――を確認するパートで占められています。故に、実質的には様々な形式のもっともらしい映像フッテージが連続するフェイクドキュメンタリーとなっています。
この前半は「原作小説の内容を上手く映像化している」という点で評判が良いのですが、「行くよ! 近畿地方に……!!」の掛け声とともに実際に近畿地方に行き、『コワすぎ!』の工藤ばりに菅野美穂が大活躍する後半は賛否両論となっています。
しかし自分は、この後半があるからこそ映画として面白くなっていると感じました。
順に説明させて下さい。
●『近畿地方のある場所について』における恐怖演出
『近畿地方~』における「もっともらしい架空映像の連続」は、観客に恐怖を呼び起こす効果として大きなものがあります。人間は、「恐ろしい」と感じるものを直接目にして体験するよりも、自分の頭で想像してしまう方がより恐ろしい、と感じてしまうからです。

たとえば劇中で、「このメールを〇日以内に〇人に転送しなければ死ぬ」というチェーンメールを受け取った女子高生が「私が死ぬわけねーだろ!」と明るく笑い飛ばす映像が映ります。人によっては笑ってしまう、平和な映像です。

直後、その女子高生らしき人物が集団自殺の首謀者として無くなったことを示す週刊誌の記事が紹介されます。これにより、先ほどの映像の持つ意味が劇的に変わります。人によっては笑ったことを後悔するかもしれません。
これは、実際に女子高生が苦しんで死ぬ映像そのものよりも、より大きな恐怖を引き起こします。どんな映像よりも、頭の中で想像した「女子高生が苦しんで死ぬシーン」の方が(その人にとっては)怖いのです。言い換えれば、鑑賞体験そのものよりも想像の方が怖い、ということになります。
●ファウンド・フッテージの発展
この手法は基本的に一種類のPOV視点、多くて二、三種類の映像のみが続く『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』等の初期ファウンド・フッテージものから発展した手法です。複数の形式、視点の映像フッテージが絡み合った結果、意味を持つことが重要になります。
過去『ほんとにあった! 呪いのビデオ』等において使われた手法の発展形でもあります。映像の後に「おわかりいただけただろうか」、「まさか、~とでも、いうのだろうか」といった有名なフレーズから始まるナレーション、「この〇日後にこの人物は亡くなった」、「この後、この人物とは連絡がとれなくなった」といったテロップ等の挿入は、それ以前の映像が持っている意味を全く違うものに変えてしまいます。ナレーションやテロップではなく映像でそれをやること、更に複数回やり続けることにより、それ以前の映像が持つ意味が変わり続けます。
これまでもJホラーでは、幽霊や怪異を直接みせたり体験させたりするのではなく、音や気配(の演出)、幽霊をみたり怪異を体験したりしたキャラクターのリアクション等で観客に想像させる手法をとってきました。その最新型がこの異なる形式の映像フッテージの隙間――映像の行間や文脈から想像させる恐怖――流行りの言葉を使うなら「考察」させることにより恐怖を感じさせる手法、ということになります。
また、この手法は語り口としてのミステリと相性が良いという特徴もあります。新たに「証拠」となる映像が提示されると、それまでの「証拠」が持つ意味が変わり、新たな謎が産まれる――この連続により物語が牽引され、観客が引き込まれてゆくからです。
●『ノロイ』との連続性
ここでJホラーを追いかけている人なら強く思い出してしまうのが、白石晃士が2005年に監督した『ノロイ』でしょう。
怪奇ルポ作家の遺したドキュメンタリー作品に白石晃士が追加取材を加えて完成させたという体裁のフェイクドキュメンタリー映画なのですが、全編架空のもっともらしい映像の連続で構成されています。中でも架空のテレビ番組の作りこみのレベルが異様に高く、当時若手芸人だったアンガールズにロケをさせ、同じく当時若手女優(『ファフナー』の声優はしてた)だった松本まりかにゲロを吐かせ、飯島愛、ダンカン、荒俣宏……といった当時のバラエティー番組の常連だったタレント達まで出演しています(今観るとこの数年後に亡くなった飯島愛の姿に複雑な感情を抱いてしまうことがノイズとなるのですが)。
つまり、ここまで長々と書いてきた「複数の映像の組み合わせから「考察」させることによる恐怖」という手法は、2005年にはほぼ完成していたのでした。
白石晃士はこの後『オカルト』『カルト』といいった渾身のJホラー映画を監督すると共にオリジナルビデオとして『コワすぎ!』シリーズを発表し、名実共にJホラーを代表する監督となりました。
しかし『ノロイ』の発表直後、この手法を真似したり、追随したりするJホラー映像作家は、それほど現れませんでした。幾つか理由は考えられますが、様々な形式の架空映像を製作・編集するのは監督にセンスが必要なこと、それなりの予算がかかること、『ノロイ』がそれほどヒットしなかったこと等が挙げられます。Jホラー全体が2010年前後から粗製乱造により停滞していったことも理由の一つかもしれません。
どちらかというと『放送禁止』(2003-17)や『タイムスクープハンター』(2009-15)のような非心霊系テレビ番組シリーズの方が影響を受けていたかもしれません。深夜帯の長期テレビシリーズであるが故に、多様な形式の映像を使うという実験をし易いのです。
また、『近畿地方~』原作者である背筋は、『ノロイ』に影響を受けて原作小説を書いたこと、巡り巡って白石晃士が映画版を監督することになったことは、映画版のプロモーションにあたりあちこちで喧伝されました。「一周回った」わけですね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d698a906580fb34e222aad47307546f705ed3e4b
ここで思い出してしまうのが小野不由美の『残穢』です。『ほんとにあった! 呪いのビデオ』に影響を受けた小野不由美が、夫を含めた友人作家等の実在人物がバリバリ登場するドキュメンタリータッチのホラー小説として書いたのが『残穢』だったわけです。これを『ほん呪』の中村義洋が映画化したわけですが、完全な劇映画になってしまったのは2016年というタイミングも大きかったのでしょう。もし今映画化されるのなら、平山夢明が本人役を演じていたかもしれません。
●『TXQ FICTION / 魔法少女山田』
さて、2020年代以降に発表されたテレ東深夜のモキュメンタリ―、特に『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』(2021)『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』(2022)に続く『TXQ FICTION』(2024-2025)は、「複数の映像の組み合わせから「考察」させることによる恐怖」を意図しているという意味で、明らかに『ノロイ』に影響を受けたシリーズになっています。
特に『TXQ FICTION』第3弾『魔法少女山田』は、トム・ブラウンというお笑い芸人出演の架空バラエティー番組やロフトプラスワンでのイベント映像の使用、最後まで観ると全三回の映像が一本の映画であることが分かるという一種の叙述トリックを用いた構成等、『ノロイ』との共通点が大きいです。心霊ホラーではない、という違いが些細なものに思えるほどです。
一方で、時代に合わせた結果こうなったという面もあります。深夜帯にこのようなドラマを観る視聴者層は限られ、一旦ドラマの内容を気に入れば集中して観てくれます。彼らはSNSやら動画配信やらで勝手に「考察」し、盛り上げてくれます。TVerやU-NEXT、Youtubeといったサイトで配信すれば、放送をリアルタイムで視聴していないけどこの盛り上がりに興味を抱いた層も後追いで視聴でき、潜在的視聴者を巻き込めます。いずれも『ノロイ』発表時の20年前には無かった(あるいは存在してもサービス開始直後だった)仕組みです。やっと時代が追いついたといっても良いでしょう。
つまり、『近畿地方~』の前半と『魔法少女山田』は、いまという時代に適応した結果、同じ手法に行きついてしまった、という面も大きいのではないでしょうか。
●映画のクライマックスに必要なのは体験と身体性
とはいっても、様々な形式の複数の映像フッテージ群を何度も視聴し、繋がりを見出し、意味を「考察」し、物語を見出す――という行為は、決して一般大衆向けのエンタメではありません。「観たい人だけ観れば良い」というスタンスを崩さない『魔法少女山田』と異なり、全国300館以上で公開される『近畿地方~』はエンタメ大作であることを堅持しています。
前述したように、映画『近畿地方~』は、全体的には劇映画となっています。なので、それまで資料を確認するだけだった主人公たちが後半から動き出し、映像に映っていた場所を実際に訪れ、次第に原作から離れた展開――白石晃士が得意とする「幽霊をグーで殴る」展開になります。インタビューを読むと『ノロイ』のように全編フェイクドキュメンタリーを貫くことも一度は考えたそうなのですが、辞めたそうです。
----------------------------------------------------------------------
最終的に、フェイクドキュメンタリーと劇映画を融合する形になったのはなぜですか?
白石:全国公開の映画なので、POVスタイルで全編やるにしても主役はスターが演じることになります。しかし、それだと「この人が演じている」という違和感が生じやすい。そこで全体を劇映画にして、その主人公をスターが演じ、彼らが見る映像素材という形でPOVスタイルの映像を登場させることにしました。これなら原作の感触を残しつつも、劇映画として広く見てもらえる作品になるだろうと。
https://niewmedia.com/specials/kinkichihou_edski_weing/4/
----------------------------------------------------------------------
映画は台詞やナレーションではなく映像でエモーションを伝えるメディアです。
「体験よりも想像の方が怖い」わけですが、映画のクライマックスは体験でなければなりません。更にその体験は、身体性を伴ったもの――アクションであればなお良い。
この為に映画『近畿地方~』はあくまでも劇映画という体裁をとったのでしょう。「行くよ! 近畿地方に……!!」「あの石ぶっ壊してやる!」といった台詞の直後、映画が「走り出す」――テンポが速まりクライマックスに至る展開には、「おもしれぇじゃねぇよ!やってやろーじゃねぇよ!!」、「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」等の名台詞を思い出したりもしてしまいます。菅野美穂がバールを振り回したり、幽霊を車で轢いたりするシーンには、『オトナ帝国』でしんちゃんが東京タワーの外階段を駆け上がったり、『インデペンデンス・デイ』でウィル・スミスがエイリアンをグーで殴ったりするのと同じ類の身体性を感じたりもしました。
翻って、完全にマニア向けな『魔法少女山田』も、体験と身体性の大切さを横に置いていたわけではない、ということに気づきます。
『魔法少女山田』第三回、それまで語り手に過ぎなかった貝塚が激高して園長に暴力を奮うシーンは、この作品なりに体験と身体性のあるシーンをクライマックスに置こうとした結果であると思います。
番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。
マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html


同じく新製品スーサイド・スクワッド Tシャツ

思わずエナジードリンクが呑みたくなるヒロポンマグカップ
……等々、絶賛発売中!
本メルマガもニコ生の番組内容も、TwitterやFacebookやブログ等で話題にして頂けると、宣伝になるのでとてもありがたいです。常識の範囲内で引用やコピペや文字起こしによる紹介もして頂いて構いません。でも、全文コピペや全文文字起こしは勘弁な!
Dr.マクガイヤー
Twitter:@AngusMacgyer
Instagram:@macgyer
ブログ:冒険野郎マクガイヤー@はてな
Facebookグループ:https://www.facebook.com/groups/1719467311709301/
コメント
コメントを書く